第95話 幹部集結
ボスを倒す事に成功した俺達。だがここからが大変だ。転生者全員でスキルを引く必要がある。
まずは必要メンバーの削減。試行錯誤の末、魔法担当を3人から2人に減らす事に成功した。慣れによる所が大きい。
また毒担当も削減。ダンジョンに入る前に毒を打ち込んでもらい、魔法戦、近接戦合わせて3分以内に倒すという超ハードスケジュールを実現した。
結果、人数制限6人の内4人が攻略メンバー。残り2枠を他の転生者でローテーション出来るようになった。転生者は全部で60人ほど。30回くらい繰り返せば全員がスキルを獲得できるな。
そこからは作業だ。フィジカルで上を行くボス相手にミスせず勝ち続けるという作業。そして戦う度に毒で死んで教会からダンジョンまで移動。この繰り返しだ。丸2日かかった。
正直に言おう。めちゃくちゃ精神が削れた。
が、そのおかげで皆スキルを獲得。更にこのダンジョンの対象者であるメッチュさんも無事転生する事が出来た。めっちゃ喜んでた。
そして、
「ふははははは! ついに我も武器を手にする時が来たようだな!」
これまで素手で戦っていた新人のジーナジョンさんが武器スキルをゲットした。これで彼女の問題は解決したと言って良いだろう。
彼女の手にはチェーンソー。スキルの説明欄を見せてもらったらこんな感じだった。
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・丁寧な林業従事者(ランク3)
チェーンソーを召喚し扱う事が出来る。
植物に対して威力特攻。
器用が+☆1。
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代わりにアドレナリン大爆発を外したらしい。チェーンソーを吹かせながら技名を叫ぶ中二少女の爆誕である。キャラが濃いな。
「これで次のダンジョンに行けそうです」
ヨイスさんも仲間の問題が解決して嬉しそうだ。ちなみに彼が引いたスキルはこんな感じ。
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・加減を知らない風呂屋(ランク3)
水魔法「熱湯噴射」を放つ事が出来る。
火傷耐性を得る。
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ウォータージェットに火傷効果を加えた感じだろうか。何気に食らいたくない魔法だ。攻撃のバリエーションが増えたのは今後色んなダンジョンを攻略していくのに一役買うだろう。
そして俺が引いたスキルはこれ。
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・健康優良児(ランク2)
常に微回復。
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わざわざ他のスキルを外してまで付ける程では無いな。とにかく耐える事が求められるダンジョンとかがあれば使えるかもしれない。
これが、「中嶋優斗のダンジョン」攻略の顛末だった。
夜、ギルドハウスにて。
「全員揃ったな。始めるぞ」
ギルドマスターであるホスディアの言葉と共に定例会議がスタートした。参加者は第一席のホスディアを含む幹部の8人。
「シリル、進行を頼む」
「了解っス」
第二席、ホスディアの秘書を務めるシリルさんが立ち上がり隣を見た。
「ではいつも通り席順に報告してもらうっス。バーバラ先輩、隠しダンジョンの攻略状況はどうなってるっスか?」
報告を促されたのは第三席のバーバラさん。彼女は落ち着いた態度でそれに答えた。
「うむ、嫉妬と憤怒でつまづく者がやはり多くての。憤怒はワシが、嫉妬は攻略済みの者が一緒に入る事でなんとか突破者を増やしておる所じゃ。後1日あれば全員クリア出来るじゃろう」
嫉妬のダンジョンは配信で高評価を得なければギミックが進展しないし、憤怒のダンジョンはシンプルに鎧武者が強い。他の転生者が挑み始めてもうすぐ10日経つが、むしろ良くやっている方だと思う。
「では次、ミョンチーさん。報告お願いするっス」
次は第四席、俺だ。担当は新人のサポート全般。
「新人のサポートは今のところ順調です。初めて戦闘関連で相談があったのでアドバイスを行いました。新人達は今の所みんなやる気を見せてくれていて、積極的にダンジョンに挑んでいるみたいです」
いつか文句ばかり言う奴とかもこの世界に来るだろうな。今のうちに心の準備はしておこう。
「では次はケムシンさん、クエストの方はどうっスか?」
第五席はケムシン。担当は武器の調達だ。
「畑仕事に5人で行ってきたで。成果は剣10本と短剣8本や。武器もそこそこ溜まってきたし、明日からはボス戦に参加しても良いと思うで」
ケムシンのように武器をクエストで手に入れている転生者は他にも居た。そこでクソ神父と交渉し、団体で大掛かりな仕事を請け負う事で報酬を割高にしてもらったのだ。効率化万歳。
「では次、ゲッチーさん」
第六席はひげを蓄えた大男、ゲッチーさん。ギルド設立前はボス攻略パーティー“山猿”のリーダーを務めていた人だ。
「皆もスキルを手に入れたから知ってて当然だが、ミョンチーと一緒に中嶋優斗のダンジョンをクリアした。明日からは別のボスに挑めるぜ」
「了解っス。今後の活動についてはこの後議論するんで、まずは報告を全部聞こうと思うっス。次、メイラさん、お願いするっス」
第七席はメイラさん。ギルド設立前は女性だけで構成されたボス攻略パーティー“火葬研”のリーダーを務めていた人だ。背が高くてスタイルがいい。谷間を強調した赤いドレスが良く似合っている。
彼女は今は別のボスの攻略のリーダーを務めている。
「シリルちゃんと一緒に芹沢守のダンジョンを攻略中よ。もう少しで勝てそうな所まで来たわ。あと少し時間をもらえれば、ってとこね」
「もう1人くらい相性が良いスキルを持ってる人がいればって状態なんで、後で議論させて欲しいっス」
補足するシリルさん。メイラさんとは女性同士うまくやってるっぽいな。
「では最後、タッセルさん。報告をお願いするっス」
第八席はヤンキーみたいな見た目のやせ形の男、タッセルさん。逆立った髪の毛がツンツンしている。彼はギルド加入以前はボス攻略パーティー“ネオ元祖転生前夜”のリーダーだった人だ。
今はホスディアと一緒に別のボスの攻略を担当している。
「大杉錬太郎のダンジョンはまだ時間がかる。弱点は見つかんねーしチートの対抗策も分かってねえ。ミョンチーに解析に来て欲しいんだが良いか?」
「タッセル、今は報告の時間だ。これからの話は一旦置いておこう。今分かってるボスの能力を皆にも説明してやってくれ」
ホスディアによる軌道修正。タッセルさんは顔をしかめつつもそれに従った。
「……あいよ。まずは神に要求したって内容だけどな――」
転生者は眠らない。会議は夜遅くまで続いたのだった。
幹部一覧
第一席:ホスディア(ギルドマスター)
第二席:シリル (秘書)
第三席:バーバラ (隠しダンジョン攻略推進)
第四席:ミョンチー(新人のサポート担当)
第五席:ケムシン (クエスト担当)
第六席:ゲッチー (ボス攻略1班)
第七席:メイラ (ボス攻略2班)
第八席:タッセル (ボス攻略3班)




