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彼が再登場です。

フィルに続いてエドまで、あ、あんなことをするなんて……


他人はもちろん母とも親愛のキスなんて経験がないので、すごく戸惑ってしまう。

王侯貴族はあれが普通なの?なんだか義弟が急に大人に見える。あ、姉としての威厳が…



そのあとの講義はあまり身が入らなくて、マリアに心配された。


「姫様、お疲れでしたらお風呂にでも入って休まれますか?」


「…そうね……そうする」


「かしこまりました。」


マリアが湯船の準備をしに部屋の奥へ行っている間に、少しだけでも立ち居振る舞いの復習をしておこう。体に染み込ませないとね。


すっと背筋を伸ばして歩く練習をする。とりあえずバルコニーまで…と歩を進めた時、風を切って何かが向かってきた。


「!?」


咄嗟に伏せた頭の上を通過して壁に刺さったのは、矢だった。


「な…っ襲撃!?」


ぎょっとして態勢を整えたものの、うまく殺気を隠しているのか矢の出処がわからない。


警戒して辺りを見回したその時、後ろから自分を呼ぶマリアの声が聞こえた。


今来たらマズい!



マリアを止めようと慌てて部屋に戻ろうとしたティアに向かって2方向から矢が飛んでくる。

「ち…っ!」



キン、キィン!!!



どちらかだけでも防ごうと魔力を放出しかけたティアと矢の間に

突然黒い影が現れ、矢を二つとも叩き落とす。


その黒い影は、そのままテラスから襲撃者がいるであろう方向を見据えていたが、

やがて構えを解き、振り返る。



「や。お嬢さん、元気してた?」


テラスに寄りかかって、ひらひら軽く手を振ってくる。


短い黒髪。金色がかった瞳が黒猫を想像させる。

つり目で頬に傷のある――



「…シュウ!?」


「ずっと影から見てたくせによく言う」


「え!?」


いつのまにか室内に入ってきていたフィルがとんでもないことを言った。


「ありゃ。やっぱりフィルの旦那には気づかれてたか~」


「変な呼び方するな。」


「それより、姫様、ご無事ですか!?」


シュウの存在に驚いていたマリアがはっとして駆け寄ってくる。

ティアの様子をおかしいと思ったマリアが部屋の扉の前で護衛していたフィルを呼び入れたようだ。


「なんともないよ。シュウ、ありがとう、助かった。でも影から見てたって何?」


「あんたを影から護衛するって依頼。裏からくるやつは裏からラフに守ってる方が見つけやすいからね。

で、何人かは叩いたけど、今の奴らは逃げられちゃった、ごめんね。」


あくまで軽く言うけど、それだけ常日頃狙われていたということだ。


気が引き締まる。



「私を守るって誰の依頼?」


「んーそのうち依頼主から話があると思うから、とりあえず味方だってことだけ認識してくれる?」



こういう言い方する時のシュウは、意見を曲げない。

少ない時間しか行動を共にしていないがそれくらいはわかる。


「わかった。」


「姫様…」


マリアが心配そうにこちらを見たので、安心させるように笑う。


「マリア、大丈夫。シュウは頼れるし信用できる人だから。」



それ誉め殺し、と頭をくしゃくしゃされた。もちろんその手は即座にフィルに払われたけど。



「とにかく、私も気をつけるけど、外の警備も少し増やしてもらわないとダメかな…?明日お父様とオーウェン宰相に相談してみるね。

というわけで、今日はもう襲撃もないだろうし、お風呂入るから出てってくれる?」



私を挟んでなんだが見つめあってる2人に言い放つと、シュウはにかっと笑って了解と手を振り、窓から、

フィルは、憮然とした表情で、ドアから、それぞれ同じタイミングで気配と一緒に退散した。



部屋に残された私はふぅ、とため息。


なんだかんだ息は合う2人だと思ってるのは私だけ?



残暑です。


今日もありがとうございます。


もう少ししたら登場人物紹介いたれた方がいいのかな、などと思っております。


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