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TS斧使い、ダンジョンで脳筋に仕上がる  作者: 源平氏
第三章 これは俺が転生するまでの物語
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第108話 幕間:ギルド飛躍秘話 後編


 俺の名前はタッセル。ネオ元祖転生前夜のリーダーだ。


 ギルドとかいう団体が出来たと聞いた時、俺はやれやれと思った。ホスディア? 誰だそいつは。実力も実績も無いのに分不相応にデカいことをしようとする奴は多い。そいつもその一人だろうと、俺は歯牙にもかけなかった。


 どうせ誰も付いて行かない。すぐに消滅するだろう。そう思ったからだ。そもそもそういう役割は最大手パーティーであるうちが担うべきだ。


 まあ、最近はパーティー同士の連携なんて中々出来て無かったけどな。



 イベントの後、スキルを大量に手に入れた転生者共は我先にと転生していった。多くのパーティーでリーダー格から抜けて行き、余った奴らは解散したり分裂したりした。


 そうして残ったのは愚図ばかり。そんな奴ら、いくら居ようとまともな連携は望めねえ。どいつもこいつも主体性は皆無なのに自分の都合しか頭にねえ馬鹿ばっかりだ。そりゃ連携なんて無理だ。


 だからギルドが順調にメンバーを集めていると聞いて俺は耳を疑った。なんで愚図共を従えられる。



 俺は昔から同級生によく頼りにされた。勉強も、遊びも、体育祭も、文化祭も、学校の色んな行事やイベントで俺は引っ張りだこだった。その俺でも十数人従えるのでやっとなのに。


 否定された気がした。劣っていると言われた気がした。


「おいてめえら、ギルドとかいうのを潰しに行くぞ」


 同時にチャンスだとも思った。実力と実績ならうちの方が上だ。転生者のトップは俺達こそがふさわしい。メンバーを奪い取るのだ。そうなれば転生者全員で協力してボスに挑むのも夢じゃねえ。


「俺が導いてやるよ」


 俺達は集会場へと向かった。




 そうして無理やり吹っ掛けた勝負。


 勝てるはずだった。俺達は最大手のボス攻略パーティー。スキルの数もメンバーの多さも圧倒的に上。有利じゃ無いはずが無い。



 そうして迎えた1回戦。


「良いのか? 本気で戦っても」


 そうほくそ笑むのはハッカス。何かあればすぐに自分の権利がどうのこうのと言って暴力沙汰を起こすカスだ。でも躊躇の無さは対人戦では有利だと思って先鋒に選んだ。


=======================

名前 ハッカス


ステータスロット

・しつこい駆逐艦(ランク5)

  筋力:☆☆☆

  耐久:☆☆

  速度:☆☆☆☆☆

  魔力:☆☆☆

  器用:☆☆


スキルロット

・業の深い暗黒騎士(ランク5)

  剣を1つ召喚し扱う事が出来る。

  念動力を使う事が出来る。

  剣から触手を生やす事が出来る。


・受け身じゃない風見鶏(ランク5)

  風系能力詰め合わせ。

  物理法則から乖離するほど消費魔力上昇。

=======================


 ハッカスは剣を抜く間も無く首を斬り落とされた。


「しょ、勝者、シリル!」


「あんの口だけ野郎が!」


 普段でかい態度のくせにクソの役にも立ちやしねえ! 戦い以外がカスなのに戦いですら結果を出せねえならただの害悪じゃねえか!



「おいネーム! てめえは勝てよ!? 本気でやれ。いいな!」


「う、うん。僕がはっちゃんの仇を取る!」


 中身小学生の大男がそう息巻く。自主性が皆無の指示待ち人間だが、こういう時は素直で使いやすい。


=======================

名前 ネーム


ステータスロット

・バランスの取れた横綱(ランク5)

  筋力:☆☆☆☆

  耐久:☆☆

  速度:☆☆☆☆

  魔力:☆☆☆

  器用:☆☆


スキルロット

・地ならしの名人(ランク4)

  大槌を1つ召喚し扱う事が出来る。

  命中時に重さが増し、それ以外は軽くなる。


・お手軽バーサーカー(ランク5)

  任意のタイミングで発動出来る。

  敵を倒すまで極度の興奮状態が続く。

  ステータスのすべての項目を+☆2。

=======================


「うああああ!?」

「ぎゃあああああっ!」

「ぐえええええ!」


 ネームは敵の卑劣な自爆戦術(?)により跡形もなく蒸発した。巻き添えで俺らも相手もまとめて死亡。


 この敵狂ってやがる! うちで一番の前衛がこんな奴の相手になるとは運がねえ!


「勝者、ケムシン!」


「クソがっ!」


 まさかの2連敗。もう後がねえ。俺は頭を掻きむしった。




「任せろ。3連敗だけは絶対に阻止する!」


 うちのタンク、ジュラジュレはそう決意を露わにした。敗戦濃厚になったら味方より自分を守る事を優先するボンクラだが、防御力は折り紙付きだ。


「おい、頼むからな!? マジで死ぬなよジュラジュレ!」


「当たり前だ。お前達は俺が守る! 安心して見ていてくれ!」


=======================

名前 ジュラジュレ


ステータスロット

・回避系サンドバッグ(ランク5)

  筋力:☆☆

  耐久:☆☆☆☆☆

  速度:☆☆☆☆

  魔力:☆☆☆

  器用:☆☆


スキルロット

・いたずら好きな盾兵(ランク4)

  大盾を1つ召喚し扱う事が出来る。

  噴射口からジェットを出す事が出来る。


・つつましい防人(ランク4)

  鎧を1つ召喚し装着する事が出来る。

  自身の受けるダメージを半減させる。

=======================


 ジュラジュレは謎の攻撃を受け即死した。


 何が起こった……? なんでジュラジュレが死んでやがる。ショートケーキって何だ? 雷が落ちた事と感電(ショート)という技名からして、雷魔法なのは間違いねえが。


 ボスの攻撃にすら耐えるジュラジュレが一撃で……? ありえねえ!


「しょ、勝者、ミョンチー!」



 審判が結果を述べた。3連敗。俺達のストレート負けだ。


「く、そ、があああああ!」


 忘れてた。こいつらは結局転生出来ずに残った愚図共。期待した俺が馬鹿だった。


「リーダー、どうするんだよ!?」

「勝てるって言ったじゃん!」

「俺もう恥ずかしくて外出歩けねえよ!」


「あーもう黙れ黙れ黙れ愚図共! なんでも俺に責任押し付けるんじゃねえ!」


 クソが。なんで俺はこんな奴らのリーダーなんかしてんだ。思えばリーダーになってからこいつらの面倒を見るために振り回されてばかり。俺は溜まりに溜まった日頃の鬱憤を吐き出した。


「お前らが不甲斐無いからこうなってんだ! そもそもお前らがちゃんとしてれば今頃転生出来てたはずなんだよ!」


「な、なんだよ! 俺達が悪いってのか!?」


「おお、そうだ! 馬鹿のくせに無駄に強いチートなんか考えやがって。てめえらのボスが倒せないせいでいつまで経っても俺の順番が回ってこないんだろうがボケェ!」


 分かってる。こんなのを言ったところで関係が悪くなるだけだ。でも言わずにはいられなかった。




「これで、ギルドの運営は俺達が行う事になった訳だが……」


 怒り冷め止まぬ中、敵側のトップが声をかけてきた。


「良い心がけではないか。リーダーを務めるだけの事はある。どうだ、お前もうちに入らないか? その経験があればギルドでも活躍出来るだろう」


 もう転生前夜の名は地に落ちた。ここまで無様な敗北を晒したからには、もうどのパーティーも着いては来ねえだろう。


 転生を目指すならギルド加入一択。それ以外に選択肢は残されていなかった。


「見た所、貧乏くじを押し付けられてリーダーになったと言った所か。安心しろ。ギルドではなるべく公平に転生を目指せるようにするつもりだ」


 貧乏くじ……? 押し付けられて……?


 違う、俺はクラスの人気者で――



 思い起こされる記憶の数々。


「おい乾、宿題写させてくれよ」


「ごめん、用事があって、掃除代わりにやっといてくれない?」


「さすが乾君、クラス委員はお前しかいねえぜ」


「場所取りしてくれてサンキューな。こんなの頼めるのお前しか居なくってよ」


 ああ、そうか。俺、今まで面倒事を押し付けられてたのか。




 この日、タッセルをはじめネオ元祖転生前夜の全メンバー、あわせて17名がギルドに加入した。


 これによりギルドは名実ともに最大勢力となり、以降ホスディアがギルマスであることに異論を唱える者は現れていない。


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