独白(その12)
ワタシはカナコ。
今回も私が書くね!
あのね、「浮気」「不倫」「不貞」って、いったい何が違うんだろうって、長い間考えてたんだ。
言葉の定義では、
「浮気」は心がよそを向くこと。
「不倫」は許されない恋、主に既婚者の道ならぬ恋。
「不貞」は、その行為を法律で扱うときの言葉。
「浮気 > 不倫 > 不貞行為」って感じかしらね。
でも、どれも誰かが後からつけた名前に過ぎないよね。
だって、いちいちそんな分類を意識して、道ならぬ恋なんてしないでしょ?
少なくとも私はしなかった。
で、ちょっと私の「道ならぬ恋」の話を聞いてくれる?
あの時の私は――
ただ、あの人に会いたかった。
家庭のあるあの人にね。
一目ぼれ。
最初はただそれだけだったんだよ。
彼は会ってくれた。
そして、自然に恋へと進んでいった。
誰かを傷つけたかもしれないことは分かってた。
でも、止められなかった。
世間の道徳と、私たちの恋愛が一致しないことも分かってたよ。
恋は盲目、なんて言うけど、私のは違った。
私はこの恋愛を正当化する「理由」を探していたの。
少しでも後ろめたさを軽くしたかったから。
ね? 結構冷静でしょう?
実はね、彼の奥さんは宗教にのめり込み、お金を失い、お酒の問題も抱え、ついには精神科の病院に入院したの。
彼にも限界があったんだよ。
そんな彼にとって、私との逢瀬は、一人の男としていられる時間だったの。
あ、「理由」みーつけた、って感じ。
彼の奥さんが入院した夜、彼はいつもとは違っていた。
私を激しく求めながらも、欲しいものを欲しいと言えずにいるの。
彼がどうしようもなく懇願して、ワタシを欲しがる瞬間が好きだった。
たまらなく愛おしかった。
分かる? この感じ。
終わった後にね、
「ねぇ、私がいなくなったら寂しい?」
って、いつも意地悪を言うの。
彼は黙って頷く。
それでまた始めるの。
彼の孤独を知っているから、私も大胆になれた。
何度も絶頂に達して、意識が遠くなり、時々泣いてしまうくらい。
彼は私と人生をやり直したいと言ってきた。
私も彼と結婚したかった。
でも、彼は良心の呵責からなのか、離婚しないまま同棲できないかと言ってきたの。
「これは結婚と同じだ」なんて言ってね。
で、結局別れたよ。
だって、そうでしょう?
結婚と同棲が同じわけないじゃない。
やーめた、って感じ。
結構あっさりしてるんだよ、ワタシ。
でね、たまに振り返るんだ。
あの「道ならぬ恋」のこと。
「浮気」「不倫」「不貞」――
違いを考える気はないけど、何かを変えようとする行為につけられた記号なのかもしれない。
「壊したい」「壊れた状態から抜け出したい」「増やしたい」とか……。
でも、ワタシのはどれでもない。
だから思うの。
これって、当事者たちのための言葉じゃなくて、当事者の周囲の人たちのための言葉なんじゃない?
ちがう?
✳︎作:カナコ
✳︎編集:あみれん




