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TS斧使い、ダンジョンで脳筋に仕上がる  作者: 源平氏
第三章 これは俺が転生するまでの物語
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第94話 ボス攻略最前線 その6


 採石場に金属音が絶え間なく響き渡る。だが石を切り出しているのでは無い。音の出所は3つの人影。それが入れ違い立ち替わり激しく武器を重ねていた。


 迎え撃つボスと、それに挑む転生者2人。内1人は俺だ。全員がステータスカンストに近いフィジカル。速度だけはボスが一歩抜きん出ているか。




「くっ!?」


 ボスの連撃を捌ききれないと判断したのか、ゲッチーさんが後ろに跳んで間合いの外に退避した。


 その隙にボスの背後から斧。首を狙った水平切り。ボスはそれをしゃがんで避けた。そして振り向きざまに剣で反撃。


 俺はそれを斧の柄で受けた。無視出来ない衝撃が腕にのしかかる。力ずくで押し返そうとしたら俺の体の方が後ろに流れた。


「このっ!」


 追撃しようとしてくるボスを追い払うため斧で薙ぎ払う。ボスは下がり、紙一重でそれを回避した。


「どりゃあ!」


 そこにゲッチーさんの鉄球が振り下ろされる。ボスはペシャンコ、にはならず。鉄球は地面に激突し、岩の破片を周囲に飛び散らせた。


 地面を転がるボス。避け切れず鉄球の端に当たり弾き飛ばされたのだ。惜しかったな。



 間髪入れず追撃にかかる俺達。すぐに起き上がりそれを迎え撃つボス。


「斧スイング!」


 俺の攻撃。ボスはそれを剣で防御した。初めてまともに受け止めたな。衝撃で剣が粉々に砕け散った。


 だがその程度で喜べる相手ではない。敵の剣は血液製。元は液体だ。一瞬で修復されてしまう。


「どっせい!」


 鉄球がボスを轢いた。直撃である。ボスは弾き飛ばされ俺の視界から一瞬で消え失せた。


「ナイスです、ゲッチーさん!」


「畳みかけるぞ!」


「了解!」


『残り1分半です』


 マオが時間切れまでの猶予を告げる。俺達は吸血対策として味方からわざと毒を食らっていた。なので毒で死ぬまでに決着を付けないといけない。


 俺達はここまで被弾ゼロ。果たして毒が吸血対策になるのかすらまだ不明だ。このまま毒とか関係無しに倒せるならそれも良し。出来ればこのまま倒してしまいたい。



 鉄球に轢かれたボスは地面にすりおろされながら転がっていき、やがて停止した。走って追いかける俺達。


 ボスが立った。右腕が盆栽みたいに意味不明な曲がり方をしている。


 血武器を血に戻して飲むボス。腕がゴキゴキと嫌な音を立てて修復された。吸血による回復である。失血状態も同時に回復。再度血の剣が生成された。


 だが無限に回復出来る訳では無いのだろう。剣が少し短くなっていた。着実に消耗している。



 鉄球が迫る。ボスは横に跳んでそれを回避。続いて俺の攻撃。だが剣で斜めに受け流された。もう俺の斧の威力を学習されたのか。


 そのまま斬り合いとなると速度で負けている俺の方が不利。ゲッチーさんが次の攻撃モーションに入っているのを横目で確認した俺は無理せず下がった。


 もし俺を追ってくるならそれでも良い。死角から鉄球が飛んで来てお前を潰す。



 ボスは鉄球に気づきそちらへの対処を優先した。


 ギリギリで回避。鉄球とすれ違うようにしてゲッチーさんへと突進したのである。



「ちっ!」


 鎖を波打たせてボスに当てるゲッチーさん。だが剣で弾かれ突進を止める事は出来ず。


「ゲッチーさん!」


 急いで追う俺。ゲッチーさんも鉄球を引き戻しボスの背への命中を狙う。だがどちらも間に合わない。


 ボスの剣が、ゲッチーさんの左腕に突き刺さった。



 傷口から血が流れる。吸血されてしまうと思ったのもつかの間、だが今までのように血が噴き出す事も、ボスの口へと吸い込まれていく事も無かった。


「どうやら毒の効果はあったみたいだな」


 歯をむき出しにして笑みを見せるゲッチーさん。


『解析完了。既に別のスキルの影響下にあったため操作出来なかったようです』


 俺達の本来の狙いは毒の混じった血を飲ませる事だった。だがそもそもの血を奪われる事を阻止出来たらしい。うれしい誤算だな。



 一拍遅れて鉄球がボスの背中に迫った。ボスはそれを回避。


「ふんっ!」


 回避した隙をつき俺も攻撃。だがこれも避けられた。


「って、ええ!?」


 ボス、俺達に背を向けて全力ダッシュ。まさかの逃走である。


 こいつ、まさか俺達が毒食らってるのに気づいて時間稼ぎするつもりか!


 まずい、速度は奴のほうが上。追いつけない!



「逃がす訳ねえだろが!」


 ゲッチーさんが叫んだ。鎖鉄球の鉄球じゃない方を振り回しボスへと投げ付ける。飛んでいった鎖はボスの両足に見事に巻き付いた。転ぶボス。


「ナイスです!」


「やれ、ミョンチー!」


「はい! おりゃああああああああっ!」


 追い着いた俺はボスへと斧を振り下ろした。斧は体を切り裂き地面にまで切り込みを入れた。だが終わりじゃない。こいつは回復能力を持っている。


 現に傷口からあふれた血がボスの口へと流れ、傷口が塞がろうとしていた。


「おらおらおらおらおらぁっ!」


 餅つきのごとく斧を振り下ろし続ける俺。ボスは最後まで回復しようとあがいていたが、遂には限界を迎え、光の粒となって消えたのだった。


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