0857・ニュース
「カンカン」
ファルが来たので食堂に夕食を食べに行く。
会話はあったが、特に大した事の無い内容しかなかった。
まあ、何かの重要な話など早々ないし聞いたりは出来ぬがな。
それはともかく夕食の終わった妾はソファーの部屋からマイルームへ。
そして3人をマイルームに戻したらログアウト、現実へと戻る。
夕食の用意を雑事を熟して待ち、珠の両親が帰ってきたら夕食作りを童女と開始。
作り終わったらさっさと食事を始めたのだが………
「御党の党員の方は随分と全国的に減っておられるとお聞きしますが……」
「ええ。我々もどうしていいか分かりません。
特に御高齢の方が多く、その方々が相次いでお亡くなりになっており、党の運営が難しくなるほどの状態に陥っております。
平和を守る為に、ぜひ我が党への寄付をお願いいたします」
「いや、貴方達に寄付したって平和に寄与しないじゃん。
更には赤い羽〇の共同募金だってあんたらに取られてんでしょ?
それじゃアカい羽〇の募金じゃないか。
そんな事までしてる人達に、なんで寄付なんかしなきゃなんないのさ」
「えー、そうなんですか?
私子供の頃に言われて色々と募金したけど、この人達の活動資金にされてたなんて、ヤダー!」
テレビ番組の中では次々に芸能人や芸人が邪悪な奴らを批判しておる。
少し前までは批判なんぞ出来んような雰囲気であったがな?
どうやら連中の力が弱まっておるからか、批判しても報復は受けずに済むようになったっぽいのう。
それだけ弱体化しておるようじゃが、妾はこの程度で止めるほど冷酷ではない。
じわじわ締め上げられ続けるのは辛かろう?
当然きっちりと止めを刺してやるから安心せいよ。
「確かに真綿で首を絞められ続ける方が厳しいですね。
それなら止めを刺された方がまだマシですか。
流石に生かさず殺さずで苦しめられ続けるよりは……」
「あえて大陸の工作を分かりやすいままにしておく為に、連中を弱らせたまま生かし続けるのも悪くは無いであろう。
しかしな、人間である以上は連中に取り込まれる恐れが無いではない。
ならば止めを刺しておくべきじゃ」
「そうですね。
あれらが生きていても何も得なんてありませんし、むしろ研修に来る若い子の中にも居たりするんですよ。
あの思想の子」
「え、学校にまで入り込んでるの?
いや、研修で若いって事は大学で?」
「若い頃に邪悪な思想に洗脳し、そして子供達の教育に邪悪な思想を反映させる。
教育や学習など洗脳と変わらん。
だからこそ最大限に気を付ける必要があるのだが、邪悪な連中なのだからして、当然それを利用するであろう。
それでも昨今はマシなのではないか?」
「ですね。
私の若い頃などVRの授業なんて無かったので、教師の思想をそのまま植えつけられるような教育でしたよ。
それに比べれば、VR授業に変わって連中の魔の手は減ったとも言えますね」
「そうね。
私も現役の教師とはいえ、確かに思い出してみると怪しい教育をしていた先生に心当たりがあるわ。
ああいうのは邪悪な思想の人達だったのでしょう」
「やーねー。
子供に特定の思想を植え付けるとか、完全に大陸の人間の発想じゃん。
関わりがあるし、連中と一緒って事ね」
童女がそう言いながらチャンネルを変えると、今度はその大陸のニュースがしておった。
「ごらん下さい。
未だに弾圧が酷く、人民の多くが町を見張っている兵士に暴力を受ける事件が多発しております。
かく言う私も取材中に何度か暴行を含めた取り締まりを受けており、金銭も奪われました」
「兵士という事は軍なのでしょうが、軍が治安維持のような事をしているのでしょうか? 警察ではなく?」
「はい。
軍は七つに分かれているのですが、それぞれの区を勝手に巡回して暴行や略奪を図っており、共産党中央本部の指示にすら従っておりません。
どうやら既に内部は崩壊しているのでは、と見られております」
「となると………これからどうなるのでしょう?」
「現在の中国は機能不全を起こしているような状況であり、軍が勝手な事をしている事から、更なる泥沼が予想されます。
既に多くの工場が停止した事により、更に失業者が溢れておりますし、その失業者の不満がいつ爆発するかは分かりません」
「そうなると、いずれは軍と民間人の衝突も考えられますか?」
「可能性は高いと思われます。
現在の混乱する情勢に介入しようとする勢力も多く、それが中国軍の矛先になるかもしれない。
そんな話も水面下では、まことしやかに流れています」
「その場合、最も可能性が高いのはどこでしょう?」
アナウンサーとやらが現場の者に聞いておるが、そんなものは分かり切っておるであろう。
あの大陸に介入しようというのだ、どちらかしかあるまい。
「北の白人連中か、南東の半島しかあるまい。他にあるとでも言う気か?
正しくは半島の北側じゃがな、南は北が邪魔で介入出来まい」
「あそこは卑屈なほど卑屈な癖に、相手が弱ったと見るや暴行、略奪、強姦、何でもアリな連中ですからね。
普段は奴隷と見紛うほど大陸には卑屈な癖に」
「まあ、長きに渡って奴隷だったのだからの、奴隷根性が染み付いておるのであろうよ。
長きに渡って隷属しておったという事は、奴隷文化の国なのだ。
これは見下しでも差別でもないぞ? そういう文化であり歴史の国なのだ。
それはどうしようもない事でもある」
「奴隷であったという事実の上に、その国の文化や伝統が出来ているからですね?」
「そうじゃ。隷属していた以上は、奴隷であったという事の方が先なのだ。
その上にしか伝統や文化など築かれぬ。
言うなれば奴隷の文化や伝統にしかならんのだ。
残念ながら善い悪いは別にして、そういうものだと認識せねばならん」
「奴隷であるという事が大前提か………それはそれでキッツいわねえ」
「そういう歴史なのだから仕方あるまい。
それが気に入らぬのであれば、祖先を怨むしかないの。
祖先が大陸の国に唯々諾々と従って半島に居た者達を殺し、そして新たな国を建国したのだ。
そもそもの始まりが半島を征服する為に集められた連中でしかない。
つまり始まりからして、大陸が上で半島の連中が下なのだ」
「あそこの歴史ですね。
半島を征服する為に集められた、大陸の北方の民族。
それが当時の半島にあった国々を倒し、そこに大陸の国が奴隷国家を建国させた。
それが今の半島の民族の始まり」
その割にはネットなどを見ておると、連中は自分達を高貴な出自だとか思うておるらしいのだからの。
笑うしかないわ。
大陸の為に集められた奴隷が祖先であろうにのう、歴史を誤魔化すのも実に半島の穢れた民族らしいわ。
己らの誇りなど何一つとして無い、だからこそ祖先すら簡単に偽るのだ。
ニュースを見ながらの食事も終えたが、そろそろ大陸は新たな王朝に向けての動きが本格化してきたかの?
ああやって滅んでは新しい王朝に変わる。それが大陸の歴史じゃ。
三千年にも渡って、そんな事を繰り返してきておる。
なんだか哀れに感じるが、残念ながら簡単に滅びるような国しか作れぬ己らを呪えばよい。
王朝が崩壊するとは国が変わるということ。
大陸の人間どもほど、その事を理解しておらぬ者は居ないのではなかろうかな?
王朝が変わるという事は、国がゼロからの出発になるという事よ。
日の本は今もって天皇を頂点とする国である事に変わりはない。
つまり王朝としては変わっておらんのだ。
この違いこそが大陸との決定的な違いとなる。
この意味は果てしなく大きいのじゃがの、国に対する忠義の無い大陸の者では分からぬのであろう。
連中は国よりも家族主義であり一族主義じゃからの。
長い歴史でそうなったとも言えるから、あやつらの国は簡単に壊れるのだ。
そもそも国に対する忠義が無い時点で蛮族なのだが………連中には理解できんか。
悲しき事ではあるが。




