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0855・楽になった三層目




 現実での昼食を終え、雑事を熟したらログイン。

 その後はソファーの部屋へと行き、皆と共に家の前へ。

 ユウヤとオウカを待つ間に仲間達を召喚し、2人が来たら深層三層目へと出発する。


 「強浄木と浄命石の武器か、そろそろ欲しいけど盾が先………じゃないな、盾の素材はまだ揃わなさそうだし。

 それに比べたら武器の方が早く出来るか」


 「何だかんだと言って、そなたらが正式に妾に注文してくる事が無かったからな。

 延び延びになってしまっておるのだ。

 ナツには十字架棒を渡したし、現代の巫女には小太刀を渡したが、それだけじゃからの」


 「確かに俺達の方には無いな。

 とはいえ俺は棍棒かメイスかしかないから、どっちでもいいんだけど……」


 「いつも通りじゃの。

 耐久なら棍棒、攻撃力ならメイスじゃ。

 そこまで大きくは変わらんが、違いはある。

 それとも他の武器を使ってみるかの?」


 「他の武器ねえ………俺は盾士だから、盾を持つのが前提なんだよなぁ。

 だから片手で扱える武器しか無理だし、威力も限度がある。

 片手で威力が高いとなると斧ぐらいだけど、斧は割と使い慣れないと厳しいし……」


 「斧より簡単なら剣? それとも大きな数珠を買って攻撃する?

 一応鈍器扱いみたいだし」


 「流石に使いにくくて仕方ない武器なんて使わねえよ。

 幾らなんでも、それは無い。

 それならまだ突くだけで済む槍の方がマシだ。

 もしくは俺も棒を持つか」


 「棒なら棍棒とそこまで違いは無いんじゃない?

 武器としての使い勝手も、そこまで変わらないでしょ。

 もしくは私みたいに鞭を使う?」


 「鞭かー………武器として考えた場合は悪くないんだけど、見た目が悪すぎる。

 巨人族の俺が鞭を振り回してもなぁ………」


 確かに壮絶に似合わんのう。

 巨人族が棍棒や斧ではなく鞭を振り回す。

 異様なほどに似合わんし、なんなら色々と間違えておる気分になってくるの。


 男で鞭が似合う者など、ほぼおらんじゃろ。

 珠の記憶の中にはあるが、アレらも別に似合っておる訳ではない。


 盗掘を行う考古学者とか、ヴァンパイアハンターとかじゃがな。

 アレらも似合っておるとまでは言い難い。

 単に鞭を武器として使っておるというだけよ。


 「まあ、それはね。

 アレらは単にそういう設定なだけだし、ヴァンパイアハンターに至ってはサブウエポンの方が基本的に強力だもの」


 「聖水の瓶を投げると炎が噴き出すしな。

 いつから聖水じゃなくて聖炎になったのかは知らないが」


 「いつからでもいい。

 アレのヴァンパイアハンターは色々とおかしいし、何故か集めて復活の手助けをしたりする」


 「懐かしの2かよ。

 そもそもヴァンパイアの肋骨で敵の攻撃を防ぐってなんなんだ? と言いたいわな。

 炎の鞭もアレが最初だし」


 「現実的に考えると、炎の鞭って誰も得をしないわよね。

 使い手は熱くて仕方ないし、鞭なんて叩いた瞬間にしか接近してないもの。

 そんな所が燃えていても……」


 「すぐに離れるから熱さは感じないだろうし、おそらく見た目の効果ぐらいしかない。

 聖水漬けの縄とかの方が、アンデッドに対しては威力が高いと思う。

 あと十字架はブーメランじゃない」


 「アレどうやってブーメランみたいに扱ってるのか気になるわよね。

 どうやって手元に戻してきてるのか不思議で仕方ないのよ。

 短剣と斧だけが普通?」


 「普通なのはそれぐらい?

 でもシリーズそれぞれによって変わるから微妙なところ。

 アレは細かい事を気にしなければ、単なるアクションゲームの範疇(はんちゅう)に収まるし」


 「ギャグ風味も多めだけどね。

 でも昔と違っておどろおどろしさは薄まってるかな。

 古い作品の方がホラー感を出してると思う」


 「そろそろ三層目だから緊張感を持つんじゃぞ。

 慣れてきておるとはいえ、一応は格上じゃからな」


 妾も珠の記憶がある故に分かるが、だからと言って下らぬ失敗をせぬ為にも緊張感はどこかに持っておる。

 いや、どちらかと言うと、完全には無くせんと言うべきか。

 かつての戦の事もあるし、どこかで完全に気を抜くという事が出来んのじゃろうの。


 それはともかくとして、聖浄塊の小太刀を持った妾は一人でうろうろする事を始める。

 童女達は童女達だけで組み、それ以外の者達が纏まって戦っておる。


 ファルとセスだけは聖浄塊のラウンドシールドを持っておるが、残りは違うからの。

 それがどう出るかというところか。


 アンデッドに対しては滅法強い盾となっておるはずじゃが、後で使用感を聞いておかねばならんな。

 キャスティもおるので、おそらくはちゃんとした話が聞けるであろう。

 改善点があれば今の内に聞き出しておきたいからの。


 狂死鬼が出て来たので相対するが、こやつは既に相手にもならぬ。

 瘴気で行動を鈍らせてくるが、聖浄塊の小太刀を持つ妾には効いておらん。

 そのうえバッサリと切り捨てれば、それだけで死ぬからの。

 アンデッドとて首を切り落とされれば死ぬのは助かるわ。


 ま、普通に考えれば、生きていても体をまともに動かせぬなら死亡判定を出しても変わらん。

 といった感じであろう。


 首から上が無くても動くが、そこがなければ体の動きを制御できんからのう。

 確認が出来んし、視覚、聴覚、嗅覚、味覚を失っておると考えればの。

 死亡判定も出すじゃろ。


 味覚はまだしも、それ以外を失うのは致命的じゃ。

 どう足掻いても戦いどころか、まともに体を動かす事すら難しくなる。

 なら、死んだという事にして問題あるまいよ。


 そんな下らない事を考えつつ動き、最速最短で首を落とす。

 憤死鬼には硬さを感じず、即殺鬼は鎌ごと切り裂いて終了。

 相手にもならなんだ。


 三層目は敵の数が多くないとはいえ、採取や伐採もせねばならんので暇ではない。

 アンデッドを倒しながらも動き、それなりの数のアンデッドを倒し続ける事が出来た。

 途中で十字架棒に変えたり、直槍に変えたりして戦ってもおったがな。


 直槍に関しては普通じゃ。当たり前だが可もなく不可もないシンプルな仕上がりよ。

 珠は何故か笹穂槍で切る事をしておったが、妾は普通に刀で斬るからのう………無理に槍で切る必要が無いんじゃよなぁ。


 なので妾の使い方はもっぱら叩くか突くかじゃ。

 そもそもじゃが、それこそが槍の使い方の基本であり、シンプルに使うてこそ意味があるものよ。


 槍は優秀な武器じゃ、優秀であるからこそつまらんとも言えるのだ。

 だから妾は好まぬ。


 薙刀もそうじゃが、昔の武士が使っておったのには正しく意味がある。

 当たり前じゃが戦争に勝つ工夫など誰でもするものよ。

 そしてその工夫の集大成の一つが槍であり薙刀なのだ。


 そして、それよりも遠くから撃てる弓であり鉄砲でもあるのだがの。


 だからこそつまらんが、スキルレベルの事を思えば四の五の言っていられん。

 刀だけが突出して高くなっておる可能性が高い以上、刀の頻度を減らさねばならんからな。


 まあ、槍でも切れぬ訳でもないし、最悪は直槍で切ればストレスも減るじゃろう。


 それはともかく出て来た即殺鬼と戦うのだが………敵の間合いの外より槍を首元に突き刺しつつ回転。

 抉って抜く。


 これだけではアンデッドは動いてくるので、鎌腕の根元の方に振り下ろして破壊。

 その後に首を薙いで終了となった。


 「やはり鎌腕を破壊して切った方が手っ取り早いのう。

 それもそれでどうなんじゃと思うが、最速最短で敵を倒す事は正しい故にな。

 否定は出来ぬ」


 槍は突きがメインじゃが、どうしても突きの範囲は狭いからの。

 生き物ならば急所を抉れば勝てるのだが、アンデッドにそれをやってものう……死んではくれぬ。

 首を穿とうと心の臓を穿とうとも死は無い。

 流石に首を刎ねれば死ぬので、やはり首を落とすのが一番手っ取り早い。


 「結局は首を刈る事になるんじゃが、もしくは頭を潰しても早いか。

 ならば鈍器であろうと斬撃武器であろうと変わらんの。

 その方法で倒してゆくか」


 方法が決まれば実戦を熟すのみよ。

 とはいえ後は戻るだけなのじゃがな。


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