第91話 ボス攻略最前線 その3
「エンチャントバーナー!」
「行くぞ!」
「「「「おおおおおお!」」」」
火属性を付与した物理攻撃ならボスの操る血を破壊出来る。その事が分かった俺達は攻略メンバーを根本的に見直した。
他のボスを攻略している班から一番ランクが高い火属性付与スキルの所持者を借りてきて、残り5名はゴリゴリの近接メンバーを選出。俺もその1人だ。
大斧(俺)、鎖鉄球、ハルバード、斬馬刀、クソデカ鉄扇。重量武器をぶん回して敵をぶっ殺す事だけを意識したメンバー構成である。脳筋と言っても良い。
火炎を吹き出すようになった大斧を手に、俺は他のメンバーと足並みをそろえてボスへと突撃した。
「どりゃあ!」
最初に攻撃を仕掛けたのはゲッチーさん。鎖鉄球を振り回して投げつけたのである。鉄球のサイズは1メートル程。火の玉が尾を引いて飛ぶ光景は美しさと恐ろしさを両立していた。
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名前 ゲッチー
ステータスロット
・型に嵌まった秀才(ランク5)
筋力:☆☆☆
耐久:☆☆☆
速度:☆☆☆
魔力:☆☆☆
器用:☆☆☆
スキルスロット
・自由すぎる囚人(ランク5)
鎖鉄球を召喚し扱う事が出来る。
壁面への攻撃時に威力が倍になる。
行動阻害を無効化する。
・ニガテ対策(ランク2)
ステータスの最も低い項目に+☆2。
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ゲッチーさんのステータスはスキルの補正込みでオール☆5。フィジカルにものを言わせた攻撃がボスへと迫った。
それを血の盾で受け止めるボス。メキメキッというおよそ血とは思えない硬質な音を響かせながら盾がひしゃげた。
「ちっ、貫通はしないか!」
ひしゃげた盾が液体に戻り、そして武器へと形を変えた。だが明らかに量が減っている。減った分の血は地面に破片として転がっていた。
「破片が飛び散ったままだ! いけるぞ!」
俺達はボスへと突撃した。
ボスが腕を振り上げた。腕の傷口から血を吹き出し減った分を補充。何本もの血の剣が生み出されボスの周囲で隊列を作った。
腕を振り下ろすと同時に一斉に飛んでくる剣。
「叩き落とせ! このまま武器破壊だ!」
「「「了解!」」」
各々武器を振り回すメンバー。同士討ちが怖いので適度に散らばった状態だ。俺も味方から付かず離れずの場所に立ち斧を構えた。
振りかぶった斧の熱が背中に感じられて熱い。付与が強力過ぎるのも考え物だな。
「おらぁ!」
斧スイング。飛んできた血武器を粉☆砕。超エキサイティング!
『左後方からも飛んできます! 残り1秒!』
「ふんっ!」
背後に一閃。マオのアシストによる正確無比なスイングが血武器を破壊した。
『上からも来ます!』
「際限ねーな!」
見上げると今度はナイフ。しかも魚のように群れを成していた。それが急降下してくる。
「おいおいおいっ!?」
ダッシュ。地面を蹴ればその直後にはその場所にナイフが突き立っている。まずい! 追いつかれる! 死ぬ!
「大丈夫かミョンチー!」
頭上を熱の塊が通り抜けた。鉄球である。それがナイフの群れを一網打尽にしていた。
「助かりました、ゲッチーさん!」
「偶然手が空いただけだ! 次は期待しないでくれ!」
「了解です!」
危なかった。カバーしてもらえなかったら脱落してたぞ。
マズいな。俺がギリギリなら他のメンバーも同じはず。いつ誰が死んでもおかしくない。はたしてそれまでに敵の血を枯渇させられるのか?
「ぐあああああああ!?」
味方の悲鳴が聞こえた。見たら斬馬刀使いが被弾してしまったらしく血が噴き出している。それが宙を飛んでボスの口へと吸い込まれていった。
ボスの右腕から血が噴き出す。せっかく減らした血が補充されてしまった。
血武器の第2陣が、残された俺達へ射出された。
悪い事は重なるものだ。俺達の武器に付与されていた炎が消失した。時間が経った事で効果が切れたのである。
「付与! もう一度付与し直せ!」
「下がれー!」
「駄目だ、間に合わない!」
「キエ―――!?」
俺達は全滅した。




