独白(その13)
ひさしぶり!カナコだよ。
ヨーコさんのとこに、ワイン持って来たのよ。
ロマネ・コンティ、一本200万円以上する超高級ワイン。
もちろん、私が買えるわけないわよ。
入手経路はね……やっぱ、言うのやめとこ。
ヨーコさん、ワインに目がないの。
で、すごい喜んじゃってね、こんなのチビチビ飲むもんじゃないの、とか言ってもうガブ飲みよ。
そしたら、よ~こさん、酔いつぶれちゃった(笑)
ワタシも帰らなきゃ。
でも、まだ終電まで時間が少しあるから昔話していい?
あのね、昔ね、合コンで知り合った男の子と二人きりでデートをしたの。
誘ってきたのは彼だよ。
そのとき、彼に言われた言葉。
「意外と面白くないんだね」ーーだって。
えっ? そう来たか、そう思った。
でもね、なんかわかるの。
ワタシね、大勢の中にいると、自然とリーダーシップを取ってしまうんだ。
場を仕切ったり、話を回したり、みんなを楽しませたり。
気がつけば、いつも目立つ存在になっているからね。
合コンでもそんな感じ。
だからなのか、男たちは勝手に期待するらしいんだ。
きっと二人きりになっても、ワタシがリードして自分を楽しませてくれるんだろう……と。
でもね、それはちょっと違うのよ。
大勢の前にいるときと、男と二人きりのときでは、ワタシ、態度が違うの。
何故かって?
理由は簡単だよ。
ヨーコさん風に言うと…
集団の中にいると、自然に役割が生まれるじゃない。
盛り上げ役、聞き役、いじられ役、まとめ役とか。
ワタシの場合は「まとめ役」ね。
自然にそうなっちゃう。
性分だね。
でもね、二人きりになればその役割から解放されて、コミュニケーションの目的が「相手を知ること」「自分を知ってもらうこと」に変わるじゃない。
だから、そこには「まとめ役」の私はもういない。
それとね、男と二人きりの時は男にサービスされたいの。
だから、"待ち"になっちゃう。
わざと大人しくしているわけでも、猫をかぶっているわけでもないの。
ただ、彼のリードに身を任せてみたいの。
お姫様みたいに扱われたい。
結構ウブなんだよ。
贅沢……なのかな?
もうちょっと話しちゃおかな。
そう、アッチの話。
「えっ、アッチのほうはどうなの!?」
なんて、ヨーコさんみたいなヤツ、期待している?
でもね、アッチだってウブなんだよ。
最初は普通に緊張するし、恥ずかしい。
できれば真っ暗にしていたいくらいだし、音楽でもかけて、少しでも気を紛らわせたい。
お酒の力も必要なくらい。
だって……あのときの自分の顔なんて、絶対に見られたくないもの。
でね、私は思う。
エッチって、2回目がいいと思わない?
私はね、実は2回目が好き。
1回目は緊張と恥ずかしさで、それどころじゃない。
でも2回目になると、少しだけ余裕が生まれる。
相手のことも、自分のことも、ほんの少しわかってくるから。
恋愛もそうだけど、何事も2回目からが本番なのかもしれない。
1回目は、いわば予行練習。
お互いに緊張しているし、何もかもが探り探り。
でも、2回目があるということは、相手も私も、もう少し先の高みを目指したいということ。
そうなったら、もう、味わい尽くしたいし、尽くされたい。
お互いに遠慮がなくなって、もっと楽しめるようになる。そこからが本番だと思うのよね。
それも「相手を知ること」「自分を知ってもらうこと」だと思う。
だから、あのとき「意外と面白くない女だな」と思って去っていった男は、実にもったいないことをしたと思う。
ワタシを知る前に、そう、ワタシの魅力のフルコースを味わう前にさっさと席を立っちゃうなんて。
女のフルコースを味わえるかどうかは男次第。
何ごとも精進、精進(笑)
あら、残念、もう行かなきゃ!
✳︎作:カナコ
✳︎編集:あみれん




