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ヨーコの欲望  作者: あみれん


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12/13

独白(その12)

ワタシはカナコ。

今回も私が書くね!


あのね、「浮気」「不倫」「不貞」って、いったい何が違うんだろうって、長い間考えてたんだ。


言葉の定義では、

「浮気」は心がよそを向くこと。

「不倫」は許されない恋、主に既婚者の道ならぬ恋。

「不貞」は、その行為を法律で扱うときの言葉。


「浮気 > 不倫 > 不貞行為」って感じかしらね。


でも、どれも誰かが後からつけた名前に過ぎないよね。

だって、いちいちそんな分類を意識して、道ならぬ恋なんてしないでしょ?

少なくとも私はしなかった。


で、ちょっと私の「道ならぬ恋」の話を聞いてくれる?


あの時の私は――

ただ、あの人に会いたかった。

家庭のあるあの人にね。


一目ぼれ。

最初はただそれだけだったんだよ。


彼は会ってくれた。

そして、自然に恋へと進んでいった。


誰かを傷つけたかもしれないことは分かってた。

でも、止められなかった。


世間の道徳と、私たちの恋愛が一致しないことも分かってたよ。

恋は盲目、なんて言うけど、私のは違った。


私はこの恋愛を正当化する「理由」を探していたの。

少しでも後ろめたさを軽くしたかったから。

ね? 結構冷静でしょう?


実はね、彼の奥さんは宗教にのめり込み、お金を失い、お酒の問題も抱え、ついには精神科の病院に入院したの。


彼にも限界があったんだよ。

そんな彼にとって、私との逢瀬は、一人の男としていられる時間だったの。


あ、「理由」みーつけた、って感じ。


彼の奥さんが入院した夜、彼はいつもとは違っていた。

私を激しく求めながらも、欲しいものを欲しいと言えずにいるの。


彼がどうしようもなく懇願して、ワタシを欲しがる瞬間が好きだった。

たまらなく愛おしかった。

分かる? この感じ。


終わった後にね、

「ねぇ、私がいなくなったら寂しい?」

って、いつも意地悪を言うの。


彼は黙って頷く。


それでまた始めるの。

彼の孤独を知っているから、私も大胆になれた。

何度も絶頂に達して、意識が遠くなり、時々泣いてしまうくらい。


彼は私と人生をやり直したいと言ってきた。

私も彼と結婚したかった。


でも、彼は良心の呵責からなのか、離婚しないまま同棲できないかと言ってきたの。


「これは結婚と同じだ」なんて言ってね。


で、結局別れたよ。


だって、そうでしょう?

結婚と同棲が同じわけないじゃない。


やーめた、って感じ。

結構あっさりしてるんだよ、ワタシ。


でね、たまに振り返るんだ。

あの「道ならぬ恋」のこと。


「浮気」「不倫」「不貞」――

違いを考える気はないけど、何かを変えようとする行為につけられた記号なのかもしれない。


「壊したい」「壊れた状態から抜け出したい」「増やしたい」とか……。


でも、ワタシのはどれでもない。


だから思うの。


これって、当事者たちのための言葉じゃなくて、当事者の周囲の人たちのための言葉なんじゃない?


ちがう?

✳︎作:カナコ

✳︎編集:あみれん

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