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TS斧使い、ダンジョンで脳筋に仕上がる  作者: 源平氏
第三章 これは俺が転生するまでの物語
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第92話 ボス攻略最前線 その4


・7回目の挑戦:手数重視


 手数で負けているから血武器を防ぎきれずに被弾してしまうのだ。そういう分析の元、今度は近接メンバーを速度重視で選抜してみた。


 具体的にはサーベル、小刀、かぎ爪、短槍を持つメンバー。俺は今回は見学だ。


「ひでぶっ」

「無理いいいいっ」

「足がああああ!」


 小さくリーチの短い武器では散弾のように飛んでくる攻撃を防ぎきれず全滅する事となった。


 これならでかい武器の一振りでまとめて叩き落した方がまだマシだな。




・10回目の挑戦:遠距離物理


 今度は矢や投石などのスキルを持つメンバーで挑戦。もちろん攻撃には火属性を付与する。


 血武器を撃ち落とすのではなく、ボスを狙って血の盾を張らせ、防戦一方にさせる作戦だ。


「撃て撃てー!」

「おい、付与まだか!? 付与!」

「早く付与しろって!」

「やる事が、やる事が多い!」


 飛び道具は撃つごとに弾を使い捨てにする。つまりその度に次弾に付与を施す必要があった。付与担当の手が圧倒的に追い付いていない。


 それでも効果は確かにあった。着弾する度に血の盾が爆炎で吹き飛ばされ小さくなっていく。ボスは防御にかかりきりで反撃出来ずにいた。


「このまま削り殺すぞ!」


 今度こそ行けるか、そう思った時、ボスの周囲を黒いモヤが覆った。闇魔法である。


 転生者の1人が矢を放った。火属性を付与されたその矢はモヤをすり抜け血の盾に命中。


 だが、爆発は起きなかった。盾は無傷。


『ボスに学習されたようです。闇魔法で付与を剥がされました。これでは血液量を減らす事が出来ません』


 おいおい、厄介すぎるだろ。学習能力まであるのか。


 作戦は崩壊した。打つ手が無くなった突入メンバー達は諦めてダンジョンの外に引き上げたのだった。




・13回目の挑戦:ファイアーウォール


 度重なる挑戦により、俺達はついに重大な発見を得るに至った。


 闇魔法の射程距離が思ったより短い。その距離約6メートル。それはつまり、その射程の外ではいくら魔法を使おうとも吸収されないという事だ。


 であれば、転生者に向けて放たれた血武器を炎魔法で迎撃する事も当然、可能と言う訳だ。なぜこんな簡単な事に気づかなかったのか、少し前の自分達を小一時間問い詰めたい。


「プロ―ジョン!」

「ブルーフレイム!」

「バーニングカーテン!」


 作戦は大成功。差し向けられた血武器は犠牲者を出す事なく灰燼に帰した。炎系の魔法は範囲攻撃のものも多い。雨あられと飛んで来ようともまとめて焼き払う事が出来た。


 今度こそ行けるか? ダンジョンの外から見守りながら、俺はそんな期待を抱いた。


 ボスの攻撃が止んだ。あれだけ宙に浮いていた血武器は残り一本。補充されないという事はあれが最後の一振りという事か。


「油断するな。このまま遠くから仕留めるぞ」


 転生者の1人が弓を取り出した。最後の血武器を火属性を付与した射撃で破壊するつもりだ。今回の挑戦では遠距離物理による攻撃はこれが初。ボスに学習されるまでの猶予はまだ残っている。


 ボスは転生者達の動向を静かに見ていた。



「…………」


 ボスが突然動いた。これまでの攻略で初となる第一歩を踏み出したのである。


 ボスが転生者の方へと駆けていく。手には血の剣。周囲には闇魔法を展開している。それを止めようと射撃が行われるも、速度ステが高く全て避けられてしまった。


「こ、こっちに来るぞ!」

「速い!?」


 今回の挑戦メンバーの内、近接戦用のスキルをセットしていたのは2人。迎え撃つも、ボスはステータスも高く、斬り結んでいる内に1人がかすり傷を負ってしまった。


「皆ごめえええええん!」


 断末魔と共に血を抜き取られ干からびる転生者。ボスの血が補充された。再び大量の血武器が展開される。


「もう一度焼き払え!」

「だめだ、闇魔法の射程に入ってる!」

「らめええええ!」


 突入メンバーはまたしても全滅したのだった。





「くそがっ、血を補充されるのが厄介すぎる!」


 その後何度か挑戦したが、どうしても誰かがダメージを食らってしまう。一発でも食らったら即死なのだ。仕方が無いとは思う。


「誰か、何とかする案は無いか?」


「「「「…………………」」」」


 黙り込む攻略チーム一同。俺もノーアイデアだ。一番惜しかった作戦を無限に繰り返して偶然の勝ちを拾いに行く事くらいしか思い付かない。



 そこに、攻略チーム以外からの声が聞こえてきた。


「盟友よ、意見があるなら言えば良い! 盟友も一度挑んだのだから良いだろう」


「ええ、でも……」


 その声の主は、見学に来ていたヨイスさんとジーナジョンさんだった。


「どうした? アイデアがあるなら言ってくれ。新人だからと言って無碍にするつもりは無いぞ?」


 ゲッチーさんが発言を促す。それを聞いてヨイスさんは安心したのか、こんな事を言い出した。



「ボスって抜き取った血を一旦飲みますよね。血に毒とか仕込んでみたら、……どうでしょう、なんて……、すいません……」


 顔を見合わせる攻略チーム。


「いやいや、ボスは状態異常無効がデフォだし?」

「弱点が無いって神に要求したんだろ?」

「いくら何でも、なあ?」



「「「………………」」」



「……やってみるか」


 ゲッチーさんの一言に、俺達はゆっくりと頷いたのだった。


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