第16話「いつはりなる世界の終わりに」
前回のあらすじ
刑部葵は仕事辞めました。あらすじを見た人たちはごめんなさい。もう私は限界OLではありません。
干物の無職として、40日のモラトリアムを味わい尽くしていた私。ハンチョウ読んでて良かった。
伊勢谷さんから聞かされた『刑部の乱』の実情はかなりえげつなかった。清水なこはガタガタになり、大郷課長も焦りが見えた。伊勢谷さんも辞めようとしているし……あの佐藤さんがクレームマシンガンを暴発させているなんて……こんなことになるなんて、思わなかったんだよ! 仕方ないじゃないか!
そして、そんな中、『刑部の乱』が波及しているわけでもないのに、私に『出版社からの電話』。
そんな全員の運命が狂わされる———魔法少女おさかべあおいストライカーズ、始まります。
出版社からお電話が掛かる。一見すれば、めちゃくちゃ夢のある展開に見えるでしょう。
実は違う。違う違う。そうじゃ、そうじゃない。
これは、「お前の漫画、面白いな……どれ、ほんの少し味見してやろうか?」というめちゃくちゃ上から目線な電話。さすがの出版社も数字が大事なんでいきなり素人の漫画を載せたりなんてしない。選ばれし者が本当に創作の世界で戦えるか否か。両面宿儺がまこらボコるのと同義。
よく大幅加筆修正しましたという報告は、この出版社のしごきを終えたとも言える証明。嬉しそうに言ってるけど、実は裏でギア5発動した後のおじいちゃんみたいな顔してるんだよ?
出版社が自分の漫画に可能性を見いだしてくれた嬉しさと、これから始まる存在意義をかけた修羅入りへの不安で私の情緒はインフェルノ状態だった。
式部さんがいれば……アドバイスとかしてくれるかな……いや、しないな。平安の天才作家といういい部分だけ見て頼ろうとするのは良くない。自分の力で頑張ろう。
なんやかんやで、40日のモラトリアムが終わる頃、押し入れにしまっていた埃を被ったリクルートスーツを死者蘇生で復活させて、東京へ向かうことに。
その前に、名古屋駅でとある人物に会うことになってました。実は一番の被害者かもしれない彼女に……。
●
「あちぃな」
私は流れ出る汗をハンカチで拭きながら、イケメンみたいな言葉を吐く。いい男ではない。水も滴る普通の喪女だ。
失われつつある春。まだ6月を迎えてもいないのに、昼間の気温は30度を越え始めている。地球のシェイプアップと、コンクリートの熱のダブルラリアットを受けながら、私は一条電気のビルのベンチに座っていた。
「刑部さん」
可愛らしい声とともに、私の肩をつついてくるバリキャリが一人ありける。一条電気の営業担当である佐藤さん。お淑やかそうに見えてもやり手の営業で、仕事や接待でいない時が多い。今日はたまたま内勤だったので、昼休憩に会えることになった。
彼女には大変お世話になりもうした。個人的にもお礼をしたくって、百貨店で高いお菓子を買って持ってきていた。
「佐藤さん……ご無沙汰しています。悪い噂を聞きまして、清水なこが大変不始末を働いているみたいですね……」
申し訳なさそうに話す私。すると、佐藤さんはじとりと目を細めて、何度も私の肩をつついていく。
「本当ですよ……なんの相談も無しに辞めるなんて。少し身勝手じゃないですか?」
「うぐっ!」
さすがは天下の一条電気の営業担当だ。私の心を一撃でワールドブレイクしてくる。
「……いや、その、押さえきれなくてつい……」
「ついって……まあ、刑部さんの立場を思えば分からないこともないですけど……でも一言言ってくだされば。今からでもいいですから……一条電気に来ませんか?」
うるうると小動物のような視線を向ける佐藤さん。驚いた。正直、ここまで慕ってくれるとは。
思えば最終プレゼンの時も庇ってくれてたな。
けど、もう動き出してしまったのだから、後戻りはできないのです。
「お気持ちだけ受け取っておきます。次の当ては決まっているわけじゃないけど……なくはないので」
「……そうですか。残念ですね。会社の方では今の方針で契約は通していくみたいです。銀行や商船の方も内諾済みです。平安商事に影響が出ると、刑部さんが逆恨みを受けるかも知れませんから」
「佐藤さんのおかげでしょう? 最後までごめんなさい」
「いえ……最後ですか……」
悲しそうに少し俯いてからしばらくして、佐藤さんは顔を上げて微笑んだ。
「私の方は大丈夫ですよ。刑部さん、引き継ぎもちゃんとしていますから……ただあの後任の清水? って人はあまりにもお粗末なもので困りましたが」
「言い訳のしようもありません……佐藤さんが毎日毎日、怒りの指導電話をしていることは同僚からはお伺いしています」
「えっ!?……やだ! そんなことありませんからね? ちょっと癪に障りますので、しご……注意してあげているだけですよ」
ん? 今しごくとか言いそうじゃなかった?
恥ずかしそうに顔を隠す佐藤さん。とても可愛い。なんか庇護欲が煽られちゃうんですけど。
私は手に持っていた貢ぎ物の百貨店のお菓子を佐藤さんに渡した。
「あっ、これ、つまらないものですけども……」
両手で紙包みを渡す。すると、佐藤さんはしばらく目を見開いたまま、硬直していた。
「あ、あれ? いや、佐藤さんにはそのお仕事とかで大変お世話になりましたので……個人的に」
「えっ? あっ? あ、あ、ありがとうございます! ちょっと思いもしなかったもので……」
恥ずかしそうに受け取ると佐藤さんは両手で大事そうに抱き締めた。
もじもじした態度、なんかちょっと照れるな。
……ちょっと、なんか変なムードが……。
しばらくして、佐藤さんが口を開く。
「あの、仕事の付き合いはなくなるけど、その私個人としてはこれからもプライベートでお付き合いしていきたいなと思うんです……もしよければ、一緒に飲みにでも行きませんか?」
佐藤さんの思わぬ提案に、驚きのあまりに目をぎょっとする私。
でも、なんか嬉しいかも。
「……なら、ライン交換します? 私のやつ、営業用だから……」
「へっ!? い、いいんですか!? じ、じゃあ……」
嬉々洋々とスーツのポケットから、可愛くビーズのデコレーションがされたスマホを取り出す佐藤さん。女子力が鍋から拭きこぼれている。羨ましい。
スマホのラインを交換する。送られてきたアカウントには『いずみ』と記されていた。そういやこの人は『佐藤和泉』という名前だったな。
一応、初対面の時に名刺は頂いていたが、こういうのって電話番号だけ登録したらあとは見ない。ろくに名前は確認していなかったな。可愛いな。
立場が変わると、人の本質は浮き出てくる。ビジネスパートナーだとは思ってたけど、佐藤さんの方は仲良くできそうだと感じていたのかもしれない。
私は微笑むと、佐藤さんに告げた。
「もしよかったら、これからタメでもいいんじゃないかな? もうしがらみとかはないし」
「うへぇっ!? い、い、いいの?」
エサを待つトイプードルのように満面の笑みを浮かべてくる佐藤さん。
あ、あれ? やたら食い気味だな。
「じ、じ、じゃあ、これからは……あ、葵ちゃんって呼んでもいい?」
「えっ、あ、い、いいよ?」
私は後ずさりして答えると、佐藤さんは突如上の空を見つめて恍惚の表情を浮かべた。
「えへへ……葵ちゃん……えへへ! えへへ……葵ちゃんっ!」
まるで愛しの君を見つけたような蕩けた視線を向けてくる佐藤さん。
お淑やかな取引相手の思わぬ本性に、私はひきつった笑顔で誤魔化すのが精一杯だった。
急に湿り気が……。いかん、雨が降ってきたな。雨だ。
●
「夢と桜」。東京・文京区に本社を置く大手出版社・藤原社が刊行している漫画雑誌だ。漫画雑誌では、読み手に合わせて作品の基本的なテーマが定められていることが多い。「夢と桜」は20代から30代の少し人の営みを知って、多少味付けの濃い漫画を求める人に向けた作品。分かりやすい記号や友情・努力・勝利よりも人間ドラマを求められる。
水道橋駅と後楽園駅の狭間。由緒正しい雅な庭園と、近代的な野球のドーム。2種の異なる芸術のコントラストが胸を打つその町。競馬の場外発売所と向かい合うように藤原社のビルは立っている。そのビルの3階の「夢と桜」編集部の応接室で私は待っていた。
正直、帰りてぇ。トゥーンワールドを発動して、心臓がアニメキャラになって出てきそう。私は無垢の巨人のような無表情で、手のひらに人の字を書いては握り潰して、口の中に放り込んでいた。
それに———。
『……イラストうまいけどねー。お話がさぁ、微妙じゃない? 中身がないというか。お利口さん過ぎるんだよねぇ。そこのセンスなさすぎだよね』
電話の主は女の人だったけど、あのトラウマはまだ根強く残る。
丸い背中を見せつつ、パイプのフレームで構築された椅子に腰かける私。すると、電話の主が現れた。
「初めまして。刑部さん。電話しました中原彰子と申します。本日はご足労いただきましてありがとうございます。本日はよろしくお願いしますね」
中原彰子と名乗る女性は、慣れた手付きで名刺ケースから名刺を出して、手渡してくる。
センター分けされたカールの入る長髪と、アメジストのピアスが特徴的。少し落ち着きがありながらも、意思の宿る瞳。おっとりとした顔つきからは想像もし得ないほどの威圧感がある。
さすがは東京のバリキャリ。それも明日死ぬか分からぬエイティシックスな職業なだけある。ラムダ・ドライバを手足のように扱えるのでは?
ジャーキングして立ち上がる私は震える手で名刺を受け取る。
すると。
「そんなに緊張なさらないで。少なくとも悪い話で呼んだわけでありませんので。さあ、どうぞお掛けになって」
「……すみません。ありがとうございます」
中原さんの大人な振る舞いに思わず、ビビり散らかす私。正直、仕事よりもビビる。人間は本当に大事なものでは怖くなるものだ。
私と中原さんは椅子に座ると、円卓議決が始まった。これは私の漫画家としての能力の解放をかけたものである。
「さて……刑部さんから送られました漫画。読ませていただきました。結論から言います。非常に面白そうだなと感じました」
えっ、マジで? 私は口を開いて硬直する。
中原さんは続けていく。
「単純な画力。コマ割り、構成は申し分ありません。……また、もっとも大切なテーマ性とオリジナリティ。これもなかなか生々しくて私は好きですね……等身大の限界OLを主人公にするなんて、発想がぶっ飛んでいますね」
「ほ、本当ですか? そこは、実体験を元に描いてます。その、ストレスに任せてといいますか……」
「だからですね。有能だけど空虚なバリキャリOLが、周囲の人間に搾取される。後輩に利用されるという設定が実にリアルです。前向きさと明るさを至上とする社会で起こる弊害のようなものですね」
中原さんはタブレットを取り出して、私の漫画を開く。
「そこでこの関係を書き乱す会社に中途採用された幼馴染みの男。主人公を道具としてみながらも、大切に思う彼。極めつけは、いじめていた後輩が彼を好いてしまうけども、彼が主人公を好いていることから一歩引いた目で見なくてはならなく、また己のアイデンティティを壊される展開。素晴らしい……人間の業を書き尽くしています」
「……分かるんですか?」
「分かります。主人公もまた彼の好意は嬉しいけども、目立つことで起こる搾取される事態やトラウマから一歩踏み出せない。早く書けと心のそこから思わされるようなゾッとする人間ドラマです。このスタイルの作風を貫ける作家は非常に稀有です」
とんでもなくベタ褒めやん……あの勢いで書いた漫画。でも、正直ここからどうしてくか全く決めてない。
ありのままを形にしただけだったから…正直、これだけだ。
私は不安に満ちている。しかし中原さんは容赦なく切り込んでいく。
「と、選評はここまでとしまして、あなたにお聞きしたいことがあります。まずあなたの作家としてのポリシー……それはなんですか?」
中原さんの目付きが変わる。どうやら始まった『面接』が。技術はある。だが、考え方はどうかな?という圧倒的な圧だ。
私は答える。その思いは彼女から貰った。
「……私はその……胸キュンとかよく分かんなくて、人生そんないいことばかりじゃなかったから。だから陰……思っていても表に出ない感情を描こうと思いました」
「なるほど……確かにそれはあります。ですが、その感情を見れる人は強い人だけ。明るい話や甘い話を求めてしまうのは弱さ故……という点は重々理解していらっしゃいますか?」
それはそうだ。清水なこの行動も弱さ故のものだ。出版社もそういう作品が金を落とすことを理解している。
でも、所詮は宿世。売れるか売れないかは、運命が決めること。ならば。
「分かっているつもりです。でも陽の感情が溢れるこの世界で、自らの陰の感情を吐き出せず、そして理解されないことに苦しんでいる人もいると思います。その人達はきっと強いとは思うんです。でも、彼らの心には常に孤独という弱さが付きまとう」
『源氏物語』を書いた彼女も、小少将に理解されなかったことでスランプを起こした。それは、きっと理解されないことに孤独を感じたから。
「だから、私は陽の感情だけが共感されるわけじゃない。陰の感情もみんな持っていると思います。だから、それを『漫画を通して』代弁したい……そうすれば強い人達が孤独を感じなくて済む。それが、私が漫画を描こうと思った理由です」
弱さを慰めて縋らせるなんて悪魔的な所業は、私にはできない。だから、頑張る人が少しでも重荷を下ろせる場所を作る。
私は真剣な眼差しを、中原さんに向ける。
「答えになってないですか?」
しばらくして、中原さんは微笑んだ。
「……ありがとうございます。創作の世界とは無常です。技術もなく中身のない作家が、クソを書き連ねて大ヒットすることもあれば、1000万部を叩き出した作家が『もう書けない』と筆を置くこともあります。正直、普通に会社に就職して、働いた方がマシです」
身も蓋もねえ。
でも―――。
「だからこそ、みんなが必死になる世界ですよね。創作は」
「はい。そんな世界だからこそ、作家にはその運命が振り向くまで耐え得る作家の矜持が必要なんです。そのお考え、お忘れなきよう」
中原さんは朗らかな笑顔を向けて告げた。その時、私の心の中の何かが弾けだした。
まだプロになれるってわけじゃないのな。でも、初めて理解された。そんな気持ちだった。
その嬉しさが、涙の結晶となって、瞳からあふれ出る。
「あ、ありがとうございます……以前にも『夢と桜』編集部に漫画持って行ったんですけど……その、酷く言われて……あっ、すみません! 中原さんにこんなこと話しても仕方ないですよね……」
「……いえ、その気持ちは大事だと思います。そのお話、具体的にお聞かせくださいませんか?」
中原さんの慈しむ表情と言葉に、私は全てを吐き出すように答えた。
かつての漫画に縋っていた私。その時の編集者に酷く言われたこと。その後の社会人生活。
全てを話し終えると、中原さんは私の手を強く握ってくれた。
「……なるほど。センスがないですか……いえ、刑部さんには素質があります。我が社の見る目の無い編集者が心のない言葉をかけたことを、心よりお詫び申し上げます」
「い、いえ、そんな! わ、私が悪いんですし!」
「自分を卑下してはなりません。作家のその思考は命取りになります。こんなことを話しても刑部さんの気持ちが晴れるかは分かりませんが、その担当編集は確か大岡のことかと思います。彼がどうなったか知りたいですか?」
いや、もうどうでもいいかな。
「今、もうどうでもいいと思いましたよね?」
「えっ!」
この人、式部さんにも負けねぇくらいしたたかじゃねぇか……?
中原さんはクスクスと笑いながら答える。
「その人はもう『夢と桜』編集部にはいません。その恥ずかしい話ですが……大岡が追い返した新人が腹いせに別の出版社に漫画を持ち込んだところ、無類の大ヒットを飛ばすことが頻発しましてね……さらに言えばその出版社の花形作家として活躍してしまっています。その件が社内で問題となって、飛ばされました」
「うわぁ……ってか飛ばされた!?」
「はい、今はハンドメイドを取り扱う雑誌で一からやり直しているはずです。でも、当人が悪いので。見る目の無い担当編集と売れない作家は同義なのですから。大岡ももとは夢追い人ですけども、才能がないことは仕方ないことですから」
冷酷突きつける中原さん。この人、かなりやばい。というか創作の最前線ヤバい。
でも、人間を食べる巨人の話を書いた人も、自転車競技でオタクが頑張る漫画の人も、別の所に持ち込んで、社会現象を起こしている。どんなところにも1人くらいは見る目の無いやつがいる。それはきっとみんな一人の人間。好きなものもあれば嫌いなものもある。
物を見る人の心中が必ず正常とは限らない。評価とはいくらでも変わるものだ。
結局、書くしかない。盲目に書くことしかない。好きな事書くしかない。それがたとえ、運命にそっぽ向かれても。
それがいつか誰かの感情に伝播して、広がって大きくなる。その時が来るまで。
あの天才陰険ラノベ作家・紫式部も最初はヒキニートの妄想から始まった。それが巡り巡って、世界中で未だに心情はどうたらこうたらと考察され、熱狂している。
今じゃ、京都の一画に銅像が作られ、博物館が出来るほどだ。
そう———結局、全ては宿世に従って進んでいる。だからこそ、思いのままに書けばいい。
「あのありがとうございます。そこまで言ってもらえて。初めて漫画描いてよかったって思えました。社会から逃げるために描いてたので」
「……そうですか。でもまだこれからですよ」
「えっ?」
「悪いところもありますが、それは私達編集者が矯正していけばいいだけ。この作品にはテーマと矜持がしっかりと備わっています。あなたの社会経験が、この漫画を他の有象無象から一線を画したものに変えている。逃げなかったのは正解だったかもしれませんね。ここにはあなたが……刑部さんがしっかり宿っている。唯一無二の作品になってますよ」
「……やっべ、泣きそう。ありがとうございます」
もうありがとうbotになってしまっている。ダメだってそれは。
でも、漫画にはちゃんと、『刑部葵』が宿っている。
私が口を押えていると、中原さんは真剣なまなざしで私に告げた。
「……まだ種火ですが、これから大きな焔へと変えていきましょう。是非この漫画を『夢と桜』で描いて見ませんか?」
やっときた。やっとここまでこれた。
余計な事言うのも野暮だ。
「お願いします」
「……まだスタートラインに立っただけです。まずは編集長に見せて、読み切り枠を確保します。そこからはネーム直しとチェックを経て、読み切りの掲載。アンケートの結果を見て、また連載版における設定の見直しと連載会議に出すネーム作りになります。言っておきますが、ここからは地獄ですよ?」
うわぁ、この人、鬼。
「なんとでもなるはずです」
「うふふ、やってみせろよ……刑部先生。なんてね。私もお手伝いします」
私の目に閃光がほとばしる。パロディ返してくれる中原さん、神だ。
人の悪意は今後とも刑部葵が代弁し続けます。
そうだね、式部さん。それが君の答えなら。私は代わるよ。代えてみせるよ。
漫画家・刑部葵に。
式部さん豆知識
和泉式部。紫式部とは同じ中宮グループのメンバーで、彼女との同僚だった。ネガティブな紫式部とは正反対で、めちゃくちゃピュアで恋多き女性であった。超が付くほどの恋愛体質で、肉食系。紫式部からも「和歌は最高にイケてる。だけど、私生活クレイジーすぎんだろ」と紫式部日記で語られている。とくに有名なのは宮中最大のスキャンダルとされる冷泉天皇の皇子の兄弟たちの恋愛。冷泉天皇の第三皇子・為尊親王と恋に落ちるが、大反対される。その中で為尊天皇はなくなってしまうが、その同母弟である敦道親王からアプローチから受けて恋人に。この貴族社会で兄から弟へ乗り換えるのは、ぶっ飛ぶくらいのスキャンダルで、この件で父親からも勘当されてしまう。ちなみに敦道親王との熱い恋を描いたものが、かの『和泉式部日記』になる。紫式部が人間嫌いのクリエイターなら、和泉式部は結婚と離婚を繰り返すロックミュージシャンというのが近いかも。平安社会カオスすぎ。




