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TS斧使い、ダンジョンで脳筋に仕上がる  作者: 源平氏
第三章 これは俺が転生するまでの物語
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第119話 ついに見つけた手掛かり


 ホスディアとバーバラさんが転生してしばらく経った。ギルドは改革直後の混乱やトラブルに多々見舞われながらも、なんとか活動を続けている。


 とはいえ成熟したとは言い難い。まだまだ活動を拡大する必要があった。


 今検討しているのはポイント制度の導入。ステータスがランク5以上になった転生希望者はボスに挑む事になる。その順番をポイントが高い順にしてはどうかという案である。


 これまでは貢献度やギルドに入ってからの長さを参考に決めていたが、明確に集計していた訳では無く、あくまで肌感だったのである。それをポイントという指標で分かりやすくしようというアイデアだ。



 モチーフになったのは、徳システム。善行を積む事でポイントがもらえて来世で運が上がったりする仕組みだ。まともな効果を得るためには千年単位で善行を積まなければならないので本気で利用しようとしている奴はほとんど居ないが。


 たしか安全な場所で生まれるのに1万ポイントだっけ。そんでホスディアでも2ポイントしか持ってなかった。あまりに渋すぎる。ギルドのポイントはそうならないようにしないとな。



 面倒な仕組みになるだろうというのが幹部の共通認識だ。100名弱の転生者の活動を毎日チェックしてポイントを更新する必要がある。必要なのは大量の紙と筆記用具、そして働き手だ。


 正直なところ、そこまでの手間をかけてまでやらないといけない物ではない。ボスに挑む順番は今でもある程度は公平になるように努めている。


 たくさんの手間をかけて、ある程度公平にやって来た事がもっと公平になるだけ。では何故わざわざそんな制度を導入しようとしているのか。


 理由は単純。この世界に残ると決めた人が多いからだ。保留の人も含めれば8割以上になる。そいつらがあんまりダンジョンに行かなくなり、暇を持て余していた。


 つまりは、斡旋出来る仕事を増やすために必要性の低い仕組みを導入しようとしているのである。



 それで良いのかと聞かれれば、俺は良いんじゃないかと答える。ギルドは転生者に役割という名の居場所を与える事も目標としているからだ。


 全く働こうとしない人ももちろん居るが、暇だから何とかしてくれという人もまだまだ居る。そういう人達への対処が今のギルドの最優先事項だった。




 夜。


「お待たせ、ケムシン」


「お疲れ。俺も今来たところやで」


 俺はケムシンと待ち合わせをしていた。これから一緒に護衛である。


 ダンジョン消失現象はもはや日常となっていた。なのでそのたびに周辺の集落に護衛を配置している。


 対象となる集落が十数か所。それを30人程、半日交代で護衛だ。ギルドメンバー100人弱でローテーションしているので、担当が回ってくる頻度は3日に2回くらい。


「久しぶりに同じ班になれたなあ」


「まじでそれな」


 お互い忙しくてこれまでは予定が合わなかった。今夜はしゃべり倒すぜ。




「今育ててるのはミタマ豆って言ってな、2つペアで実る豆や」


「ほうほう」


 今の話題はケムシンが手伝いに行ってる農場について。


「この豆が茎からぶら下がってる様子がな、男の股間のあれに似てるんや」


「おお……!」


 神罰が下らないギリギリのラインの会話。はしゃぎ過ぎたら下るので注意は必要だ。


「だからこの世界ではミタマが股間のあれの隠語になってるらしいで」


 交流が増えればそれだけその世界の文化に触れる事も増える。ケムシン達居残り組は少しずつ、でも着実にこの世界に根を下ろし始めているようだった。


「そっちは最近なんかあった?」


「へへっ、実はさ、マオのアシスト無しでも迅脚使えるようになったぜ!」


「おお、すごいやん!」



 久しぶりに一緒になったという事もあり、話は色んな事に及んだ。ギルドの事、スキルの事、この世界の事、前世の事、そしてダンジョンの事。


「じゃあ、まだ手掛かりとかは見つかってないんやね」


「ああ。クソ神父もお手上げらしい」


 ダンジョン消失現象。マオをダンジョンから解放する手掛かりがあればと期待してはいるものの、その原因は依然謎である。


 とはいえ情報を集め整理してみると、いくつか法則というか、傾向は見えてきていた。



 1つ目、ダンジョンが消失するのは必ず夜。ペースは3日に2回くらいである。


 2つ目、消失するダンジョンの難易度が高くなってきている。最初は難易度1ばかりだったのに、今では難易度3も消失するようになった。


 3つ目、消失しているのは、町からそう遠くないダンジョンばかりである。


 4つ目、モンスターが外に出てくるケースは意外と少ない。ダンジョンと一緒に消えてるのだろうか。捜索しても見つからない事の方が多かった。



「不思議やなあ。どういう理屈なんやろ」


「謎だよなあ。マオでも全然分からないらしい」


『申し訳ございません……』


 あ、大丈夫だぞマオ。全然気にしなくて良いから。


『はい……』


「何か共通点とかってあるんやろか?」


「いや、さっき言ったの以外はさっぱりだ。モンスターとか地形とかはバラバラ」


 さすがに10も20もダンジョンが消えたらマップの表示も寂しくなってくる。このペースで無くなったら数年後にはダンジョンが全滅するんじゃないか?


『今のペースだと100年以上かかりますね』


 あ、そんなかかるんだ。結構なペースで消えていってるからもっと早いと思ってた。



 ……ん?


「そういえば、護衛が回ってくるペースも3日に2回くらいだよな」


 ダンジョンが消えるペースと一致している。ただの偶然か?


 それとも、俺達の護衛が何かダンジョンの消失に影響している?


『護衛はダンジョン消失現象が発生してから始めた事業です。因果関係が逆かと思いますが』


 ああ、そう言えばそうか。


『それにその頻度はあくまでミョンチー様の視点での話です。実際には毎日昼も夜も誰かが護衛をしていますので関係無いかと』


 むう、まったくもってその通りだ。もしやと思ったんだがなあ。


 考えてみれば集落で護衛をしたからといってダンジョンには関係が無いのは当然か。ダンジョンに行ったのならともかく。



 ……んん?



 俺の中でこれまでの疑問がフラッシュバックした。


 なぜ夜にばかり起こるのか、なぜ町の周辺でばかり起こっているのか、なぜ難易度が低いダンジョンから消失していっているのか。


 夜にばかり起こると言っても、起こらない日もある。起こった日と起こらなかった日に違いがあったとしたら?


 まさか……


「なあマオ、俺が護衛した日って全部覚えてるか?」


『もちろんです。カレンダー形式で表示しますか?』


「ああ、頼む」


 マオが視界にカレンダーを表示した。丸印が付いているのが護衛の日だな。3日に2回くらいの頻度で丸が付いている。


「夜の分だけ表示してくれ」


『了解しました』


 カレンダーの丸印が半分に減った。ローテーションなので昼と夜の担当が交互に回ってくる事が多かったからだ。


 そこに映し出されているのはもちろん夜の護衛の日程。3日に1回くらいのペースで丸が付いている。



 逆を言えば、3日に2回は夜の護衛が無い。



 もしも夜に護衛の仕事が無ければダンジョンに行く、という奴が居たら同じような頻度になるだろう。ダンジョンの消失と同じ、3日に2回という頻度に。



 ひょっとしてこれ、転生者の誰かが原因なんじゃね?


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