↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS斧使い、ダンジョンで脳筋に仕上がる  作者: 源平氏
第三章 これは俺が転生するまでの物語
123/126

第122話 前哨戦


「くそっ、動けねえ!」


 両手両足を撃ち抜かれた俺達。犯人のヨイスは教会へと死に戻っていった。


 先の問答で分かった事は3つ。


 奴はこの世界を滅ぼそうとしている。そのためにダンジョンを破壊している。人が死ぬ。


 まずいな。このまま雲隠れされたらどうしようも無い。逃げ隠れしながらダンジョンを破壊されたら止めるのは困難だろう。


「ケムシン、俺達も追うぞ! 自爆できるか!?」


「了解や、やってみる!」


 今ならまだ教会の近くに居るはず。俺達も死に戻らないと。


 ケムシンの千切れた腕の断面、そこに魔力の玉が浮かんだ。手のひらが無くなってても撃てるらしい。不幸中の幸いだ。


「ウイニングボール!」


 地面に向けて発射。俺達は爆発に巻き込まれて木っ端みじんになった。




 教会で復活。


 俺は素早く周囲を見回した。多分もう外に逃げてるだろうが念のため……に……


 居た。礼拝堂の奥の部屋へ入るための扉、その前に。


「お前、嘘だろ……?」


 思わず声が震えた。だってそうじゃないか。俺達転生者はこの世界の人に危害を加えるなんて事は出来ない。そのはずだ。


 ヨイスはそこに居た。その足元には首なし死体。


 血が水たまりのように広がっていた。修道服が真っ赤に染まっている。顔を確認出来ずとも、それが誰かは一目瞭然だった。


 倒れ伏しているのはクソ神父だ。どう見ても生きてはいない。間違いなく即死だっただろう。


「ヨイスお前!? 何て事を!」


「仕方ないじゃないですか。この人にだけはバレる訳にはいかなかった。そうなる前に殺すしかなかったんです」


「なんで……」


「システムの管理者が持つ権限の1つにペナルティの付与があります。一定期間転生出来なくするというペナルティです。それは困ります。今後の計画がパーになる」


 こいつ、そんな自分勝手な理由で……


 俺の歯がギリッと音を立てた。



「ふざけんなゴミカス!!」


 ここは教会。スキルを変更出来る場所だ。俺は斧をセット。即座に召喚しヨイスへと斬りかかった。


 俺の胸に穴が開いた。指を向けられたと思った時にはすでに撃ち抜かれていた。


「おらあああああ!」


 構わず突進。次の瞬間にはダメージは全快していた。教会に来ると転生者の体はリセットされる。ここでは即死以外はかすり傷だった。


「なるほど。面倒ですね」


 頭を撃たれた。俺の視界が祭壇の前に瞬間移動する。即死して死に戻ったのだ。


 くそ、光線が強すぎて近づけねえ。



「変身!」


 ケムシンが切腹した。全身が鎧に包まれる。無敵モード発動だ。光線を弾きながらヨイスへと斬りかかる。


 良いぞ、どれだけ威力が高かろうと所詮は光。ノックバックさせる効果は無い。剣の間合いまで近づける。


 ドッ!


 ケムシンが蹴り飛ばされた。教会の壁に頭からめり込む。


「ケムシン!?」


「だ、大丈夫や!」


 なんつーキック力だ。フィジカルも高いのかよ。



 ならば奥の手だ。俺には対人戦最強のスキルがある。


 スキルロットから斧を除外。代わりにそのスキルをセット。


=======================

・独りよがりなパティシエ(ランク1)

  対象1体の口の中に任意のケーキを召喚する。

=======================


 これが俺の奥の手。転生者に使えば飲食禁止のルールを破らせ神罰が下る。当然即死だ。


 喰らいやがれ。そして悶絶しろ。


「ホールケーキ!」


「ぶほっ!」


 到底口に入りきらない量のケーキがヨイスの口から噴き出した。同時に雷が直撃。


「ざまあみやが……、……!?」


 嘘だろ、なんで……



 ありえない事が起きていた。


 神罰の前にはどんな防御スキルも無意味。転生者であるヨイスに死から逃れるすべはないはずだった。


 ヨイスは、消し炭になっていなかった。


「けほっ、けほっ。ふう、ケーキなんて久しぶりに食べましたよ。甘いものって苦手なんですよね」


 口元をぬぐうヨイス。


「なんで、神罰喰らって平気なんだよ」


「今更ですか。神父さんを見た時に気づかなかったんですか? 殺人なんて神罰の対象に決まってるじゃないですか」


 確かにそうだ。危害を加えようとしても直前に神罰が下る。おそらく奴はそれに耐える事でクソ神父の殺害に成功したのだろう。だが一体どうやって耐えたってんだ。


 強い。耐久力もそうだが考えてみれば光線も身体能力も強すぎる。俺達は転生者の中でもトップクラス。それがここまで太刀打ち出来ないなんておかしい。



「良いから答えろ! なんでそんなに強いんだよお前は!」


「『業』という仕組みがあります。悪事を働くことでポイントが溜まっていき、それに応じて力を得る事が出来ます」


 なんだそれ。徳システムの悪行版か?


「ダンジョンの破壊は業ポイントが美味しいんですよね。なんせ聖域なので。もう僕に勝てる奴なんて居ません」


 得意げなヨイス。その態度はひどく癪に障るものだった。


「実を言うと、神父さんを殺した時はギリギリでした。あと数日バレるのが早かったら神罰に耐えられなかったでしょう。でも彼を殺したことで一気に力が増しました。ポイント高いんですよ。聖職者の殺害も」


 さっきからペラペラと。神経を逆なでされてる気分だ。何とかしてこいつを止める方法は無いのか?



「ところでミョンチー先輩の斧って、かなり威力があるんでしたよね?」


「だったら何だよ」


「動かずにいてあげます。攻撃してみて下さいよ」


 ……はぁ?


「これは実験です。僕にダメージを与えられる人がまだ居るのかどうか。刃物ならワンチャンあるかもしれませんよ?」


 調子に乗りやがって!


 俺は再度斧を召喚した。


=======================

・慈悲深い処刑人(ランク4)

  大斧を1つ召喚し扱う事が出来る。

  刃が首に命中した場合威力が倍になる。

  この斧による攻撃は痛みを与えない。

=======================


 ステータスはもちろんランク6。筋力は上限の☆5だ。


 さらに魔力制御。腕に魔力を集中させパワーを上乗せする。迅脚の腕版。俺の握力で斧の柄がギリッと鳴った。


「喰らいやがれ!」


 狙うは当然首。神罰を除けば、俺が出せる最高威力の一撃が実現する。



 ガキィイイイイン――



 俺の斧が今までに無い音を奏でて止まった。衝撃がもろに来て腕が痺れる。


「嘘やろ……」


 ケムシンの呟きが聞こえた。



「どうやら、無傷みたいですね」


 ひょいッと斧がどけられた。首元をさすり、何ともない事を確かめるヨイス。


「ありがとうございます。おかげで僕に敵は居ない事が分かりました。話し相手になった甲斐があります」





 まずは事実を受け入れよう。こいつは強い。俺には勝ち目が無い。


 俺がすぐ目の前に居るのに平然として居られるだけの戦力差が確かにあった。



 だから何だ。


「ミタマキック!」


「おぶっ!!?」


 俺は股間を蹴り上げた。変な声と共に股を押さえるヨイス。


 その隙に多才な奏者をセット。拡声魔法を最大出力に設定。俺は大きく息を吸った。



「ダンジョン消失現象の犯人はヨイスだ!」


 俺の声は町の外まで響いただろう。


「今教会に居る! クソ神父が殺された! ヨイスはこの世界を滅ぼすつもりだ!」


 ボス戦と同じだ。敵が強いなら勝てる奴を探せば良い。通用するスキルを探せば良い。人数差で戦力差をひっくり返せば良い。


「転生者は今すぐ教会に来てくれ! ヨイスを倒すぞ!」


 反撃の幕が、今開く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。