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TS斧使い、ダンジョンで脳筋に仕上がる  作者: 源平氏
第三章 これは俺が転生するまでの物語
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第87話 ミョンチーのお悩み相談室(前編)


 ギルド創立から1週間が経った。


 初日のデモンストレーションに成功して以降、加入者はどんどん増えて行った。今では8割以上の転生者が加入している。営業を頑張った価値があるというものだ。


 こんなに順調なのには理由があった。そう、ランク6ステータスの情報である。加入すれば隠しダンジョンおよび七大罪のダンジョンの攻略情報を知る事が出来るのだ。


 今頃七大罪のダンジョンには転生者が押しかけている事だろう。



 さて、ではここでギルドの活動について説明しておこう。メンバーで喧々諤々の議論の末に仮決定した活動内容だ。



●その1:新人への個別説明会の実施。


 この世界に来た新人にはクソ神父から最低限以下の説明がされる。省きに省いた上に残りは転生者に聞けと言って放り出す無責任仕様だ。


 そんな新人にダンジョンの事、ガチャの事、この世界の事などについてギルドから詳細な説明を行う。


 ついでにギルドに勧誘だ。今のところ勧誘成功率は100%である。



●その2:詰んだ新人の支援


 新人は新人同士でパーティーを組んでもらい、ランク4までは自力でステータスを上げてもらう事となった。


 これはパワーレベリングしすぎると精神面の成長が無くなるという判断によるものだ。戦えるメンタルが無いとステータスが高くてもお荷物になるからな。


 でもそれだとランク4にすら上がれず足踏みしてしまう奴も出てくる。なのでそういう場合にはベテランが手を貸す事となった。



●その3:ランク6への昇格の支援


 ステータスがランク4まで上がった者には七大罪のダンジョンと隠しダンジョンの攻略情報が公開される。


 難易度5はボス程では無いが攻略させる気があるのか疑わしいレベルだからな。ギミック系は難解だしガチバトル系は敵が強すぎる。


 ここで無駄に足踏みさせられる転生者が多く居るらしいので、さっさとステータスを上げてボス攻略に参加してもらう事となった。



●その4:ボスの攻略


 ランク5以上のステータスをゲットした転生者は攻略チームに入る事が出来るようになる。


 基本的にはギルドの上位陣が攻略するボスを選ぶ事になっている。この世界に来てからの長さやギルドへの貢献度、攻略しやすそうかが選定の基準だ。


 ボスの攻略方法が確立出来たら、デモンストレーションの時のように余りの枠に転生者を入れてひたすら倒し続ける。新人も含めて全員がスキルを獲得したら、そのボスの対象となる転生者を転生させる。


 あとは新人のボスへの偵察も行う。もしもカモならとっとと狩る方針だ。




 まだ試行錯誤的にやっている段階だから今後見直される可能性もあるが、ひとまずこんな感じでギルドは動いている。


 ちなみに俺の担当は新人への対応全般だ。これは自分から志願した。困っている人の助けになれればと思ったのである。


 もちろん専業では無く、何人かで交代しながらボス攻略にも行ったりしている。今のところ状態異常が効くボスは他に見つかっていないので斧ぶん回しスタイルがメインだ。



 さて、俺の今の業務は待機だ。集会場に新人向けの窓口を置き、いつ誰が来ても良いようにしているのである。


 集会場の入り口には「新人用窓口は入ってすぐ右の机です」と書かれた板が貼ってあるので誘導も問題ない。


 これまでに5人の新人相手に説明業務を行った。これはギルドでも屈指の実績数である。


 新人に尊敬している転生者は誰ですかとアンケートを取ったら俺が一番になるに違いない。これが社会的に認められるという事か。悪くない気分だぜ。


『ミョンチー様、舞い上がり過ぎないようにお願いしますね?』


 俺の思考を聞いていて心配したのか、マオに釘を刺されてしまった。


(安心してくれ、マオ。ただの戯言だ。俺の仕事は新人を助けるためにやってる事だ。そこはブレるつもりは無いし、先輩風を吹かして威張るつもりも無い)


『それを聞いて安心しました』


(というか俺が他人相手に威張れると思うか? いや、そんな度胸は俺には無い!)


『そんな力強く言い切るような事では無いのでは……?』




「あの、すみませーん」


 そんな風にマオと脳内でおしゃべりしていたらお客さんが来たらしい。俺の向かいに2人組が座った。


 新しくこの世界に来た人か、と思ったらその2人に見覚えがあった。以前に俺が説明会を担当した新人だ。


 1人は片目を押さえた中学生くらいの背丈の少女。ウェーブのかかった金髪ツインテールが特徴的で、黒いゴスロリ風の衣装を身にまとっている。


 もう1人は大人しそうな少年である。髪は紺色で、前髪が切りそろえられている。シンプルで地味な茶色の服を着ており、背は少女より少し低いくらい。


「くっくっく、再び相まみえる時が来たようだな。我を導きし者にして魂と肉体が乖離せしイレギュラー、ミョンチー先輩!」


 これ以上無い中二病ムーブの少女。名前はジーナジョンさん。4日前にこの世界に来たばかりだ。


「ジーナ、先輩に失礼だよ?」


 もう1人の少年はヨイスさん。彼も5日前にこの世界に来たばかりの新人である。どうやら2人はパーティーを組んだようだ。


「今日はどうしたんですか?」


「理由など無い。我らは運命によりここに導かれた。言うなればこれは運命の「どうしてもダンジョンをクリアできなくて困ってるんです」


 ジーナジョンさんに被せてヨイスさんが要件をねじ込んできた。たった数日ですっかり彼女の扱いに慣れた様子。うまく付き合ってくれているようで安心だ。


 それにしても、ついにこの相談が来たか。いつか来るだろうと思ってたので戸惑いは無いが、予想よりも早かったな。


『対応マニュアルは次の通りです』


 マオが俺の視界にテキストを表示した。覚えてはいるが念のため確認。



=======================

1.まず窓口で具体的な状況をヒアリングし適切なアドバイスを送る。


2.アドバイスだけで解決出来なさそうであれば新人に同行し問題を直接確認する。


3.後は現場の判断に任せる。

=======================



 うーん。まだノウハウも何もあったもんじゃ無いからマニュアル自体が適当過ぎる。やれる事をやるしか無いな。


「分かりました。ではこれまでにどんな戦いをしてきたのか教えてもらえますか?」


 俺は2人の不安を和らげるべく、つとめて笑顔で話を聞いたのだった。


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