21.入寮!
「お邪魔しまーす!」
学生寮の中に元気よく入ったけど入り口に保母さんみたいな人はいなくて、代わりに入寮者はこちらって感じの立て札が置かれていた。そんなわけなんできちんとそれに従って進むことにした…あの、コノハさん?両肩に両足を伸ばしながらダラーんとするのは辞めてもらっていいですかね。その体制は動きにくくて仕方がないんですよ。
「ここかな?」
『食堂か何かみたいだね』
確かに長いテーブルと奥にある受付みたいな場所に券売機があるし、ここは食堂っぽい。そんな場所に僕と同じくこの学園の学生寮に入寮する人たちがみっちりと集まっている。先生みたいな人もいるけど、手続きやらを済ませたら学年が上の先輩が案内をしてくれる感じかな?
「取り敢えず並ぼうか」
『人が多くて仕方がないねぇ…いよっと』
「あ、こらっ」
目線が集まるのが嫌なのか、頭の上に移動してそこで丸まり始めてしまった。むしろそっちの方が見られると思うんだけど……ああ、顔は隠せるからそれでいいのね。
「ええっと、一番人が少ない場所でいいから」
この強面のお兄さんみたいな先生が居るこの列かな。この人がいるところだけオーラが見えると言うか圧が凄い気がするけど、本人は結構面倒くさそうな顔をしながら対応しているから気のせいだよね。
「次」
「お願いしまーす」
ぶっきらぼうな先生の声に促され、僕の番がやってきた。あれ、先生が僕の前で周囲を見るような動きをしているんだけど……
「あん?声はしたんだがいねえぞ。気配もでかいってのに」
「先生、下です下」
「下だぁ?…おっと悪いな!」
「いえ…良くあることですので」
本当によくあることだから気にしてない…とは言えない。自分でもびっくりするぐらい小さいからなぁ僕……陰陽師の集まりみたいなのでも随分と可愛がられる羽目になったこの体が憎い!カルシウムの摂取とかの栄養補給は満遍なく行って、なるべく22時前には寝るようにしているというのにどうあがいても伸びないんだ。おかげでニキビとかに悩まされることはないんだけどさ。
「鬼岩先生、背が高い生徒ばかり来ていたからって視線を固定しないでくださいよ」
「仕方ねぇだろ。俺んとこに来るのは威勢が良くてガタイのいい奴らばかりなんだから」
「それでもです」
「へいへい」
随分と軽い先生だなぁ…それに結構厳しく先生にも言う先輩だ。ただ眉を寄せるぐらいはしているけど、本当に不機嫌な顔や雰囲気はしていないからよくあるやり取りって感じがする。もしかして担当の先生とかだったりするのかな?
「よし!気を取り直して書類の提出をしてくれ!」
「あ、はい。これで大丈夫ですよね?」
実家で何度も確認した書類だから問題ないはずだ。家を出る前に金ちゃんがもう一枚持って行けっていうのもあったからそれも一緒に出しておこう。
「ほうほう、神門銀之助ね…神門?聞き覚えがあるな」
「去年まで姉がこの学園にいたので、恐らくそれでだと思います。神門朱音って名前なんですけど」
「朱音…あいつの弟だぁ!?随分と雰囲気が違くねぇか!?」
突然驚いたような声を上げるとともに、僕に顔を近づける鬼岩という先生……あ、この距離で見ると頭に出っ張りみたいなのが見えるな。鬼岩って名前だから鬼の角みたいなものかな?
「先生!これ以上は時間が掛かりすぎるので後でにしてください」
「いや、でもよ…あの朱音の弟だぞ?お前も気になるだろ」
「今の先生の反応で逆に落ち着きましたって。ほら、早く手続きをしてください」
「……へぇ~い」
残念な顔をしながらも、書類を確認して――金ちゃんが渡してきた書類を見てピクッと反応していたな?確認していなかったけど何が書かれていたんだろう――最後の紙に墨を取った筆で印をつけて僕に渡してきた。
「これで完了だ。ようこそ学園へ!」
「ありがとうございます!」
「ただ、その紙だけは後でまた確認があるだろうから注意してくれな。そんじゃ案内の奴は誰だ?」
「俺ですね」
そう言って僕の前に来たのはさっきまで鬼岩先生の隣に立っていた先輩。随分とニコニコしているけど、何か良いことがあったのだろうか。
「お前…落ち着いたとか嘘だろ。案内のついでに一人だけあの暴れん坊の話を聞こうとしていたな?」
「いえ、案内のタイミングが丁度なだけですって」
「そこに手を上げようとした奴がいるみたいだが」
「気のせいでしょう。では行ってきますね~」
「え」
うわぁ!この先輩見た目によらず力が強い!
やる気のなさそうな脳筋先生ってテンプレが過ぎる気はしますが、出したかったので仕方がない!
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