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なんとか魔術師かーど〜しよう?  作者: 相生蒼尉
第3章 すでに最強だったの!?

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第33話 ボクたちはどう生きるか?



「土よ、土よ、集い、尖れ、一筋の矢となり、我が的を射よ、『アースアロー』」


 ナイスクマリーの詠唱が響き、魔法の土の矢が放たれる。

 それが土で作られた的に直撃して、的を破壊する。


 魔法学園の魔法演習場での訓練だ。


 そこにある的に当てるだけだから、簡単なんだろうと思う。

 実戦では、敵が動く。

 そのちがいを意識しなければならないはず。


 でも、ボク――シーアルドにはよく分からない。


 なぜなら……。


「……火よ、我が指先に、出でよ、『ファイア』」


 ……ボクが詠唱しても、何も起きないから。


 属性魔法を使えない魔術師見習いシーアルド。

 今日もひたすら属性ごとの詠唱だけを繰り返しております……。


「魔力循環も、魔力の切り離しも完ぺきですよ、シーアルドくん」

「……ありがとうございます」

「いつか、必ずできるようになると信じて、頑張りましょうね」


 ボクたちの先生であるイセリナ先生の微笑みに癒されるしかない。

 だってカワイイから! 年上なのに本当にカワイイから!


「水よ、集え、水よ、集え、集いて玉を成し、その圧で敵軍を裂け、『アクアボール』」


 ナイスクマリーに続いて、アリスティアお嬢さまの魔法の水球が放たれる。

 ナイスクマリーとはちがって、破裂した水球が3つの的をまとめて破壊する。


 アロー系の魔法よりも広範囲を破壊するボール系魔法だ。

 ナイスクマリーはまだ『アースボール』は使えないらしい。


 アリスティアお嬢さまは『アクアボール』だけでなく、もちろん『アクアアロー』も使える。

 それだけでなく、『ウィンドアロー』と『アースアロー』も使えるという天才的な魔術師見習いなのである。


 アリスティアお嬢さまのジョブは『水の魔術師』だけど、他の属性も操れるからすごいって話だ。


 ……ボクは実は全属性らしいんだけど、どの属性魔法も未だに使えない。悲しいことに。


「イセリナ先生。詠唱省略のコツとはいったいどのようなものなのでしょうか? なかなかうまくいかないのですけれど……」

「それはですね……」


 そんな天才的な魔術師見習いであるアリスティアお嬢さまはさらなる魔法の力を身に付けようと頑張っている。

 イセリナ先生も魔法の天才と呼ばれていたらしいから、とてもいい師弟関係だ。


 ナイスクマリーはまだボール系魔法に苦戦してるらしい。それで、今はとにかくアロー系魔法でひたすら魔法を使うようにしてるみたい。


 ボクだけが……。


「……水よ、我が指先に、出でよ、『アクア』」


 ……詠唱しても、何も起こせない。


 でも、こんなボクが『なんとか魔術師』として将来的には最強の魔術師になる、と考えられているわけで、そっちの方が問題だろうとボクは思う。


 ……実際には、いろいろと特殊な魔法は使えるんだけど。


 それをやってみせるわけにはいかないさまざまな事情がある。


 まあ、必要があれば……この前のスタンピードの時みたいにこっそり使うつもりだけど。


 ボクは『掃除の魔術師』だ。

 より正確に言えば、そういうことになっている。しかも、それは極秘扱い。


 もうわけがわからない。


 表向き、ボクはまだ魔法が使えないということになってる。

 いや、実際、ボクは属性魔法をひとつも使えないので、完全に嘘ってわけでもない。


 そんなボクも魔法学園の一員として、ダンジョン実習なんかには参加しないとダメなので……。


 明日から始まる2回目のダンジョン実習では、剣を持って騎士見習い的に参加することになってる。

 もう、どういうことなのかが理解不能だ。魔法学園なのに騎士見習い的って何?


 ちなみに、1回目のダンジョン実習でも同じだった。

 魔法が使えないから、ね。表向きは。


 ……その時に事件を起こしたのは絶対に内緒だけど。


 1回目のダンジョン実習は謎の魔物消滅事件が発生してやり直しになった。

 そして、やり直しになった1回目のダンジョン実習はすでに終了してる。


 今度の2回目のダンジョン実習は、2層でのゴブリン及びコボルトの狩りだ。

 そして……魔法学園、騎士学園以外の、学園都市のもうひとつの学園である、カンシドレー神学校の神官見習いや巫女見習いとのパーティー実習をすることになってる。


 ゴブリンやコボルトとの戦闘で怪我をすることが前提、らしい。


 ……前にひとりでダンジョンに入った時は問題なく倒せたんだけどな?


 そんなに強いって印象はゼロだった。

 でもまあ、一般に神聖魔法……属性的には光魔法と呼ばれる、回復系の魔法があれば安心してダンジョンに挑める。


 ……裏を読むと、ボクたちはこの国、カンシドレーのための戦力として育てられてるともいえそうなのが、ボクの気持ちを後ろ向きにさせてしまう。


 めんどうくさい。

 でも、めんどうくさいなんていってられない場面が、いつやってくるかはわからない。


 ボクが『なんとか魔術師』である限りは……なんて。


 魔術師見習いではなく、騎士見習いとしてダンジョン実習に参加する立場で、何の心配をしてるんだっていう話ではある。


 そういう意味では、苦笑するって感じで笑うしかない。


「……風よ、我が指先に、出でよ、『ウィンド』」


 ……だって、属性魔法がピクリとも反応しないんだから。


 ボクが実際に使える魔法を……いつ、どのタイミングで秘密ではないものとするのか。

 知らせるにしても、どこの誰まで教えていいのか。


 それも完全に……公開するのは怖いんだよな。


 隣国キイマカリーの『雷撃の魔術師』って前例があるから。

 あの人……サラマン・イスクの生き方なんて、絶対にマネしたくない。


 ……ボクはこの先、どう生きていくべきなんだろうか。


 そんな悩みで心の中をもやもやさせながら、ボクはひたすら訓練を続けるのだった。






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