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0848・最凶ダンジョンでの販売と聖浄塊の利用法




 皮のランクが低い所為で防具が新調できぬが、これに関してはどうしようも無い。

 特に強浄木や浄命石はレベル190のモンスターの素材であるが故に、レベル160のクリムゾントータスでは足りぬという結果にしかならん。

 これは仕方がないと言うしかない。


 妾は諦めてソファーの部屋に移動すると、そこには童女達が居て何やら話しておった。

 話に参加する前にラスティアとキャスティを呼び、それからソファーに座って話す。

 何を真剣に話しておるのやら……


 「なかなか大変なんだけど、結局はカン〇タを繰り返すのが一番手っ取り早いわね。

 っていうか、それしかないとも言えるんだけど。

 もしくはパイレ〇ツだけど、あいつら投げナイフを投げて来るからねえ。

 突っ込むのはいいけど、面倒臭いのよ」


 「分かる。

 カ〇ダタは投げてきたりしないから、あいつらの方が簡単だしポイントも一番高い。

 他に新しいのが追加されていない以上、今のところはカ〇ダタでポイントを稼ぐのが一番いい。

 4万ポイントはかなり高いけど、20回で終わるとも言える」


 「そなたらが何を真剣に話しておるのかと思ったら、最凶ダンジョンの特殊スキルの話か。

 しかし取得に4万ポイントも掛かるとはのう………高いと言わざるを得んの」


 「やっと来たのね。

 それはともかく、一番有用そうな【昏睡眠】が一番高いのよ。

 次に高いのが【感情】で、これが3万5千ポイント。

 で【爆力】が安くて3万ポイントと続いて、一番安いのが【羅刹】。

 こっちは2万ポイント」


 「アレは敵を倒し続ければ強くなるスキルだけど、そう簡単にモンスターを大量に倒し続けるのは無理。

 コンボが切れれば意味が無くなるし、そこまで有用なスキルじゃない」


 「確かにそうですね。

 強いモンスターになればなるほど簡単には倒せませんし、そうなると【羅刹】はあまり優秀なスキルとは言えません。

 ナミでさえ活かすのは難しいでしょうし、私達であればもっとです」


 「まさか【昏睡眠】が一番ポイントが掛かるとはのう。

 確かにあのスキルは優秀じゃし役に立っておる。

 が、4万ポイントとは随分と高く設定してあるものじゃ。

 今まで妾や珠が随分と利用してきた事も、ポイントの高さに現れておるのかもしれんな」


 実際に【爆力】は滅多に使わんし、【羅刹】など気にした事も無い。

 【感情】はどうなっておるのか不明じゃし、一番利用するのはどうしても【昏睡眠】なんじゃよなぁ。

 アレは便利なうえ、このゲームではMPを回復するアイテムに乏しい。


 まあ、魔力とやらが簡単に回復できるのは現実的ではない。

 と言われたら反論は難しいのじゃがな。

 現実には魔力なぞ無いし、神力の事を考えたら簡単に回復せんのはよう分かる。

 まあ、アレを持ち出して考えても意味は無いのじゃがな。


 それはともかくとして、回復アイテムはあっても、前にアマロが言っておった回復速度を上げる薬じゃ。

 そのような物が主体である為、どうしても時間が掛かる。

 そこに薬も必要なく回復を早めるスキルがあれば、誰しもが飛びつくのは当たり前か。


 妾は掲示板の書き込みを見ておるのじゃが、習得した者が早速苦しみを吐露しておる。

 珠も妾も特に問題など無いが、やはり拷問用スキルと言ってしまえるスキルではあるのであろう。

 「苦しい」や「キツい」、または「自分が無くなる」や「セルフ拷問」とかいった書き込みが大量じゃ。


 慣れればそこまででも無いし、実際には掲示板を読んだり出来るのじゃから、完全に前後不覚に陥るわけではない。

 本当の意味での拷問よりは緩い仕様になっておる。

 掲示板の者は気づいておらぬのかもしれぬし、書き込んでおいてやるか?


 ……そう思ったら、既に書き込まれておったのを発見した。

 となると騒いで遊んでおるだけか。

 それでも厳しい者にとっては厳しいのかもしれぬが、その内に慣れるであろうよ。

 アレもそこまででは無い故にな。


 「カンカン」


 ファルが来たので食堂に移動して昼食をとるのだが、珠の師が妾に話しかけてきた。


 「聖浄塊を使った武具は作ったか?」


 「うむ、数珠というアクセサリーと小太刀を作った。

 どちらにも【清浄】と【聖浄】が付いたが、アレが言っておったものかえ?」


 「そうじゃ。

 【清浄】、つまり清い方はあらゆる汚れなどを弾くものと考えればよい。

 そしてもう一つの【聖浄】、こちらはあらゆる不浄を弾くと考えればよい。

 もちろん量が多ければ突破されるが、かなりの瘴気や汚れを弾く事が出来る。

 つまり……」


 「汚れの方は分からぬが、アンデッドが纏っておる瘴気を無効化できるという事か?」


 「そういう事じゃ。

 もちろん武器であれば攻撃した箇所だけの無効化にしかならぬし、武器を近づけた時だけしか発揮されぬ。

 しかし瘴気で強くなっておるという事柄そのものを無効化できるという訳じゃ。

 だからこそ聖浄塊で作られた武器は、アンデッドに対して滅法強い」


 「それはそうじゃろうよ。

 アンデッドにとっては完全に天敵であろうからな」


 「まあのう。

 それと聖浄塊は必ず単一の素材でなければならんが、密度によって柔らかさを変える事が可能じゃ。

 柔らかい聖浄塊が欲しいなら【偏質融合】を上手く使え。

 そうすれば柔らかい聖浄塊が手に入る。

 同じ物であるが故に、組み合わせても問題ない」


 「左様か。

 情報はありがたく頂いておくが、今のところ柔らかい物は要らんのう。

 というか、皮と組み合わせねばならん防具類は全滅じゃ。

 柔らかい聖浄塊を皮代わりに使っても良いが、そうなると大量に必要になるぞ……」


 「ま、そこは仕方あるまいよ。

 それが駄目なら単一素材の盾じゃな。あれでも相当に違いは実感できるはずじゃ。

 対アンデッドでしか有効な盾ではないが、アレが無ければ深層四層目の突破はまず無理じゃからのう」


 「ほーう………」


 実は午後から皆に黙って四層目に行くつもりだったのじゃが……。

 ここでまさかの情報とは思わんかったものの、深層四層目では聖浄塊の盾が無いと厳しいのか。

 となると戻って聖浄塊を使い、盾を作るかの。


 ………いや、残っておる聖浄塊の量では厳しいか。

 流石にあの量では聖浄塊を使った盾は作れん。

 致し方ないのう、今日は深層三層目で狂死塊を集めるしかあるまいな。

 アマロには迷惑を掛けるが、浄化してもらわねば困る事になる。


 「アマロよ、すまぬが引き続き狂死塊の浄化を頼む。

 四層目を突破するのに聖浄塊が必要となれば、相当に頑張ってもらわねばならん」


 「構いませんよ。

 買い取っていただいたので結構な余裕が出来ましたし、その分だけ楽になりましたからね。

 あんなに高値で売れたのは初めてですから驚きましたよ」


 「妾はその分だけ削られたが、それでも数が少なかったので金銭は十分に残っておる。

 とにかく防具はともかくとして、盾は確定で作らねばならん。

 となると結構な量の聖浄塊が要るでな、なのでその分だけでも頼む。

 主要な盾のメンバーには持たせねばならん」


 「だね。

 私もそうだけど、聖浄塊の盾が無いと突破できないと言われれば、沢山のお金を使っても買うしかないもん」


 「盾が無いと突破できない。そして汚れと瘴気を弾く………もしかしてブレス?」


 「ほう、よう分かったのう。

 深層四層目のアンデッドは今までと違うのだ。

 あそこは澱みの場であるからな、穢れのブレスに呪いのブレスを吐いてくる。

 穢れを受ければ心身が苛まれ、呪いを受ければ肉が腐り落ちる。

 あそこはそれまでの<屍人の森>を鼻で笑う場所であり、中心への試練の場でもあるのだ」


 「「「「「………」」」」」


 ほう! どうやら妾にとってようやく面白そうな場になりそうじゃの。

 心身を苛み肉が腐り落ちるか………それでも黄泉の一角よりヌルいのう。

 ま、行ってみねば分からぬが、それなりには楽しめるであろうよ。


 もちろん準備をしてからじゃがな。


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