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TS斧使い、ダンジョンで脳筋に仕上がる  作者: 源平氏
第二章 やりたい事があるんだ
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第66話 ステゴロ系美少女配信者、爆誕


 多才な奏者を駆使してテンション上がる系の戦闘曲を流すマオ。カメラを回すケムシン。そんな2人に支えられながら、俺はステゴロ配信を敢行した。


 スライムとの戦闘は思いのほか長丁場と化した。理由は単純。素手による火力不足である。


 更に今の俺は後衛向きのステータスをセットしている。物理面は貧弱そのもの。縛りプレイの極致と言っていいだろう。


 今セットしているステータスはこれだ。


=======================

・雨乞いの名人(ランク4)

  筋力:☆☆

  耐久:☆

  速度:☆☆☆

  魔力:☆☆☆☆

  器用:☆☆☆

=======================


 耐久はまさかの☆1。初期ステータスと同じだ。スライムにすらワンパンされるほどの紙装甲である。つまり勝つためにはノーダメ完封が必須条件だ。


 幸いにも速度はこちらが上。飛び掛かってくるスライムを躱し、着地した瞬間に蹴りを叩き込む。


「おりゃっ!」


 クリーンヒット。スライムが震えた。間髪入れずに連撃。ダメージを稼いでいく。




@蝙蝠くん  :フットワークいいぞ!


@大吉おじさん:うひー、気を付けて(×o×)


@おっとこぬし:非力なのかわいい




「うおっと!?」


 スライムが蹴られながらも反撃してきた。毎度のごとくジャンプしての体当たり。攻撃に集中していたせいで反応が遅れたが、間一髪で避けてカウンターを放つ。


「せいっ!」


 まだ空中で放物線を描くスライムへと回し蹴りがさく裂した。


 マオによる体術アシストによって、今の俺は器用☆5を超える精度で攻撃を当てる事が可能だ。格ゲーで言う所の自動入力、FPSで言う所のオートエイムだ。マオが名実ともにチート過ぎる。




@かにまる  :今のかっこいい!


@mamawa   :ひょっとしてプロの方?


@aeaekun1  :よくあそこから当てれたな


@ネコ紳士3世:なぜスカートじゃないんですあk!?




 俺の蹴りを見てコメント欄が沸いた。増えていく視聴者数といいね。


 なるほど、危なげなく勝っちゃだめだな。これは配信。必要なのは盛り上がりか。


(マオ、こんなのやりたいんだけど出来るか?)


 念話で相談。理想の動きを思い浮かべてマオに共有する。


『可能です。視聴者をスタンディングオベーションさせてみせましょう』



 そうしている内にスライムの動きが鈍り始めた。そろそろだな。



 一旦距離を取って向かい合う俺とスライム。スタジオに緊張が張り詰める。BGMもストップ。静の空間が演出された。


 プルプルッ!


 静寂を破るようにスライムが震えた。そしてジャンプ。もう何度も見た俺への体当たりだ。待ってたぞそれを!


「とうっ!」


 俺もまたスライムに向かってジャンプ。空中で身をよじりながらすれ違うように体当たりを避けてスライムをキャッチ。


 人体を一撃で破壊するほどの衝撃が俺の腕を襲った。それを回転することで受け流す。スライムと俺が一緒になってきりもみ回転。そして落下。


「これで、終わりだあああああっ!」


 スライムを振りかぶる俺。視界はぐるんぐるんだ。かなりの恐怖。方向感覚はめちゃくちゃ。それでも俺はマオのアシストを信じて腕を振りぬいた。


 ビターン!


 床へと叩きつけられるスライム。体操選手もかくやという身のこなしで着地する俺。


 今までの饅頭体形が嘘のように、スライムの体は薄く引き伸ばされていた。青いペンキをぶちまけたかの様。そのまま光の粒へと変わって消滅した。


「勝ったぞおおおおおお!」


 拳を振り上げて勝利の雄たけび。カメラは背後だ。視聴者に背中で語る俺。絶対かっこいい。


 マオがダメ押しで盛大なBGMを流した。これは盛り上がるに違いない。




@yamada2025 :うおおおおおお!!!!


@あそさん  :888888888


@braker_pat :すげーーーーーーー


@てけりりす83:かっこいい!


@aaaa    :これは登録ですわ


@かにまる  :ブラボー! 超ブラボー!


@golira_fight:かわいいだけじゃない!




 気づけば視聴者数は500を超えていた。今もぐんぐん増加中。凄まじい伸びっぷりだ。どうやら俺の企画は成功したらしい。


「まだまだ行くぞー!」


 俺は2体目のモンスターに挑戦した。




 そうしてモンスターを屠っていった俺。視聴者数は加速度的に増え、ついに5000人を突破した。


 だが問題も発生。どうやらモンスターは召喚される毎に強くなるらしく、次第に素手ではどうしようもなくなってきた。先ほどもオーク相手に大苦戦を強いられ長期戦に発展した。


 このままだと配信がダレるな。そろそろか。



「よし、そろそろ次の企画行くぞ!」



 実は俺のアイデアは2段階ある。ステゴロ配信はその1段階目。インパクト重視の企画で視聴者を増やすのが狙いだ。


 そして2段階目で狙うのは、ファンの獲得。出オチとならないように俺というコンテンツをより充実させていく。ガチ恋勢が多くなりやすいジャンルで勝負をかける。


 そのジャンルとは、


「俺の歌を聞けぇ―!!」


 そう、歌配信である。




(今までに聞いたことが無いほどの歌唱力~♪)


 俺の歌声を聞いてコメント欄がかつてないほどに沸き立った。



(情景が思い浮かぶような豊かな表現力~♪)


 俺の歌う歌詞に合わせてコメント欄が感動の渦と化した。



(思わず手拍子してしまう程の抜群のリズム感~♪)


 俺の振り付けに合わせてコメント欄が合いの手であふれた。



 伸びる伸びる。ぐんぐん伸びる。視聴者数もいいねも登録者数も留まる所を知らない。俺の歌は視聴者の心をがっちりと掴む事に成功していた。





 ここで種明かしをしよう。口パクである。


 口 パ ク で あ る 。



 そう、音楽が始まってから俺は一言も発していないのである!


 演奏も歌も、歌詞の合間に挟まるわずかな呼吸音に至るまで、全部マオが多才な奏者で出力しているのである!


 現実で配信している訳じゃ無いからセーフ。NPCが相手だからセーフ。ダンジョンを攻略しているだけだからセーフ。そう言う事にしてくれ。



 そうこうしている内に視聴者数が大台の1万を突破した。配信としてはかなりの規模だろう。人気は十分に獲得できたと言っていいはずだ。


 そしてついに、奴らがコメント欄に現れた。


 そう、アンチである。


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