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最悪の事態

お待たせしました


その頃、城では。



「…ッ殿下、ディオルク様!」


身なりを整え終え、会の細かな最終確認をしていたエドとフィルの元に、血相を変えたマリアが走り込んで来る。



淑女としての礼節を重んじる彼女には珍しい慌てように、エドも眉をひそめる。


「どうした?」


「ひ…っ姫様が!」


「!姉上に何かあったのか⁉︎」


「ティア様もですが、ソフィーヌ様も!」


「は?」



「なんの騒ぎだ?エドワード殿。ソフィーヌがどうかしたか」


そこで、散策でもしていたのか、その場にレオナルド王子までもが加わり、マリアは余計に顔を青くする。



「いえ、私も何が何やら。レイフォール、落ち着いて説明してくれ。」



「はっはい…。なぜかはわかりませんが、ソフィーヌ様が共をつけずに城下に出られ、それをティア様が連れ戻そうと追い掛けられたようなのです。この書き置きが部屋に。」



恭しくも即座に目の前に出された書き置きは、走り書きではあるが、そこまで慌てているような字でもない。


「…追い掛けたのは本当のようだ。ただ、この感じだと…すぐに戻ってくるつもりじゃないか?姉上のことだから、そこまで心配せずともーーー」



「恐れながら。書き置きは風に舞ったのか床に落ちていて、私も気づくのが遅れたのです。ディオルク様にお届け物をし戻った時にはもうお部屋にいらっしゃらず、お姿を探していたところ、この紙を見つけましたので」


「…あれからだと、もう結構時間がたっています、殿下」


フィルが焦りを隠してエドにそう伝えたところで「フィリス隊長!ーーー殿下も!」血相を変えたディエゴが走ってくる。


「何事だ。」


今日は外の警備に当たっていたはずのディエゴが来たことで嫌な予感がエドとフィルの間を駆け抜けた。


「城下の路地で騒ぎがあり駆けつけたところ、ここ最近ユーレストとセレスティナの国境を騒がせている盗賊団の一味と思しき男達を捕らえました。現在ロード第一部隊長が尋問室で話を聞いています。その者達が魔法を使う女にやられたと話していて」



最悪だ。もしかしなくともその女というのは。


「っ、ディオルク!」


「はっ!今すぐ吐かせて後を追いましょう。」


動きが制限される正装なのも構わずに、フィルはその言葉と残像だけを残してかき消える。



なんでこういつもこうなるんだ!無事でいてくれ…!


「ティア…!」


愛しい人の名前が唇からこぼれ落ちた。



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