第一章「短期決戦」
割と賑わっているが、物凄く賑わっているという訳でもない。それが最初に抱いた感想だった。
愛華ちゃんを尾行すること数分。
たどり着いたのは近所の大型スーパーだった。
隠れる場所が沢山あって助かっているのは事実なのだが、なにぶん人が居るもので、周りにも気を配らなければならないという危険を背負ってはいた。
愛華ちゃんは可愛らしいブランドの服屋へと入っていった。流石に着いて行くわけにもいかず、近くで待機することにした。
あれからどのくらい経ったであろうか。
時計に目をやれば、短針は三から五へと移動している。
つまり二時間。二時間もの間愛華ちゃんはあの店舗から出てきていないという事だ。
「長すぎる………、いくらなんでも長すぎる」
思わず声が漏れるほど。
俺のイライラが割と溜まってきたところで、漸く愛華ちゃんが出てきた。手には大きな袋が携えてある。
そして、そのままこのスーパーを後にした。
俺も後を追う。
この時、俺は心の底から思った。
探偵って、すごいなって。警察ってすごいなって。
無駄な事に思考を巡らせたせいか、気づけば愛華ちゃんを見失っていた。
「どこ行ったんだ……?」
あたりを見渡す。が、あの大きな袋を持った人物など一人も見当たらない。
取り敢えず足を進める、道という道を目視で探す。
俺が愛華ちゃんを探す途中、裏路地に絡まれている女性を見つけた。相手は、怖そうな男三人。
警察を呼ぼうかと思ったが、そうは言っていられない事態だった。
「愛華ちゃん……?」
俺が目にしたのは、愛華ちゃんの顔だった。
急いで助けに………。
行けない、だいたい三対一で勝てるわけないじゃないか。そもそも愛華ちゃんは自ら進んでどこかへ行くって言ってたんだ。俺が助けに行く必要は…………。
「嫌っ! 離してっ!」
男三人は、全員で愛華ちゃんの衣服を剥ごうとしていた。
足がすくんで動かない。
「はっはっは、お前がこんなところに一人でいるからいけねぇんだろうが」
見る見るうちに愛華ちゃんの衣服は脱がされていく、急がないと手遅れに……。
「助けてっ! おねぇちゃん! 優太っ!」
愛華ちゃんのその一言は、俺の中に鈍痛ではなく、電撃を走らせた。
出会って間もないのに、親心みたいな物が生まれているのが確かに分かる。愛華は、俺が守る!
「お前ら! いい加減にしろ! 国家権力に訴えるぞ!」
俺の声に、あの三人を含めた周りの人間全員が目線を向ける。少なくとも、俺にはそう感じる。
「ハァ? 誰だお前」
「もしかして、こいつの彼氏とか?」
「うわ、ありえねー、あはははは」
あの三人は危機感が全くない様に見えた。
大丈夫、何も考えずに動く俺じゃない。
すかさず携帯の番号を押す、一、一、零。
ダイヤル音が鳴る。それに気づいた三人は、漸く危険を察知したのか、こちらへ走ってきた。
距離はおよそ10メートルか、大丈夫。
落ち着けーーー、意識を覚醒させろ。
自分に言い聞かせ、落ち着きを維持する。
「はいーーー」
きたーーー! その瞬間に目の前に三人が迫った。
そのタイミングに見計らい………。
「愛華っ!」
愛華に向かって携帯を投げ渡す、いくら中学入ってないとはいえ、この距離ぐらい造作もない。
不意をつかれた三人は俺に倒れかかる。
その隙に愛華は状況のすべてを説明した。
「や、やばい! 逃げるぞ!」
三人が急いで逃げ出したのを確認して、愛華の元へ駆け寄った。
えぇ、分かってます。いきなりだけど、分かってます。
遅いよね、出すのが圧倒的に遅いよね。
それじゃあ、急ぐためにも、今から次書きます。
ご意見等お待ちしている、鈴木マルでした。




