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【第1部完結】しるすにあたわず ー家帰ったら紫式部おったんやがー  作者: 木枯翔陽


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第15話「サキガケ→ドロップアウト」

 太陽に吠えた私。

 歴史にはタイムパラドックスというものがある。紫式部はどこまで言っても過去の人。新しい時代を作るのは故人ではない。今を生きる人なんだ。今を生きろ。

 ……夕子の熱さには、久々に震えあがっちゃうものがあるよ。震える葵だ。

 そして、式部さんの置き土産。しれっとネット小説に適応した式部さんの遺産には驚かされる。平安に帰ってもなお、笑いを取りに来るところ、作家ここに極まれりってやつかな。

 オーマ式部。いや、ここはオーマ葵。爆誕させたい。

 祝え! ……式部さんの置き土産で、私の歴史の新たなる一ページの幕開けの瞬間だ。


「住所……おけ。電話番号……異常なし。全ページ……オールクリア。よし……」


 薄暗い我が城ワンルームマンションの一室。森の木々の葉の隙間のようにカーテンの隙間から木漏れ日が差し込んで、両目にクマを作った私のみすぼらしい顔をタブレットに映し出している。

 不細工な面だ。自分とは思いたくない顔がうっすら見えるタブレットに表示された出版社の漫画応募フォームを確認すると、送信ボタンを押した。

『応募しました』との案内表示が出たと同時に、私は腹の底からこみ上げる作家の心を解放するパスワードを叫んだ。


「脱稿ぉぉぉぉぉぉぉ~っ!」


 いや、原稿から解放された気持ちは計り知れない。この言葉を叫んでいる時はね、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか、救われなきゃあダメなんだ……。


 なぜかって? 夕子と会話しながら夕陽を見た日から、なんと私は一週間仕事を休みました。マジですみません。

 この一週間、何をしていたかというと、ひたすらに我が城ワンルームマンションに籠りながら、漫画を描き続けていました。ネームを作っては、あれが足りぬ、これが足りぬとリテイクを繰り返し、いざ漫画を描き始めれば、この構図が気に入らない、このコマ割りが気に入らないとイマジナリー手塚先生にしごかれて漫画を描いておりました。

 この一週間、私は自宅とマックスバリューしか行き来していない。アイデアを醸成させるためにわざと遠回りして帰るくらいはした。夜に紛れて低空で飛び続けた夜鷹さ。


 でも、式部さんの気持ちに答えるためでもあった。そして———。


「〝これ〟、まだ残っていたんだ……どうせなら、持っていくか」


 私は、式部さんの『置き土産』をスーツの胸ポケットに入れる。どうせ一週間突発欠勤かましたんだ。後は引けない。引く気も無い。

 一週間風呂キャンをかました私の体をシャワーで清め、適当に食パンをチンして食べる。営業職のやりすぎで、すっかり生命維持活動になった経済新聞を読む行為を終え、アイロンをかけ忘れたリクルートスーツに着替える。

 とりあえず体臭をごまかすために、ラベンダーのフレグランスを軽くつける。やってることが平安人みたくなってきたな。

 全ての支度を終えると、ハイヒールを履いて、玄関のドアに手をかけた。


「いってきます。式部さん」


 そうして私は一週間ぶりのシャバへと飛び出した。

 後に『刑部の乱』と呼ばれる『平安商事』を揺るがす大事件が始まろうとしていた。


 ●


 一週間、休んだ私を待っていたのは暖かな同僚の心配する声と、大郷課長のえげつない説教だった。覚悟の上だ。


「刑部君……一週間の突発欠勤。社会人としてはあるまじき行為だよ」


「すみません」


 私は深々と頭を下げた。一条電機との最終プレゼンの直後に、契約締結まであと一歩ってところで休んでしまったからだ。いくらなんでも不味い。

 大郷課長は足を組んで、モールス信号でも打っているかのように指で机を連打していた。


「いくら最終プレゼンで契約がほぼ決まっているといってもいい状況でもさぁ、最後まで油断したら駄目だよねぇ。おかげでなこちゃんが大変だったんだよ? 今後の一条電機の取引は彼女の主導でやらせるからね。まったく君がこんな体たらくだなんてがっかりだよ」


 清水なこの主導? 彼女のおかげ? こいつ、いつもいつもなんで私を下げるんだ。

 私はその言葉に少し苛立ちを募らせる。足を引っ張られているのがこちらなら、清水なこは私の腰へと思いっきり抱き着いているようなものだ。一緒に沈む勢いだぞ。

 その言い方はなんだか、気に入らない。


「一週間、突発して休んだことは私の不徳が至る所ですので、弁解のしようもございません。ですけど……清水さんのこれまでの業務態度を鑑みて、客観的に判断しますと脚を引っ張っているのは彼女の方では?」


 私は大郷課長に事実を突きつけた。オフィスが一瞬の静寂に包まれる。おそらく今、私はこのオフィスの歯車を壊そうとしている。

 だけど、このまま清水なこを野放しにしていれば、また誰かが外れくじを選ぶ。

 なら誰かが止めなければならない。


 ―――陽の感情に共感するものもいれば、陰の感情に共感する者もいる。


 なぜみんな言えないか。その陰の感情を解放することは社会での不利益を被ることだからだ。ならば、『漫画』という逃げ道がある私が。いや、『漫画』という大衆芸術を司っている私が代わりに言うんだ。

 私の真剣な眼差しに、大郷課長は周りを飛ぶ蚊を睨みつけるような不機嫌な表情で言い返した。


「あぁ? 君、なこちゃんにいちゃもんつけるの? 少なくとも最終契約の締結に行ったのは彼女だよ。言えば彼女は君のケツを拭いたんだよ! そんなこという権利がお前にあんのか! お前は悟り切ったような冷めた面して! 賢ぶった資料を作って!」


 大郷課長がデスクを叩く轟音に、オフィスの空気がぴりついた。

 なるほど、こいつは変態だな。結局、女が好きなんだろう。

 私は震える拳を握って、反論する。


「ケツを拭いた? 手柄の横取りの間違いじゃないですか?」


「なんだと!?」


「彼女は、確かに愛想はいいですが、仕事に対しての取り組みは甘いです。ミーティングには出ない。資料作りも行わない。やらねばならない仕事よりも個人の事情を優先する。友達と約束してるなら理解できますが、なぜ彼女の美容院の代わりまで私がしなければならないんですか?」


「そんなこと言って何様だ! なこちゃんのプレゼンのおかげに決まったんだろ! お前の資料だけ見たって分かんないんだよ! 賢ぶってるお前の資料はな、上から目線なんだよ! 今回の手柄は彼女のおかげだろうが!」


「それを考慮しても! 今回の契約を決められたのは、私のリサーチと努力による要因が大きいと思います!」


「このボケが!」


 大郷課長は立ち上がって、悪口を告げてきた。どうやらこれがこのハゲの本性のようだ。

 嫉妬の塊。結局は承認欲求に支配されているだけ。実にお厄介な人だ。

 ボケはパワハラだろうがよ。

 すると、騒ぎを聞きつけた清水なこがゆったりと近づいてくる。相変わらずの余裕の笑みだ。


「おやおや~? どうしたんですかぁ? 課長♡」


「な、なこちゃん。な、なんでもないよ! というか聞いてよ! 刑部君がさぁ、僕の前でさぁ、面倒くさいこというんだよ!」


「はっ?」


 私は思わず声を上げた。いや、面倒くさくなってるのお前だよ。

 しばらくして清水なこは、私と大郷課長の顔を交互に見やると、不敵な笑みを浮かべ、口を開く。


「先輩♡ あんまり課長を困らせてはいけないと思いますよぉ~? 課長もお忙しいんですから。それに先輩、まだ、私にお礼言ってませんよねぇ? 私が代わりに契約貰って来たんですよぉ? 報告書も私が書いたんですからね?」


「なっ……! ドロドロになって駆けずり回った人の前でよく言えるね」


「……契約書、私が書けばそうなりますよ。だって、評価欲しいじゃないですか」


 私はその時、心の中のストッパーがはじけ飛んだ気がした。そしてようやく全てを理解できた気がした。

 あぁ、どこまでも言ってもこいつらは、社会の歯車。そして私も歯車。私という高速で回転する小さな歯車なら、そのパワーを吸いつくす大きな歯車がこいつらなんだ。

 私はしばらく俯くと、大郷課長と清水なこはあざ笑うように罵声を浴びせた。


「ははっ! やっぱなこちゃんはうまいねぇ! このサボり魔もこのくらい頭使わないとねぇ!」


「やめてくださいよぉ、課長。これが先輩の持ち味なんですから♡ ちゃんと褒めて使わないと♡ これからもよろしくお願いしますね。せんぱーい♡」


 二人して満面の笑みを浮かべる。あぁ、この笑顔をぶち壊してやりたい。お前らを動かす歯車が私なら、その代わりを見つけてみろ。

 ———いとむつかしく感じたならば、たたきつけておやりなさいな。———

 式部さん。この『感情』を掘り起こしてくれてありがとう。ありがたく使わせていただきますわ!


 私は胸の裏ポケットから、『置き土産』を取り出すと、それを大郷課長のデスクに叩きつけた。

 出された『置き土産』に大郷課長と清水なこは茫然と、それを眺めていた。

 しばらくして大郷課長はか細い声で尋ねた。


「こ、これは……」


「退職届です。私、辞めます」


「………………はっ?」


 目を見開いて冷や汗を流す大郷課長。真逆に私はなぜか恍惚な表情を浮かべて、絶頂にも近いカタルシスを感じていた。

 やっべぇ……気持ちいい! 超気持ちいい! いや、この後どうすりゃ分からんけど。

 しばらくして、大郷課長は再び泣きそうな目で私を見つめ直す。

 いや、お前……なんでお菓子のお預けをくらった小学生みたいな顔してるの? 怪人二十面相か。江戸川乱歩に操られているのか?

 私はにやけそうな顔を必死に抑え込み、冷徹に返す。


「今回の一条電機の契約締結で、私が抱えている案件は全て終わりましたし、いい頃合ですので今月で辞めさせていただきます。有給消化の申請と退職金の口座振込は、直接人事課に申し伝えますので、結構です」


「えっ……あっ……あ、あれっ? ……あー、えっ? えっと……うん? えっ?」


「どうしたんですか? これからは清水さんがいるじゃないですか。どうして……そんなにあたふたするんです?」


「い、いやぁ……それとこれは……あっ、えっと、どっきり?」


「違います」


「はぇ……」


 大郷課長は返す言葉を失って、椅子に座ったまま崩れた。口から白い魂のようなものが見えた。魂を駆るのだけは見逃してやるよ。今回は死神の道具持ってきてないからな。


 契約締結はゴールではなく、スタートラインだ。これから、流動する世界情勢に合わせて、企業と銀行の間に入り、ヘッジ商談を血生臭く行わなければならない。悪いが、あれは人間のやる仕事じゃない。フロント業務、接待、休日返上。生き地獄。


 そして、エース級の社員が辞めるのは、上長の評価に直結する。当然だ。その穴埋めのために他の課からエースを動かさなければならないし、同等の力を持つ社員がいなければ、業務縮小も覚悟しなければならない。当然、管理責任も大郷課長は問われることになる。横並びの出世争いも、他の課に貸しを作ってしまうことで、大きく不利になる。

 辞表を叩きつけると、こうなる。意外と大ダメージなんだよ。


 私が深くため息を吐くと、後ろから清水なこがおどおどとした表情で、尋ねて来た。


「せ、せんぱーい……えっーと、私……何もわからないんですけどぉ……」


「?」

 私は両手を上げて、たこの唇をして答えた。


「ミーティングはしてたよね? 情報共有は沢山してたつもりだけど? あっ! そうか。なこちゃん、ほとんど出てなかったもんね。まぁ、なんとかなるっしょ」


「……え、えぇ~~~~~~、なんとかなるかなぁ……あはは、先輩? どうすればいいですかぁ…………」


「ほら! あれだよ! なこちゃんの得意なノリと勢い! まぁ、銀行はそういう抜きで絞りに来るけど……まぁ、気合でがんばろ? 的な?」


「…………先輩も面白い冗談言うんですねぇ…………それぇ、気合とかじゃあ、無理っぽくないですかぁ?」


「インフルエンサーだからいけるって。あぁ、それ以外の契約もよろしくね。なこちゃん、エースだもんね。がんば!」


「はぇぇ、せんぱーい…………辞表ぉ、叩きつけてぇ、キャラまで変わってませんかぁ? あはは、参ったなぁ…………あのぉ、謝るんでぇ……ここから入れる保険ないですかぁ?」



 清水なこのもう笑っているか泣いているのか分からなくなった壊れた表情に、私は心を遠くへと追いやったような冷静な真顔で答える。


「……ないよ」


 あるわけねぇだろ。

 こうして刑部葵は世捨て人という名の無職となりました。『平安商事』のエース社員が突然何の前触れもなく辞表を叩きつけたこの事件は、面白がった人々の間で当事者の名前を取って『刑部の乱』と呼ばれるようになった。

 なお、当事者がいなくなったとこで、まだこの『刑部の乱』の余波は続くようだった。


 ●


「聞きましたよ! 『刑部の乱』! いやぁ、さすがですね、葵さん」


「伊勢谷さん……誰? その不名誉な騒動の名前付けた人」


 会社の後輩・伊勢谷真美からの電話を受けていた私。辞めた後でも、後輩が面白がってこうやって冷やかしに来るところは人望あったんだろうな。


 『刑部の乱』の首謀者である私は、有給消化に入って、家で干物をしていた。

 応募した漫画の連絡はまだ来ていない。鳴らない電話。いや、ちょっとなって欲しいな。

 もうどうなってもいいや、と過激発言を繰り返す配信者みたく辞表を叩きつけたのはいいが、後になって非常にちょっと後悔していた。

 せめて……冷静に一歩立ち止まるべきだったかな。あの時はかぁーとなってつい……。

 クリエイターズ・ハイって本当にあるんだね。


 我が城ワンルームマンションのベッドの上で、ポテチを領域展開しながら、昼間早々ストゼロを決める私。有給消化を発動することで、私は40日のモラトリアムを得ている。

 光の護封剣を発動している。そのせいか、ベッドの呪縛を受けて動けない。

 仕事辞めるとこうなるんだ。私の意志じゃない。クリボーとストゼロが勝手に。


 カードの精霊をベッドから起きられない理由にしている私は、伊勢谷に会社の事情を聴いた。あの突発的な辞め方だから気になる。それに会社の人は気を遣って、その辺の話題は上げないからな。


「そういや……会社はどうなの? 辞めた私が聞くのはあれだけど」


「いや~、それがすごいですよ! 葵さんが辞めたのをきっかけに、後追い辞職が頻発しまして、会社はその対応で火の車ですよ。葵さんに結構憧れていた人多かったみたいで」


「なんか申し訳ないな」


 後追い辞職って、私は卑弥呼かなんかか。

 とはいえ、他人の行動で自分の人生を決めるのはよくない。自分の人生のオール、他人に任せたらダメだよ。

 眉間を押さえて任三郎みたく「んー……」と嘆いていると、伊勢谷さんはしんみりとした声で呟いた。


「しかしまぁ……葵さんがやめてしまうと、いよいよだなぁ~って感じがしますよね。葵さんがやめるときにぶちまけたことって割とみんな感じてたことなんで……」


「そ、そうなの? そっかぁ~」


 恥ずかしくなって天井を見上げる。

 陰の感情……確かにみんな感じていたんだな。けど、組織そのものを揺るがしかねないレベルになっているなんて仏もびっくらぽんだよ。

 ここまで来ると、逆恨みもありそうだな。


「……会社は結構アレな感じ?」


「んー、会社自体の圧迫感は今に始まったことじゃないんで、あれですけど。大幅な組織の見直しはされるみたいです。実際、葵さんの後任が清水なこになってからは案の定実務はガタガタみたいで。一条電気の佐藤さんは毎日毎日半ギレでクレーム突きつけてくるみたいですよ」


「佐藤さん……がキレる? マジ?」


 辞める前にマニュアル作成や引継ぎもかなりマメにしたけど、あいつの経験値のなさが丸裸になったようだ。ヘッジ管理とかしくじると、誤魔化しがきかない。

 あの穏やかな佐藤さんをキレさせるとは。想像するだけでブルってする。

 モンスターが、さらに眠れるモンスターを呼び覚ましてしまった。これが食物連鎖か。

 どうやら大郷課長もこのままじゃヤバイと清水なこに見切りをつけ始めて、いよいよ彼女の味方はいなくなってしまったらしい。

 そして、さらには。


「このやばさに会社自体が動き始めて……大規模な配置変更が起きたみたいで……出世街道外れた人も元に戻るとか。ちな葵さんの穴埋めは私がやることになりました! だから葵さんはなんも心配しないでドロップアウトしてください!」


「ガチか! すまん!」


「今度、焼き肉奢ってくださいよ~」


 伊勢谷さん……ゴメンよ。


「そっかあ、ありがとう……」


「まあ……それだけ葵さんに期待してたって人多かったのかもしれないですね。葵さんが課長とかになれば少しは変わるんじゃないかと思ってたんですよ。まぁ、私も時期見て辞めます!  じゃあそろそろ休憩終わるんで! それじゃ!」


「えぇ……うん、頑張って。バイバイ」


 困惑しながら私は携帯を切る。

 伊勢谷さんも辞めるって、終焉のカウントダウンだな。

 意外と自分は誰からも見られていないと思っていたが、案外いろんな人が見てくれている。

 こんな……ひどいモノローグを垂れ流す女を。

 こういうのはいつも後から後悔する。幸せはいつだって失って初めて、幸せって気付く。

 小さな不幸ですね。式部さん……。


「はぁ……」


 また1つ小さな幸せを逃がした私。

 だが、捨てる神あれば拾う神あり。逃がした小さな幸せは、私のスマホを鳴らした。

 誰よ。こんな時に。着信アリにするにはまだ昼間だよ。

 私は気だるそうにスマホを凝視する。知らない番号だったが、フリーダイヤルなのでとりあえず出る。貯金があるから、光熱費は困ってないぞ。


「もしもし……刑部です」


「あっ、私、藤原社の中原と申しますけども、こちらのお電話は刑部さんのものでお間違いないでしょう?」


「あー……そうですけど……!?」


 営業時代の冴え渡る頭で『藤原社』の名前をイマジナリー検索エンジンにかける。

 『藤原社』ってあの大手出版社だ。『夢と桜』という隔週出版の雑誌を出しているあの?


 すなわち……これって。

 私は絶句するように、ベッドの上で正座する。


「あ、あの……何かご用でしょうか?」


「はい、先日お送りいただいた漫画についてお聞かせくださいませんか?」


 マジで!? こんなご都合展開ある!?


 第16話に続く

式部さん豆知識


式部さんはなぜか死後『地獄に落ちた』と言われていた。それはなぜかというと「狂言綺語」の罪と呼ばれるものが原因となっている。仏教の教えで「事実ではない嘘を書いて、人の心を惑わせる行為」は重罪とされており、『源氏物語』というフィクションで大衆に嘘の物語を世に広めた彼女は、「死後、地獄に落ちて痛い目に遭ってるに違いない」となぜか平安末期の歌人や学者、藤原家の子孫に大真面目に意味不明な噂を流されていた。しかし「源氏物語を書いた紫式部も地獄に落ちるなら、読んでいた奴らも地獄生き」とエスカレートしてしまったのが運の尽き。『源氏物語』の往年のファンたちが「紫式部は仏の生まれ変わり。つーことは『源氏物語』は仏の教えでしょ?」というトンデモ理論を展開。なんと国中のファンたちがお経の如く写経を始め、お寺に奉納するのだった。これにより『源氏物語』は千年残る話となり、紫式部は文学の神と呼ばれるようになりましたとさ。創作する皆! ファンは大事にしましょう!


ーーー

お読みいただいてありがとうございました!

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