部屋割り攻防
空いていたのが、2人部屋二つ。
改めて言うまでもないけど、
私たちは五人いる。
うち1人は女子です。
どこの宿屋も混んでいて
他では部屋が取れるかも怪しかったので仕方なく二部屋おさえたけど…
「………どうします?」
夕食を食べがてら部屋割り相談です。
男性と一緒の部屋に寝るのは抵抗あるけど、さすがに2人部屋に男四人入れるわけにいかないし…我慢するしかないか。
そう思いつつ肉料理をつついていたら、ロードさんに鍵を渡された。
「我々は2人ずつ交代制で姫様の部屋の前に見張りに立つことにしますので、
姫様はこちらの部屋をお使いください」
その提案に驚いて喉に芋の塊を詰まらせてしまった。
「げふっ、でっ、でもそれじゃあ…
ゴホゴホッ皆さんが休まりません!」
ポルナレフさんがお茶を差し出してくれる。ふぅ苦しかった…
「明日からも長い道のりなんですから、
きちんと休んだ方がいいと思います。」
「そういうわけにはいきません!」
「着替えとかだけ何とかなれば、
私は相部屋でもいいですよ。」
会って数日だけど、この人達なら部屋に一緒にいても害はなさそうだし。
「ダメに決まってるだろ」
譲らない私にフィリスさんが不機嫌そうに吐き捨てた。
「部屋の前で見張るか中にいるかの違いだけです。
部屋で休みつつ護衛してもらえば
一石二鳥ですよね☆」
「そういう問題じゃない」
じゃあどういう問題だ。
「姫様、お気持ちは有難いですが、
年頃の女性と相部屋というのは…
姫様と我々とでは身分も違いますし。」
ロードさんが困ったように援護する。
うーん、まだ姫って完全に認めたわけじゃないし、私のせいで誰かが休めないとか嫌なんだよなぁ。
そんな理由じゃ納得しないだろうし…
ち卑怯だけど身分がどうとか言うなら。
「じゃあ、その姫からの‘命令'ということにしましょう。
ロードさん、フィリスさん、相部屋になって下さい。
…聞いてくれますよね?」
フォークを置いて説得すべき2人の手を
がしっと握り首をかしげると、
溜息と苦笑が同時に聞こえた。
「そこまで言われては仕方ありません…
では、護衛ということで、
甘えさせていただきます。」
「はい。よろしくお願いします!」
そんなこんなでティア、16歳。
初めて男性と夜を同じ部屋で過ごすことになりました。
意外と連続更新できました。
普通は一人部屋になるべく戦う気がしますけど…こういうコなんですね。
キャラが自由に動いてしまうのでわたしもどうなるかわかってないです。