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黒一
宗馬と女性は対面して座っていた
理由はわからないまま、そんな事になってる状況もわからないままである
宗馬は一度振り返ってみた
仕事から帰ったら遅くに女性が来た、それも珍しい和装の黒髪美人
恩返しに来ましたと言い目の前に居る
(いやいやわからん)
初対面の人であり恩返しされるような事もしていない
何度も考えたがそこに行き着くのである
「あのどこかでお会いしましたか?」
「はい」
「失礼ですが貴女にお会いした記憶が、いや名前も知らないし」
「黒一」
「え?」
「黒一と申します」
黒一…やはり覚えが無い
「やっぱりその黒一さん?は記憶に無いんですが」
「良いのです私が覚えている只それだけで」
また艶美な微笑みを見せる、それがどうにも体の強張りを弱めていく
なんて目をしてるんだろう本当に吸い込まれそうなのに強くこちらを見据えてくる
「警戒は重々承知しております、それでも私は恩返しをしに来たのです」
甘い香りが強まったような気がして思考が途切れる
彼女、黒一と名乗る女性は笑みを一層深くしていた




