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6話目 おかえりお頭

ラル。リスの獣人であり、凄腕の商人として名を馳せている。その性格は守銭奴であり、すごくケチ。使い心地も見た目通りという感じで、足にそろばんをつけ高速移動したり、小銭を投げつけたり。そして何より、当たり判定も体も小さいのでVRゲームであるこのCoNではかなり嫌われていた。中には下段でも攻撃が当てられないキャラもいた。


そんなラルから馬を購入し、景清はアジトの場所を頭で思い出しながら馬を歩かせる。


街から続く街道を歩いていると腹の傷が塞がっていくのを感じた。フィールドから出たという判定なのだろう。


「これもゲームの仕様通りか。」


CoNはオープンワールドゲームでありながら、格闘ゲームでもある。故にフィールド毎に目には見えない境目があるのだ。そこを通り過ぎると、元のフィールドで受けた傷や体力は回復する。いわゆるマップ移動と言うやつだ。


「…確かここら辺に洞穴が…っとあった。」


そこは一見何の変哲もない洞穴。入口に2本の松明がかけられているだけの洞穴だった。しかし、他の洞穴と違うのはその入口に門番のように男2人が立っていることだった。


洞穴の外いにた男達がこちらを振り向き、武器を構えた。が、直ぐにその武器をその場に落とした。


「お、お頭…!お頭!!!!」


「…ずっと…ずっと…!待っていました!」


2人が目に涙を浮かべながらこちらへ走ってくる。


(すごい慕われてたんだな…景清…)


ゲームのストーリーモードではただの「悪の組織のNPC」だと思っていたが、リアルにこうして涙を流して喜ばれると、一明の心にも温かいものが込み上げてくる。元サラリーマン、部下にここまで慕われた経験はなかったので、普通にちょっと嬉しい。


「中でみんな待ってますよ!!」


「玉座!言われた通りに毎日ピカピカに磨いてました!!」


「そうか…ご苦労。」


「……それで、お頭。その馬が今回のお宝で?」


「見るからに凄い馬ですね……! やっぱりお頭は格が違う……!」


「あ、あぁ。そうだ。商人には、餞別もくれてやったしな」


部下のふたりが、ゴクリと息を呑んだ。

((流石はお頭だ……! あの守銭奴で有名な凄腕の商人ラルから、こんな上質な名馬を奪い取り、さらに『餞別』として金まで毟り取ってくるなんて……!))


「俺……一生着いていきます……!」


「お、俺もです……お頭!」


「? ああ。そうか。嬉しいぞ」


(いやー、元サラリーマンとしては、部下にここまで慕われた経験なかったから普通にちょっと嬉しいな……)


そんな内面のほっこり感を隠し、景清は馬からサッと降り、手綱を引いて歩き出す。


長く、そしてゲーム時代には散々引っかかった罠だらけの通路を抜け、一番奥にある大きな広場へと出た。

そこが【笑撃団】の本拠地だ。


そして――その中央には、およそ薄暗い洞穴にはふさわしくない、ピカピカでギラギラに輝く『玉座』が鎮座していた。


あまりの眩しさに、景清の動きがピタリと止まる。


「……なぁ。我の椅子って……あんなに金だったか?」


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