表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
18/34

初めての王都

王都へ行く。

そう決まってから数日後。

私は家の前で固まっていた。

理由は簡単。

目の前に大きな馬車が止まっているからだ。

「おぉぉぉ……」

私は思わず声を漏らした。

大きい。

すごく大きい。

街で見かける荷馬車とは全然違う。

王都から来たというだけあって立派だった。

金色の装飾まで付いている。

「すごい……!」

私が感動していると、

「ティナちゃん!」

後ろから元気な声が聞こえた。

振り返る。

ミルちゃんだった。

大きな荷物を背負っている。

「ミルちゃん?」

「私も行く!」

「なんで!?」

即ツッコミだった。

「だって行きたいもん!」

「遠足じゃないんだよ!?」

アレンさんがため息をつく。

「俺も行く。」

「アレンさんも!?」

「当たり前だ。」

王都の男性調査員が困った顔をしていた。

「本来はティナさんだけなのですが……」

アレンさん。

無言。

調査員。

無言。

アレンさん。

無言。

調査員。

無言。

数秒後。

調査員が負けた。

「……同行を許可します。」

「やったー!」

ミルちゃんが飛び跳ねる。

(アレンさん強いな……)

◇ ◇ ◇

馬車の中。

快適だった。

びっくりするほど快適だった。

ふかふか。

広い。

揺れも少ない。

「すごい……」

私は窓の外を見ながら感動する。

すると王都の銀髪のお姉さんが笑った。

「初めてですか?」

「うん!」

「可愛い反応ですね。」

「子供だからね。」

「いや見た目だけじゃなくて。」

なんか失礼な気がする。

ミルちゃんが窓に張り付いている。

「見て見て!」

「何?」

「木!」

「森だからね!?」

銀髪のお姉さんまで吹き出した。

◇ ◇ ◇

お昼。

馬車が止まった。

休憩らしい。

私は外へ出る。

「うわぁ……」

景色が綺麗だった。

草原。

青空。

遠くには山。

しばらく見ていると。

ガサガサ。

近くの茂みが揺れた。

私は反射的に身構える。

「何かいる。」

アレンさんも気付いた。

次の瞬間。

飛び出してきたのは。

ウサギだった。

白い。

小さい。

可愛い。

「うさぎだ!」

私は追いかけた。

逃げた。

追いかけた。

逃げた。

追いかけた。

逃げた。

気付いたら。

森の奥だった。

「……あ。」

やってしまった。

私はそっと振り返る。

誰もいない。

「迷子になった。」

数秒後。

「ティナァァァァァァ!!」

アレンさんの声。

「ここー!」

「何やってるんだ!!」

「うさぎ!」

「知ってる!!」

めちゃくちゃ怒られた。

ミルちゃんは笑い転げていた。

◇ ◇ ◇

夕方。

再び馬車が走り出す。

そして。

王都が見えた。

私は窓に張り付く。

「えっ……」

言葉が出なかった。

高い城壁。

巨大な門。

数え切れないほどの建物。

人。

人。

人。

街どころじゃない。

一つの世界みたいだった。

「大きい……」

王都の女性が微笑む。

「ようこそ王都へ。」

私は目を輝かせる。

でも。

その時。

どこか遠く。

高い建物の上から。

誰かが馬車を見ていた。

黒いローブ。

顔は見えない。

ただ。

その人物は小さく呟く。

「見つけた。」

そして消えた。

もちろん私は気付かない。

初めての王都に夢中だったから。

こうしてティナの新しい物語が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ