第1章「尾行」
と言うわけで、先程美稲さんから愛華ちゃんが行きそうな場所をリスト化して貰った。
雑居ビルを出て、まずはリスト番号1。
近所の公園へ向かうことにした。
歩いていると、当然人とすれ違う常人なら目を合わせても何てことないんだろうが、俺は目を合わせられないがゆえに、下を向いて歩いてしまっている。
「情けないな……」
自分の弱さに落胆しているうちに最初の場所へと着いた。
割と広めなこの公園は、入り口からすぐ右手に四人分の椅子が用意されたシーソーがあり、その少し向こうにはブランコがあった。
反対に目線を向ければ、砂場とすべり台なんかもあった。辺りを見渡しても、愛華ちゃんの姿はない。
よって俺は、次の場所へ向かうことにした。
リスト番号2に書いてあるのは、駄菓子屋……?
何はともあれ、向かうしかない。書いてある場所は、これが最後なのだから。
リストというよりメモに近いものを見ながら、俺はその場所へ向かった。
着いたその場所は、少し不思議だった。
駄菓子屋が開かれているのは住宅街、あたりから子供の笑い声なんかが聞こえてくる、駄菓子屋には理想的な場所だ。車の通りもあるし、交通の便もある。
でも、近くに子供が遊べるような施設はひとつも見当たらないのだ。
「……あ」
俺は疑問を抱えながら駄菓子屋の店内を覗いた。
そこには、お菓子を眺めながらお菓子を食べる愛華ちゃんの姿があった。
近くに駆け寄り、声をかける。
「急に出て行ったから、美稲さんも心配してるぞ?
ほら、帰ろう」
肩をぽんと、叩き、帰宅を促す。
それでも、愛華ちゃんは見向きもしてくれない。
聞こえていなかったと思い、もう一度声をかける。
それでも反応がない。
「なぁ、どうして無視してるんだ?」
愛華ちゃんは素早くこちらを向き、走って何処かへ行ってしまった。
「愛華ちゃん、まだ泣いていた……?」
一体何処へ行ってしまったのか、俺には見当もつかな………。
「さっきの公園?」
俺は足早にそこへと向かった。
先程と同じ公園へ来てみると、ブランコを軽く漕ぎながら下を向いている愛華ちゃんの姿があった。
むやみに話しかけても無駄だと思い、俺は隣にいる事にした。
「…………」
やっぱり愛華ちゃんの反応はない。未だに下を向いたままだ。
ーーーやっぱり駄目か……。
そう思いかけた時、愛華ちゃんが話しかけてくれた。
高揚する気持ちを抑え、冷静になる事にした。
同じ様なミスは、犯せない。
「あんたさぁ、何で追ってきたの?
あぁ、お姉ちゃんに頼まれた?」
少し怒った様子で、俺への理由を問う愛華ちゃん。
言葉一つ一つに気をつけろ。自分にそう言って、愛華ちゃんに答えを返す。
「あぁ、美稲さんに頼まれた」
俺の答えを聞いて、少しブランコを漕いだ愛華ちゃん。
「なら別に良いよ、どうせ連れ戻せとかでしょ?
私はこのままどこかで暮らすから、お姉ちゃんには見つかりませんでしたとか、いい加減なこと言っておいて」
愛華ちゃんの言葉には、どこか強がりがある様に感じた。それと同時に俺の中には少し憤りがあった。
が、それは押し殺さなければならないものだと、分かっていた。
「愛華ちゃん、一人で暮らすって、そう楽じゃないよ」
「は? 何勝手に勘違いしちゃってんの? 私にかかればその辺の男に貢がせるし、体なんて簡単に売れるし」
すると、愛華ちゃんは立ち上がり、去り際に一言残していった。
「それじゃ」
すぐに追いかけるべきか、少し一人にしてやるべきか。俺は中間のばれない様に尾行するという選択肢を選んだ。
どもども、最近書き上げが遅いし、天候も雨で憂鬱な、鈴木マルです。
アイデア自体は浮かぶんですけど、なかなかペンが動かない、そんな感じですね。動かしてるのは指ですがw
暇人なので、ご意見等お待ちしております。




