独白(その11)
ワタシはカナコ。
そうそう、カナちゃん。
前にヨーコさん、ワタシのこと、「猥談仲間」なんて紹介してたよね。
アレ.....ちょっと失礼じゃない?
だって、猥談仲間って......
ヨーコさんもヨーコさんだよね。
ワタシたち、文学の話もするし、音楽の話だってするんだよ!
けっこう真面目なんだから。
……まあ、最終的には、猥談になっちゃうことが多いんだけど(笑)
例えば、
「この作家ってさ、夜の生活だったら、けっこう乱暴に済ませそうじゃない?」
とか、
「この曲、もしかして前戯してるときに作ったんじゃない?」
とか、こんなことを真剣に話しちゃう。
傍から見たら、もうくだらないでしょ?
でもね、ヨーコさんと二人で、ものすごく真面目な顔してそんな話をしてるのが、いちばん可笑しいの。
今日はね、ヨーコさんの代わりに、ワタシがワタシの性癖を独白したい気分なの。
ワタシね、指フェチなんだ。
指フェチってわかる?
指が女みたいに綺麗な男っているでしょ?
ワタシの場合、アレ見ると、その指を舐めたくなるし、ワタシの大事なところ触られたくなっちゃうんだ。
つまり、性的魅力を感じるの、男の綺麗な指に。
そうだな、ネックの上を這うように滑らかに動くギタリストの綺麗な指とか、もうタマンナイ!
あの指で触れられたらもう......あ、想像したら、ちょっと湿ってきたりして、フフフ......
いくら顔がハンサムでも、指が短かったり、ゴツゴツしてたら、そそられないんだよ。
不思議だよね。
それと羞恥心ってあるじゃない?
ワタシのはちょっと変わってるかな、って思う。
ワタシね、男に服を脱がされて大事なところを見られたり、触られたり、なめられたりすることより、
むしろ、そのあとが恥ずかしいんだよ。
する前はめちゃくちゃ興奮しているから羞恥心なんか全然ない。
終わって……服を着るとき。
だって、ちょっと前まで、あんなに夢中になってたわけじゃん?
恥ずかしいところまで全部見せちゃって、声なんか上げちゃってさ。
すっかり我を忘れて乱れて。
でも、終わって興奮がさめてね、服を着る一方で、さっきまでのご乱心みたいな自分をシレっと脱ぎ捨てる。
そんな自分が恥ずかしいんだよ。
なんでだろ?
あと男。
ほんの数分後には――
靴下、履いてるの。
それでネクタイなんかシレっと締め直しちゃって。
その、貴方が今締め直してるネクタイって、さっきまでプレイで使ってたよね?
……何それ。
さっきまでそれでワタシの手首を縛って興奮してたクセに。
急に「社会人」に戻らないでよ。
さっきまで、あんなに近かったくせにさ。
でも、お互い様ね。
二人ともなんだか、ちょっと間抜けじゃない?
だからワタシ、ときどき思うんだ。
「ワタシが眠ってるあいだに、帰ってくれないかな」って。
……でもね。
やっぱり、それも違う。
ワタシのほうが、彼が眠っているあいだに、いなくなりたい。
朝になって目を覚ました彼が、
「……カナコは?」
って。
でも、もうワタシはいない。
「昨日のこと……夢だったのかな」
なんて、勝手に思わせたりして、フフフ。
夢だったのか、本当だったのか。
確かめたくて、男はだんだんワタシに会いたくなってくる。
そして、とうとうワタシのところへ来て、
「お願い!もう一度、確かめさせて」
なんて懇願してくるの。
で、男が涙目になって、ワタシを愛おしそうに見つめる、アノ時の顔……最高っ!
……ねえ。
ワタシ、ちょっとSっぽい?
フフフ。
さあ、どうでしょう?
ナゾナゾみたいで面白いじゃん。
……答え合わせ?
しながら、試したい?
✳︎作:カナコ
✳︎編集:あみれん




