第116話 幕間:薬草採取は突然に(前編)
幕間でキャラ掘り下げの後、最終ストーリーへと突入。残り20話!
「それでは最終問題。今、何問目?」
そこはサッカーコート程の広さのダンジョン。内部は激しい日光降り注ぐ灼熱の砂漠である。
上空から見れば、緑地の中にぽっかりと空いた土地に砂が敷き詰められているという意味不明な光景が広がっているだろう。そんなダンジョンの中に転生者が2人。とめどなく汗をたらしながらスフィンクスと対峙していた。
~砂漠のダンジョン~
区分 :ノーマル
タイプ:砂漠
人数 :4名以下
難易度:☆☆☆☆
このダンジョンではスフィンクスが意地悪クイズを出して来る。ランダムに出されるクイズに全て正解するとスフィンクスが逆ギレして襲いかかり、戦闘で勝利すればクリアとなる。
「え、今最終問題って言ったのだ? 全10問ではなかったか?」
「うん。最初の説明でそう言ってたね。でも……」
疑いの目を向けるその2人はジーナジョンとヨイス。かつて難易度1でつまずきミョンチーに助けられた新人である。その後は順調にダンジョンの攻略を進め、現在ランク4までステータスを上げていた。
「1、2、……おかしい。今は9問目のはずだよ」
指折り数えるヨイス。それを聞いてジーナジョンはポンと手を打った。
「分かったのだ! 最初の説明で出された例題がカウントされているのだ! 例題込みで全10問だからこの問題が最終問題になるのであろう!」
「な、なるほど」
答えは10。彼らがそう回答すると、スフィンクスの顔が愉悦で歪んだ。
「残念! 正解は9問目でした~!」
「なんでなのだー!? 最終問題って言ったではないか!」
「お前達が不正解になるからこれが出題される最後の問題になるだけで~すw」
「卑怯者めがあああっ!」
次の瞬間、上空から降り注いだ光線によって2人は蒸発したのだった。
教会で復活した2人。
「だあああっ! また死んだのだ!」
「ごめん、僕も騙された」
「盟友のせいではない。あのスフィンクスが性格悪過ぎなのだ!」
間違った回答をすると即死、それがこのダンジョンのギミックである。ギルドが作成した資料に過去問がまとめられているものの、ランダムな出題であるため未知のクイズもたびたび現れ、挑戦者に辛酸を舐めさせていた。
ちなみにクイズを無視してスフィンクスを倒してもクリアになる。だがその事に気づいている転生者はまだ居なかった。
「もう一度なのだ! 今度こそあのスフィンクスをぎゃふんと言わせてやるのだ!」
目をかっぴらいて教会を出るジーナと追いかけるヨイス。だがその足は教会を出て数歩で止まった。クソ神父が住民ともめている場面に出くわしたからである。
その住民は老婆。クソ神父に縋りつき何かを懇願していた。
「どうしたのだ、クソ神父よ。またダンジョンからモンスターが出てきたとでも言うのか?」
「おお、ジーナジョン殿。それにヨイス殿も。ちょうど良い所に来ましたな」
縋りつかれたクソ神父が頭だけで振り返る。老婆もまたジーナ達を見た。そしてこんな事を言ったのだった。
「お願いします! 孫が、私のたった1人の孫娘が病で! どうかダンジョンから薬草を取って来て下さい!」
老婆の名はキーラ。孫娘のアリアがブドウ熱という病にかかり、教会に助けを求めに来たのだと言う。
ブドウ熱の症状は高熱。さらに全身に紫色の斑点が浮かび上がり、1週間程で死に至る場合もある。特に体力が少ない子供がかかった場合、その致死率は高い。
特効薬は存在する。だがその材料である薬草はダンジョンに生えていた。採取には転生者の協力が必要不可欠である。
「と言う訳ですぞ。ジーナ殿にヨイス殿、今からクエスト発行のための書面を作成しますゆえ、ギルドに届けて欲しいのですぞ」
手順を踏もうとするクソ神父。だがそれにジーナが待ったをかけた。
「クソ神父よ、そんな悠長な事をしていて間に合うと言うのか?」
「それは……分かりませぬが……」
「なら我らが急いで取ってくるのだ。面倒な手続きなど後にすれば良かろう。アリアなにがしの命の方が大切なのだ」
「アリアです! 神父様、どうかお早く!」
老婆がそれに便乗。クソ神父はわずかに考え込んだ後、首を縦に振った。
「ふむ、まあ貴殿らなら取ってこれるだけの力はありましょうな。ではジーナジョン殿、ヨイス殿、お願いいたしますぞ」
こうして、薬草採取クエストが急遽スタートしたのだった。
「盟友よ、悪かったのだ」
ダンジョンへと走って向かう道中、ジーナがそう言った。唐突な謝罪にヨイスは目をぱちくりさせる。
「悪かったって、何か?」
「相談せずに勝手にクエストを受けた事なのだ。見て見ぬ振りは出来なかったのだ」
彼らは砂漠のダンジョンを攻略中だった。それを中断した事を、彼女は今更ながらに後ろめたく思ったらしい。その事を察したヨイスはフッと笑う。
「そんな事で思い詰めてるの? 怒ったりするはず無いよ。仲間じゃないか」
それに、とヨイスは続ける。
「僕の目標は知ってるだろ? むしろ良かったよ。これでまた徳が積めそうだ」
徳システム。善行によってポイントが貯まっていき、ポイントに応じて転生時に特典が付く。
安全な場所に確定で生まれるのに必要なポイントは1万。最も安価な特典である。それですら1000年単位で徳を積まなければならないポイント量だった。
そんな誰も見向きもしないような仕組みの活用をただ1人、ヨイスだけが目指すと公言していた。
「なら良かったのだ。絶対に我らの手で薬草を取ってくるのだ」
ジーナが大きく息を吐き出した。それが走っているが故の息苦しさゆえか、それとも安心したためか、それは彼女しか知る由も無い事であった。
~雪山のダンジョン~
区分 :ノーマル
タイプ:雪山
人数 :3名以下
難易度:☆☆☆☆
目の前には雲に届くかという程の山。推定1000メートル越えの霊峰である。上の方は岩肌が雪で白く染まっており、登頂の困難さが容易に予想された。
唯一の気休めは、登山道が整備されている点。看板やロープで順路が分かるようになっている。クソ神父によると、この登山道を登って行けば山頂に着き、そこに薬草が生えているとの事だ。
薬草の特徴は風鈴のような形の青い花弁。それを1~2本、根元の土ごと持って帰れば良い。
「まだふもとなのにもう寒いのだ」
ダンジョンに入った途端、ジーナが体を震わせる。ゴスロリ調のヒラヒラした服はどう考えても雪山には向いていなかった。
「言われた通り耐久重視のステータスをセットして来たけど、従って正解だったね」
ただ中に居るだけでダメージを受けるダンジョンがある。環境ダメージ型と呼ばれるものだ。耐久が一定以下の者は挑戦すらさせてもらえない。このダンジョンもまたその類だった。
「盟友よ、熱湯をかぶればマシになるのではないか?」
「だめだよ。寒い所では熱湯は急激に凍るんだ。そのまま氷像になっちゃうよ」
「むむ、なら仕方無いのだ」
彼らは体が冷えないようにと小走りで登山道を進んだのだった。
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名前 ジーナジョン
ステータスロット
・爆風に乗った金庫(ランク4)
筋力:☆
耐久:☆☆☆☆☆
速度:☆☆☆☆
魔力:☆☆
器用:☆
スキルスロット
・やかましいヒーロー(ランク4)
技名を叫ぶと技が強化される。
技でなくともとりあえず叫べば強化される。
技名はなんでもよい。
・丁寧な林業従事者(ランク3)
チェーンソーを召喚し扱う事が出来る。
植物に対して威力特攻。
器用が+☆1。
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名前 ヨイス
ステータスロット
・迫る系アイアンメイデン(ランク4)
筋力:☆
耐久:☆☆☆☆
速度:☆☆☆☆
魔力:☆☆☆
器用:☆
スキルスロット
・加減を知らない風呂屋(ランク3)
水魔法「熱湯噴射」を放つ事が出来る。
火傷耐性を得る。
・縮こまった臆病者(ランク2)
大盾を召喚し扱う事が出来る。
装備中は速度が☆1になる。
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