保護者会議
その日の夜。
王都の宿。
私はぐっすり寝ていた。
すやぁ。
すやすや。
完全に熟睡。
しかし。
別室では静かな空気が流れていた。
テーブルを囲む三人。
アレン。
ルーク。
レオン。
なんとも重いメンバーだった。
◇ ◇ ◇
最初に口を開いたのはレオンだった。
「確認する。」
静かな声。
「お前は敵ではないんだな。」
ルークは頷く。
「違う。」
「証明はできるか。」
「できない。」
レオンがため息をついた。
「正直だな。」
「嘘は嫌いだ。」
「そこはティナと似ている。」
ルークが少し笑った。
「そうか。」
◇ ◇ ◇
沈黙。
そして。
今度はアレンが聞いた。
「本当にティナを知っているのか。」
ルークは即答した。
「ああ。」
迷いはなかった。
「昔からだ。」
アレンは黙る。
ルークも黙る。
空気が重い。
レオンが紅茶を飲んでいる。
巻き込まれたくない顔だった。
◇ ◇ ◇
しばらくして。
ルークが口を開く。
「お前が育てたのか。」
アレン
「そうだ。」
「森で見つけた。」
「知っている。」
アレンが眉をひそめる。
「知っている?」
「調べた。」
「…………」
「…………」
なんか怖い。
レオンは席を少し離した。
◇ ◇ ◇
ルークは静かに言った。
「感謝している。」
アレンが少し驚く。
「何?」
「生きていた。」
ルークの視線は窓の外へ向いていた。
月明かり。
静かな夜。
「ずっと死んだと思っていた。」
その声は小さかった。
「探した。」
「何年も。」
「どこにもいなかった。」
アレンは何も言わない。
ルークも続けない。
でも。
その数秒の沈黙だけで。
どれだけ探していたのか伝わった。
◇ ◇ ◇
やがてアレンが口を開く。
「ティナは。」
「?」
「よく泣いた。」
ルークが顔を上げる。
「最初はな。」
「夜になると泣いていた。」
「一人になるのを怖がった。」
ルークの表情が曇る。
アレンは続けた。
「今は笑う。」
「友達もいる。」
「家族みたいな連中もいる。」
少しだけ笑う。
「うるさいくらいにな。」
ルークも小さく笑った。
その光景を想像したのかもしれない。
◇ ◇ ◇
そして。
ルークが聞く。
「幸せそうか。」
アレンは即答した。
「幸せそうだ。」
その言葉を聞いた瞬間。
ルークの肩から少し力が抜けた。
本当に少しだけ。
でも確かに。
安心した顔だった。
◇ ◇ ◇
その時。
ガチャ。
扉が開く。
「お水飲みたい。」
私だった。
全員固まる。
私は寝ぼけていた。
目も半分閉じている。
「お水……」
ふらふら〜
ふらふら〜
テーブルに激突。
ゴン!
「いたい。」
「大丈夫か!?」
アレン。
「頭打ったか?」
ルーク。
「見せろ。」
レオン。
「回復魔法使うか?」
私。
「え?」
なにこの状況。
◇ ◇ ◇
数分後。
私は水を飲んでいた。
そして。
左右を見る。
左。
アレン。
右。
ルーク。
ぴったりくっついてる。
「近くない?」
二人同時。
「危ないからだ。」
「危ないからだ。」
私は首を傾げた。
「何が?」
レオン。
「お前だ。」
「ひどい。」
◇ ◇ ◇
その夜。
ベッドへ戻る途中。
私は少しだけ振り返った。
ルークがいた。
目が合う。
数秒。
そして。
ルークは小さく笑った。
「おやすみ。」
私は少し迷って。
それから答えた。
「おやすみ。」
なぜだろう。
その言葉は。
初めてなのに。
どこか懐かしく聞こえた。
そして翌日。
ルークはついに。
『白猫の里』
について語ることになる――。




