第70話 七大罪のダンジョン
ホスディア達と一緒にギルドを作る事にした俺達。そのためにも、まずは隠しダンジョンをクリアする事が当面の目標だ。
打ち合わせをするために俺達はホスディアのアジトへと案内された。到着したのは町はずれの一軒家。クエストの報酬としてもらったらしい。
まさかの不動産所持。なんかもう凄すぎる。転生者としての格の違いを感じる。
家に入った俺達は机を囲んで攻略情報の共有を始めたのだった。
「では隠しダンジョンについてだが、挑戦するには条件を満たす必要がある」
「条件?」
「うむ。特定のダンジョンを全て制覇することだ。そうするとマップに隠しダンジョンが表示されるようになる」
なるほど、ゲームでは稀に良くある仕掛けだ。この世界にもあったのか。
「特定のダンジョンってなんだ?」
「七大罪の名を冠した難易度5のダンジョンだ。強欲、暴食、色欲、怠惰、嫉妬、憤怒、傲慢。この7つをクリアする必要がある」
おいおい、さっき1つクリアしたばっかだぞ。
「その、ホスディア。嫉妬のダンジョンならさっきクリアしたところなんだ」
「ほう、さすがだな。あれは視聴者数1万、いいね1000、登録者数100を達成してようやく敵がコメント欄に出現するという話だ。そのうえでギミックに気付く必要がある。よくクリアできたな」
褒められてしまった。半分以上マオが攻略したようなものなんだが、マオの事はまだ秘密にしているから説明しづらいな。
というか俺、マオに頼りすぎ?
「とはいえこちらとしては朗報だ。攻略情報はあっても、配信で人気を獲得するという部分がネックだったからな。頼らせてほしい」
「あ、ああ。多分同じ配信をもう1回やれば出来ると思う」
ダンジョンはクリアしても全滅してもリセットされるからな。NPCも俺達を初めて見たように振る舞うはずだ。
それにしても、気になった点が1つある。
「というかホスディア、隠しダンジョンとか七大罪の攻略方法とか、どこから情報仕入れたんだ?」
ホスディアは隠しダンジョンの事は他の転生者には秘密だと言った。
逆に言えば、他の転生者は隠しダンジョンについて知らないという事になる。なぜホスディアは知っているんだ?
「ああ、それか。ここには居ないがもう1人、ギルドの立ち上げメンバーがいる。ベテランの転生者だがあまり人前に出るつもりは無いらしくてな。豊富な知識を活かしてアドバイザーとして活躍してもらう予定だ」
ホスディアの人脈すげー。
次いでケムシンからも質問が出た。
「なんで隠しダンジョンの情報出回ってないん?」
「どうやら以前パーティーが多くあった頃に、他の転生者に対して優位を取るために情報が秘匿されていたらしい。今こうして出回ってないのを見るに、俺達以外に隠しダンジョンを知ってる奴は残って無いかもしれんな」
情報の独占か。俺達も似たような事しようとしてるし、あまり非難は出来無いな。
「さて、ダンジョンの攻略方法について共有していくぞ。まずは強欲のダンジョンだが――」
と言う訳で来ました。強欲のダンジョン!
~強欲のダンジョン~
区分 :ノーマル
タイプ:神殿
人数 :5名以下
難易度:☆☆☆☆☆
神殿の中には祭壇があちこちに設置してあった。これまでのダンジョンにもあったやつだ。クリアしたらこの祭壇でステータスガチャを引く事が出来る。
「気を付けろ。触ったら死ぬからな」
ほとんどの祭壇は偽物だ。本物と見た目上の違いは無い。ステータス欲しさに偽の祭壇に触れたら即死するらしい。
また本物の祭壇も、クリア条件を満たさずに触れたら即死するのだそうだ。
ではどうやったらクリア条件を満たせるのかというと、偽の祭壇の中に、触っても死なないものが紛れている。それを正しい順番で破壊すれば良いらしい。
メモを片手に入り組んだ神殿の中を歩き回る俺達。
東3階通路の奥から4番目を破壊。
地下の物置の角のを破壊。
北2階の2番目の部屋の中央やや右のを破壊。
以降も順番に破壊。
祭壇を破壊すること計13回。それだけで体感1時間以上かかった。
正解を知っててこれ。知らなかったらほぼ無理ゲーだろ。だって偽の祭壇まだまだ沢山あるぞ。手あたり次第に試したらどれだけ時間かかるか想像もつかない。
「よし、後はステータスを引くだけだ。走るぞ!」
最後は本物の祭壇へと全力疾走。13個目の祭壇を破壊したとたんに残りの偽祭壇が浮き上がり俺達へと迫って来たからだ。もちろん触ったら死ぬ。
「危ねっ!?」
「やばいて! 避ける場所あらへんって!」
「貧乳回避なのじゃー!」
「撃ち落とせ!」
本物の祭壇にたどり着いたのはシリルさんとバーバラさんだけだった。俺達は全員がクリア出来るまでリトライしたのだった。
強欲のダンジョン、6回目で全員クリア。
~暴食のダンジョン~
区分 :ノーマル
タイプ:屋外パーティー会場
人数 :5名以下
難易度:☆☆☆☆☆
「「「僕の体をお食べよ!」」」
俺達は迫りくるパン共をひたすら倒した。食べ物を粗末にしている事に罪悪感を抱いている場合じゃねえ。
このパン、顔が付いていて喋るのである。そして俺達の口めがけて飛び込んでくる。口に入ったが最後、飲食禁止のルールに引っかかって神罰が下る。強制死に戻りだ。
まさか神罰を利用してくるダンジョンがあるとはな。
しばらくしたら雨が降り始め、パン共の動きが鈍った。水に濡れたら力が出ないというのはどのパン型生命体にも共通するらしい。
1体(?)のパンがバリアで体を包んで雨を防いでいた。これを倒せばクリアである。
だがクリアは簡単ではなかった。神罰は食べるだけではなく飲み物も対象だ。うっかり雨水をなめただけで死ぬのである。
バリアを張りながら浮いて逃げ回るパン野郎。幸いにも飛べる高さはせいぜい2mまでらしい。俺達は雨に濡れながらそれを追い回し、なんとかパリアを破壊し、パンを生ごみへと変えたのだった。
暴食のダンジョン、4回目で全員クリア。
~怠惰のダンジョン~
区分 :ノーマル
タイプ:塔
人数 :5名以下
難易度:☆☆☆☆☆
このダンジョンは大部屋でモンスターの群れを倒したら上の階へ昇る、というのを繰り返すタイプのダンジョンだった。
ただし怠け者と判定された奴は心臓が止まって死ぬ。判定される条件は、各階で、討伐数が平均より低いこと。
つまり全員で次の階へと昇るには、討伐数を同じに揃える必要がある。
最初の挑戦。1階ではゴブリン13匹、2階では22匹、3階では29匹が出た。階が増えるごとに敵の数がランダムに増えていく仕様だ。全6階。
「クソ仕様じゃねーか! なんだよランダムって。割り切れねーよ!」
「割り切れない分は誰か1人を犠牲にして上がるしかあるまい」
怠惰のダンジョン、12回目で全員クリア。
~傲慢のダンジョン~
区分 :ノーマル
タイプ:博物館
人数 :5名以下
難易度:☆☆☆☆☆
「おー、SL機関車やん。本物なんかこれ?」
俺達は博物館を順路に沿って進んでいた。展示内容は動力の歴史。人力から始まり、水力、風力、時代が進んでくると蒸気機関やら原子力やら。歴史の順番で展示されているっぽい。
このダンジョンで襲い掛かってくるのは警備ロボット。床上を浮遊し、ホログラムを身にまとい、レーザーを撃ってくるというSFチックなロボットだった。
いつの時代の博物館だよとは思わなくもない。ダンジョンのデザイン元とかあるのだろうか。ひょっとしたら未来の日本から持ってきたとかなのかもしれない。
展示物がギミックになってるとかは無いとのこと。肩透かしなダンジョンだと思うのは毒されすぎだろうか。
傲慢のダンジョン、初回で全員クリア。
~色欲のダンジョン~
区分 :ノーマル
タイプ:地下迷宮
人数 :5名以下
難易度:☆☆☆☆☆
今回は石造りの迷路というオーソドックスなダンジョンだった。
ただ1つ、テンプレ的なダンジョンと違う点がある。ローション、媚薬、触手。挑戦者を様々なトラップが待ち受ける。
「エロトラップダンジョンじゃねーか!」
「が、頑張るっス」
「楽しみなのじゃ」
この世界では性行為も神罰の対象だ。直接的な行為だけでなく、いかがわしい事全般、場合によっては妄想ですら対象となる。
トラップに掛かった奴はもちろん、その姿を見てムラっと来た仲間ですら死ぬという色んな意味でひどいダンジョンだ。
「バーバラ、おふざけは無しだからな?」
「分かっておるのじゃ。意図せず罠にかかって不本意に辱められてこそエロさが際立つ、そう言いたいのじゃろう? ホス坊」
こののじゃロリ無敵か?
「え、そういうのが趣味なんスか、社長!?」
「違う……」
ホスディアはシリルさんにローキックされた。ひどい理不尽を見たぞ。
攻略は、まあその、あれだ。頑張った。
色欲のダンジョン、4回目で全員クリア
~憤怒のダンジョン~
区分 :ノーマル
タイプ:墓地
人数 :5名以下
難易度:☆☆☆☆☆
「準備は良いか。このダンジョンはこれまでのギミック型のダンジョンとは違う。敵は1体。シンプルに強い!」
ついに七大罪最後のダンジョンだ。ホスディアの声も心なしか力が入っているように感じる。
「ボコボコにしてやるっス!」
「腕が鳴るのじゃ」
「やったるでぇ!」
「おおー!」
パーティーの面々も気合ばっちり。俺もつられて叫んだ。これまでのダンジョンは面倒臭さに特化したような奴ばかりだったからな。溜まったフラストレーションを解消してやる。
これから行うのは純粋なバトル。敵は鎧武者との事。相手にとって不足なし。多分!
「行くぞ!」
「「「「おお!」」」」
俺達はダンジョンへと突入した。




