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TS斧使い、ダンジョンで脳筋に仕上がる  作者: 源平氏
第三章 これは俺が転生するまでの物語
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第85話 幕間:世界滅亡シナリオ

第三章「これは俺が転生するまでの物語」、開始です。


 その世界で今、最後の生物が死に絶えた。


 かつて命に満ち溢れていた星は今や見る影もなく、山も、川も、浅瀬から深海に至るまで、全ての命が失われていた。


 そこには何の区別もなかった。哺乳類も、鳥類も、魚も、虫も、植物も、菌類や微生物に至るまで全てが平等に死を迎えていた。


 いつまでも分解されずに残っている動植物の死骸だけが、かつてこの星に生物が存在した事を証明していた。


 風は吹いている。海には波がある。日光も降り注いでいる。だがその星には命は残っていなかった。




 否。彼をカウントするならまだ1人残っている。この世界から命のことごとくを奪った張本人である。


 この絶滅は人為的に起こされたものだった。星1つを死で染め上げるという偉業を、たった1人で成し遂げたのである。


 人類がまだ生き残っていた頃、彼は魔王と呼ばれていた。


 彼はその星で1人空を見上げていた。



『よくぞ成し遂げた。魔王よ。数多の世界を見渡せど、これだけの偉業を達成した者は我が信徒にもそうは居ない』


 そこに何者かが声をかけた。姿は無い。魔王の脳内に直接語りかけたのだ。


「お褒めにあずかり光栄にございます。邪神様」


 魔王は膝をつき恭順の姿勢をとった。


『第9の試練、1つの世界からの命の根絶。それを達成し業を積み上げた今、貴様は資格を得た。我々と同じ神となるための、最後の試練に挑む資格を』


 魔王はごくりとつばを飲み込んだ。一体これ以上どんな試練があるというのか。絶滅では足りないというのか。そんな疑問が魔王の脳内をよぎる。


『第10の試練は、1つの世界からの魂の根絶』


 邪神は告げた。神に至る試練を。


 それは魔王にとって、どのように成し遂げればよいのか想像すら出来ない試練だった。


「邪神様、恐れ多くも、方法が皆目見当も付きませぬ。一体私はどのようにすれば……」


『安心せよ。我々としても貴様ほどの逸材を神になれぬままにしておくのは損失だと思っている。貴様が神になるためにちょうど良い方法を見繕っておいた。その手順を示してやろう』


「ありがたき幸せ」


 魔王はさらに深く頭を下げ忠誠を現したのだった。













 ある日、俺達はホスディアに率いられてあるダンジョンを訪れていた。



~傲慢のダンジョン~


区分 :ノーマル

タイプ:博物館

人数 :5名以下

難易度:☆☆☆☆☆



「なあホスディア。ここってもう攻略しただろ? どうしてまたこんな所に来たんだ?」


 俺の疑問はもっともだったのだろう。他のメンバーもうんうんと頷いていた。


「少し気になる事があってな」


「気になる事?」


「七大罪のダンジョンはどれも罪の内容がテーマとなっている。例えば暴食のダンジョンなら何かを食べたら死ぬという風にな。だがこのダンジョンにはそれが無い」



 このダンジョンは警備ロボットを倒しながら博物館の順路に添って進むというものだ。確かに傲慢の要素はあまり感じないな。


「展示されとるのは動力の歴史やろ? 科学文明そのものが傲慢って事やろか?」


「ロボットに任せっきりなのが傲慢と言いたいのかもしれんのじゃ」


「原子力! 原子力っスよきっと!」


 皆それぞれにダンジョンと傲慢を紐づけようとするが、どの説も確証は無かった。


「博物館ならもしかしたらこの世界についての情報が得られるかもしれん。前回は展示品はいちいち見てなかったからな。今回は全部確認して行こう」


「「「「了解」」」」


 俺達はダンジョンを進んだ。




 その博物館では人力から始まり、水力、風力、時代が進んでくると蒸気機関やら原子力やら。歴史の順番で動力が展示されていた。


 探索開始から2時間後。


 大ボリュームの展示品をあらかた確認し終え、もうすぐ出口という所で、


「なあ、これ……」


「ああ、当たりだな」


「いつの時代の展示品なんこれ?」


「ヤバそうって事だけは良く分かるっス」


「ワシらは一体何に加担させられとるんじゃ?」



 それは車くらいのサイズの展示品だった。「模型。動作しません」と書かれた注意書きがぶら下がっている。


 その展示品に併設されたパネルには、こう書かれていたのだった。



=======================


永久発電機


【概要】


 原子力、核融合に代わる全く新しい発電方法として発明された。


 もっとも革新的な点は、タービンを回す必要が無い点と、エネルギーを永遠に取り出せる点。展示品のサイズでも1台で町1つ分の電力を賄う事が出来る。



【歴史】


 特定の機構を用いる事でエネルギー保存則が破られたとして、■■■■年に最初の報告が論文誌に掲載された。


 検証のため多くの研究者が実験を行いそのほとんどが再現に成功した事で一躍注目を浴び、以降研究が盛んに行われるようになる。


 当時主流だった核融合発電は設備の寿命の短さが指摘されており、同時期に■■■■■■■にて大規模な事故が起こった事で、核融合に代わる発電方法として大きく期待された。


 ■■■■年、この現象の発見者である■■■■が減圧方式と呼ばれる手法で高電圧の実現に成功。その翌年、■■■社と協力して初の製品版が公開された。


 ■■■■年頃になると小型化が進み、トラックでの輸送が可能なサイズとなった。生産コストが低くなった事も合わさり、大企業や病院等では専用の発電施設として設置される事も増えていった。


 ■■■■年には世界規模で活用が進み、■■■■が出した報告書によると、当時の全世界での発電量の内7■%がこの永久発電機によるものだとされている。



 このように普及が進んだ一方、批判的な立場を取る研究者も一定数存在した。


 確認されてないだけでエネルギーは実際にはどこかから消費されており、いずれ枯渇する可能性があるというのが主な主張である。


 ■■大学の■■■■教授はこのリスクを「無明ゆえの傲慢」と表現した。



 ところで少し時代を戻って■■■■年ごろ、出生率の世界平均が1.■人を下回るなど少子化が世界レベルで大きな問題となっていた。


 この問題は永久発電機が普及した年代まで根強く残っていたが、更に■■■■年頃になると人間以外の生物の個体数の減少が確認され始めた。


 ■■■■■が家畜を対象に調査した結果、牛、鶏、豚、■の全てにおいて交配の成功率が10年前の■割に低下している事が判明し、未知の感染症などが原因でないかとささや■れ始めた。


 また■■■の調査により、植物や野生■物の個体数も同様に減■している事が判明した。これにより全世界で食糧難への対策が■■■■られる事となった。


 永久発電機の使用は続いていた。


 ■■■■年、食糧難は深刻なレベ■に達していた。あらゆ■生物で出生■の低下が確認され個■数が激減している。


 永久発電機の使用は続いていた。


 ■■■■年、世界一高い建造物として知られる■■■■■■が倒壊。これを境に大型建■物の倒壊が相次いで発生■た。


 ■■■■年、物質の強度が低下してい■と発表■れた。


 永久発電機の使用は続いていた。



 ■■■■年、永久発電機の研究の副産物として■の実在が確認された。


 我々は知らな■った。今ま■自分達が使用してい■もののエネ■ギー源が■の循環だと。


 魂の実在が確認された事に伴い、生き物はおろか、あらゆる物質に魂が宿っている事が明らかとなった。


 我々は魂の循環をせき止めていたのだ。イメージはダムの水力発電に近い。


 だが流れが止まった水が淀むように、魂もまた濁り、失われ、輪廻転生は滞ってしまった。


 循環する魂の総量が減った事が出生率の低下の原因だ。


 魂の宿ってない物質は物理的なはたらきすら緩慢になる。


 我々が引き起こしたのだ。


 開発者はまだ生きている。


 今すぐ永■発電機の使用■止めろ。■んなものは存在してはならな■。魂を■環させ世界をもと■戻さなければ■らな■。


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