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Angelic Bless  作者: よしおか
序章 その少年、白の衣に金の髪を靡かせて
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プロローグ てんしのうた(旧時代 古王国童謡・作者不詳)

むかし むかし そのまたむかし


せかいがひとつであったころ てんしがそらをとんでいた


せかいがへいわであったころ めがみがだいちをまもってた


むかし むかし そのまたむかし


ひとのいのりがだいちをめぐり だいちがいのちをはぐくんだ





あるときめがみはかなしんだ おおごえあげてかなしんだ


ひととひととがたたかって おおくのひとがいきたえた


たたかうひとのくらすちを ほのおのけんでひきさいた


せかいがよっつにわかれても めがみはずっとないていた




ひととひととがたたかって せかいはよっつにわかたれた


ひととひととがいのりをよせて せかいはふたたびめぐりだす


めがみはいまもないている せかいをおもってないている


てんしがひとをみまもって ひとがてんしにいのってる


むかし むかし そのまたむかし


せかいがひとつであったころ せかいがへいわであったころ






(神聖ディオネシア教皇国 皇立学術研究院所蔵・皇国歴史全集による)





◇◇◇◇





 この歌い出しで始まる童謡「天使の歌」については、イファルナ大陸の地に暮らす知識階級の民ならば聞いたことのない者は居ないだろう。シェリアウィズ神教会の初等学術院などでも授業で扱っているし、何より筆者のように集落伝統の童歌として周囲の大人から伝え聞いた者もいる。しかしながらシェリアウィズ神教会の総本山たる教皇国議会でも近年に至るまで、この歌が何を示すのか明確には解明されておらず議論が絶えない。

 教皇国がシェリア教を国教に定め、大陸各地に礼拝堂を建造してから来年でちょうど千年の時間が経過したことになる。千年前、神聖使徒シェリアは神々の怒り(戦災説が濃厚だが、当時の医療技術や農産技術などを鑑みるに飢饉、疫病、自然災害など可能性はいくらでも考えられる)を鎮め、四大陸に安息の日々を齎したと言われている。

 しかし上記の歌詞に於いては「女神はずっと泣いていた」のままであるのだ。これは「世界が一つであった頃 世界が平和であった頃」と結ばれる歌詞の最後まで続いており、女神の涙を止める者は居ない。

 この童謡の原典に関しては、皇国に保管されている神聖文字のものとされている。上記の歌詞はこれを翻訳したものだが、訳した際に使われる単語は難解な物ばかりであり、そもそもこの歌は童謡だったのかという疑問も残る。筆者はこの歌が、旧時代の宗教の出来事なのではないかと考えている。現在のイファルナ大陸とは違う教えの根付いた地で起こった悲劇に立ち向かったのが神聖使徒シェリアだとしたら、泣き続ける女神の涙を止めたのが使徒シェリアだという教会の持論も頷ける。

 果たして神聖使徒シェリアは何を成したのか。人々の争いは止まった筈ではなかったのか。昨今の政治情勢を見て、筆者は疑問を拭い去ることが出来ない。






(エルト・オーヴィエンツ著 『千年祭に向けて』)




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