姫と騎士の攻防戦
よーし!
砂糖爆弾投下!!
いや、甘くはない…かな?
フィル好きのかた、
相変わらずのキャラ崩壊にご注意ください。
苦情は心にしまっておいていただける、という方のみ読み進めてください(笑)
部屋に近づくと扉を護る衛兵がこちらに気付き、敬礼した。
敬礼を返した後フィルがドアをノックすると、少し間をおいて中からティアの返事が聞こえる。
どうやら今日はマリアは既に下がっているようだ。
カチャリ…
開いたドアの向こうには、会いたくてたまらなかった姿。
「フィル…?」
頬を上気させ目をパチクリと瞬いて見上げてくるティアを勢いで抱きしめそうになったが、ーーまだ人目もあるし誰に見られるかわからないーーーそう思い、全力で堪える。
「夜分に恐れ入ります、姫様。お耳に入れていただきたいことがございます。少しだけお時間よろしいでしょうか?」
「あ、は、はいどうぞ!」
暫くこちらを見てぼぅっとしていたティアはハッして勢いよく扉を開いてくれる。
「……まねき入れてもらってなんだけど警戒心が薄すぎて心配になるな…。他の男は気軽に部屋に入れてないよね?」
「大丈夫!フィル以外はエドとロード、シュウくらいだから!!」
むしろそっちのほうが問題だよ。
そうツッコミが喉元まで込み上げたがまた堪える。言い合いをしにきたわけじゃない。
それを知ってか知らずかのほほんと話すティア。
「それに、一応姫としてはあまり無闇に人に近づかないようにはしてるし!こないだシュウにも注ーーー」
と、そこで不自然に言葉が途切れ。
「…シュウが、なに…?チュウ?」
咄嗟に出た声はかなりとげとげしかったかもしれない。
ヒィイッ!とあまり女性らしくない声を上げて仰け反ったティアの顔は、恐怖に引きつっている。
2人の間の空いた空間を埋めるようにすぐさま詰め寄る。
「あ、違う違う、なんでもなーー」
「シュウと、俺に言えないことしてたの?」
「いやいや、断じてしてない!全然っフィルに関係ないし心配ないから!大丈夫!」
この言葉がまずかった。
一気にどす黒い感情の引き金を引いた。
「……………へぇ?俺には関係ない?」
冷気を孕んだ声に、さすがのティアも後ずさる。
「…なんで後ずさるの?ねぇ…俺に近づいてくれるんじゃなかったの?」
ついには背を向けて逃げようとするが、騎士団の部隊長相手に魔法も使っていないティアがスピードで叶うはずもない。
「離さないって、言ったよね?」
背中からふわりと抱き締め、動けないようにティアの小さな体を腕の中に拘束する。
花のような香りが鼻腔をくすぐる。
「他の男に目移りなんて、許さない」
自分もこんな感情的な声が出るんだなーーー
どこかで冷静にそう思いながら、フィルはティアの顎をつかんで強引に振り向かせ、そのまま噛みつくように唇を奪った。
「フィ……ッんぅ!」
久しぶりの柔らかな感触に、酔いそうだ。
ーーまずいな、止まらない。
ティアの体の向きを変えて手を後頭部と腰に回しながら、口付けを深くする。
熱を持った唇を離したその一瞬で、
ティアが「ぷはっ!ス、ストップストーップ!」と手でフィルの口を塞いでしまう。
「はぁっ…あの!聞きたいんだけど!!!フィルも、私のことすきなの⁉︎」
部屋に沈黙が落ちる。
「………………………………は?」
長い沈黙の後、フィルの間の抜けた声が部屋に散った。
はぁ…
ティアの恋愛偏差値を上げたいんだけどどうすればいいか謎です。
もうすぐ100話。
切りよく本編終えてみようか、
まだ続けてみようか、
考え中です。