4話目 勇敢なる戦士 ガンダ
ガンダ。ヴァイキング随一の戦士で、その偉大さを持って弱きを救うために冒険者になった……という設定のキャラであり、CoNにおける壊れキャラの1人だ。
簡単操作にもかかわらず、数々の壊れ技を持つ。威力もさることながら、無敵判定も長い。初心者がとっつきやすくなるように、運営が上方修正を重ねに重ねた結果生まれた化け物だ。初心者ガンダ使いが上位ランカーを下すなんて、よくある話だった。
だが、幸運にもストーリー上、こいつはまだ景清のことを知らない。ストーリーが進むにつれ、他のキャラから噂を聞いて対立、みたいな流れだったはずだ。
(にしてもデケ〜。2メートル位はあるんじゃないの? こいつ)
「おい、聞いてんのか。どこで俺のことを調べあげたんだ? 気味の悪いヤツめ」
「……失礼。偉大な戦士の噂はこちらまで届いていたもので」
「へぇ……おだてりゃ見逃してくれると思ってんのか?」
(なんだこいつ、ここまで脳筋だったか?)
「私としては荒事は避けたいんですよ。痛いのは嫌ですしね」
「あそこまで怪しく登場しといてそりゃ都合がよすぎるだろ? テメェ、地下で何してやがった?」
一明は何も言わずに、己の腹部をそっとさすった。
「あ? なんだ、てめ……」
ガンダがその腹へ目をやると、そこには刀が貫いたかのような傷があった。
しかも、傷から向こう側の景色が少し見えた。何かが完全に貫通していたのだ。
「な、なんだよその腹」
(腹? ああ。さっきの切腹か。コンボ練習なんて、こいつに言っても通じないだろうしな……)
「ああ、少し。試してみたいことがありましてね。その結果です。お気になさらず」
ガンダの顔からみるみる血の気が引いていく。
理解の外側にある目の前の存在に、殺意どころか、敵意すらも恐怖という疑問に覆い尽くされていく。
「え? ああ。あー、そうか。その、なんだ。早めに医者に見てもらえよ? 悪かったな、引き止めて」
そしてガンダはそそくさと元の席に座って、今のことを覚えていたくない一心で酒を煽り始めた。
(おお、めちゃくちゃぼかしただけで納得してくれるもんだな)
「ありがとう。戦士よ。それでは」
そして改めて外の扉へと歩き出す。
目指すは、【笑撃団】のアジトがある大宝山。




