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エピローグⅠ 独り

□ □

 ──時魔術が、俺に行使された。

 意識が分裂する感覚。

 幽体離脱のような感覚がしばらく続いて──そして、消えていった。


 目蓋を開ける。

 俺とメルルがベッドの上に居た。

 メルルは、魔杖をオレに押し当てている。


 ──俺たちはあの後、名残惜しむように話をして、作戦を考えた。

 転移後の動きについてだ。

 

 作戦が固まり、メルルが俺に時魔術を行使する。

 だが、俺は変わらず、ここに居た。


「『仮称・超転移』は上手くいったのか?」


 彼女の魔力を見るに、時魔術は行使されていた。

 メルルは魔方陣を確認する。そして。


「間違いなく成功した──だけど、元の意識が転移されるわけでは、無いのか」


 それはきっと──。


「……言うなれば、魂の転写、か。……イサム、君の視ている現実が移動するわけではないみたいだね。この世界を変えられる訳ではなかった。──別の世界の運命はきっと、変わるんだろう。……ごめん。私は、神と同じ領域に、辿りつくことができなかった」


 メルルは歯を食いしばり、その目からはぼろぼろと、涙が伝っていた。


 俺が現代に居た時、タイムスリップ、タイムリープ物の映画をいくつも見てきた。

 だから、なんとなく分かる。

 世界は分岐したのだ。

 あっちの俺は、きっと上手くやるだろう。

 

 彼女の涙を拭って、口付けをした。


 さて、行く場所は一つだ。

 俺はベッドから降りる。


「イサム──?」

「あいつと決着を付ける──責任は……果たさなきゃな」


ご覧いただき、誠にありがとうございます。

感想や評価、ご指導ご鞭撻を賜れば幸甚に存じます。

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