0847・久しぶりの運営ダンジョン
妾は久しぶりに運営ダンジョンに来ておるのだが、「なんだかな……」という感じしか受け取れなんだ。
「イィィィィィィヤァァァァァァ!!」
ドゴッ!
「ギュオァァァァァァ!!」
現在セナとクリムゾントータスの一騎打ちが行われておるのじゃが、セナが正しく一対一で戦えておるのだ。
正直に言って、今の妾達の装備であればそこまで苦戦せぬ相手でもある。
ハッキリ言えば弱いのだ。
いや、深層三層目に比べて歯応えが無いと言うべきか。
「そもそも深層二層目よりちょっとレベルが高いだけの相手とも言えますからね。
別のエリアのモンスターだと更に弱いのですが、ここ最近レベルが極めて高い相手としか戦ってません。
それを考えると、クリムゾントータスでさえ弱いとしか言えませんよ」
「私も新しい薙刀になったから、今までと比べて楽だしね。
今だに一刀両断は出来ないけど、火炎龍樹もそこまで苦労しなくなったもの。
セナも余裕でしょうね。
錫杖でボコってるのはリーチの問題と武器の問題かしら?」
「どちらかと言うとリーチの問題じゃろうな。
武器が良くても亀の首は長いし伸縮する。
トンファーやヌンチャクでは戦いにくかろうよ。
それでも上手く捌いて戦っておると言えるからのう。
あれならば十分と言える」
「それでも本人は納得していない感じですけどね?
なんなら甲羅をカチ割って倒したいというぐらいの勢いを感じます。
そんな事を言っていると、本当にやりかねないとも思いますが……」
「でぇぇぇぇやぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドゴン!!
「ギャオウ!?!?」
おっと、掬い上げるようにしてカチ上げたか。
アレは下からの攻撃じゃから、良く効いたであろうよ。
当たり前じゃが、下からの攻撃というのは想定していない事が多い。
基本は真っ直ぐ前からだからのう。
しかし大型のモンスターは下から攻撃される事が多い。
だが亀は地を這う生き物じゃからして、基本上からが多いのだ。
だからこそ下からの攻撃をあまり想定しておらぬ。
そのうえ先程のような掬い上げは、もっと想定しておるまい。
そこから喰らったのじゃから、驚いて止まるのは致し方がなく………
「タァァァァァァァァッ!!!」
ズドォ!!
「グォアァァァァァァァァァッ!!?!?」
錫杖のいわば石突の側を目に突き刺されたか。
あれは痛いであろうが、セナが容赦するわけが無いからのう。
そこは諦めるしかあるまいて。
しぶとければ、しぶといほどに苦しむ事となる。
HPが低ければ早う死ねるのであろうが、高いHPが災いをする、といったところじゃの。
とはいえセナの攻撃と、あの錫杖の威力が低いわけではない。
クリムゾントータスを一撃で倒そうともしない限りにおいて、HPが高い以上はどうしても長引くのは仕方がないのだ。
元々からして、そういうモンスターでもある。
だからこそ時間が掛かっておるわけじゃ。
妾は一撃でぶった切って始末するが、妾のやり方の方が例外なのであって、本来の戦い方は今のセナのような戦い方のはず。
他のプレイヤーとて似た戦い方をしておろう。
一意専心を行い、一撃で叩き斬る。
それもまた簡単な事では無い故にな。
「シャァァァァァァァァァッ!!!」
ドゴン!!!
おっと、全力の叩きつけが止めとなったのか、遂にクリムゾントータスが倒れたようじゃ。
セナもよう頑張ったの、一対一で勝てるとは思わなんだ。
それだけ努力してきたというべきか、それだけ一人での戦いが多かったというべきか。
セナは割と勝手に一人で戦っとったりするでな。
そういう事が積み重なっての今じゃから、何とも言えん部分が無い訳ではない。
それでも今は褒めるべきであるがな。
「ようやったの。
一人で倒せるとは思わなんだが、我慢するべきところは我慢してよう戦った」
「おめでとう、と言いたいところだけど、ますます一人での戦いをしそうねえ。
まあ、個人があっての連携ではあるんだけどさ」
「セナの場合は独断専行の部分が無い訳ではないのが、何とも言い辛い部分なんですよね。
ですが連携が出来ない訳ではないので、気質的な問題に留まっているのでしょうが」
「深層三層目より弱い。
なら、そろそろ一人で勝てないと駄目」
「言いたい事は分からんではないが、それでもセナよりはレベルが随分と上なんじゃがな?
妾がそれを言うのも変ではあるのだが、とはいえ未だ格上というレベルだという事は忘れぬようにの」
そもそも格上を単独でブチ殺す。
確かに妾がどうこうと言える事ではないのだが、それでも普通はあまりやらぬ事よ。
妾とて勝算も無くやっておる訳では無いし、己の出来る事を考えれば勝てるからやっておるだけじゃ。
普通のゲームであればセナのようにダメージを積み重ねて勝つしかないが、このゲームは首を落とせば始末できるでな。
ならばそちらを狙えばよいだけとなる。
そして斬るのは割と得意なのじゃよ。
<好きこそ物の上手なれ>とも言うしな。
セナを皆で褒めた後はバラバラになって狩りを行う。
妾は一人でも乱獲出来るので問題なし。
ラスティアはキャスティと共に、セナは一人で。
そして他の仲間は固まって連携を行い、どんどんと狩っていく。
この中で一番遅いのがセナじゃが、好きにさせてよかろう。
先程もそうだが目を突いたりなどの急所攻撃も織り交ぜておった。
ああいう工夫が出来るようになって、ようやっと一人前に近づく。
戦いとは簡単なものではない故に、なかなか上達はせぬものよ。
それでも努力無くば先は無し。
それが世の中の大多数の現実でもある。
…
……
………
「よーし、そろそろ帰るぞ。
クリムゾントータスの皮も集まったしの。
火炎龍樹も多少は倒してしまったが、今は強浄木があるので必要ではない。
適当に売りに出すのが一番良いであろう」
「じゃあ、さっさと帰りましょうか。
亀を倒すのも飽きたし、切れるから簡単なのよね」
「私の方もそこまで、といったところです。
ブレスを防げる盾ではありませんが、そこまで防がずとも勝てますからね。
武器が良いので」
皆も集まったので、妾達はゾロゾロと連れ立って歩く。
適当に戻れば済むので、そこまで面倒な場所でもない。
ささっと戻った妾は火炎龍樹の品質を10まで上げると、プレイヤーマーケットに適当に流す。
クリムゾントータスの皮と甲羅の品質も10にし、甲羅の方はプレイヤーマーケットに流した。
聖浄塊を買った事で結構な金銭を使ったでな、できれば売れてほしいところ。
おそらくは未だにレベル高めの素材であるし、品質が10なら買うと思うのだがの。
とりあえずソファーの部屋でファルを呼び出し、昼の手伝いをさせねば。
妾はソファーの部屋へと移動し、昼の手伝いを呼び出したファルに頼むと、再びマイルームに戻って錬金部屋へと行く。
今からなら一つくらいは防具が作れるじゃろう。
まずは………鎧から実験をしてみるか。
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<鎧> 深紅亀の皮と浄命石のスケイルアーマー 品質:10 レア度:7 耐久1720
クリムゾントータスの皮を下地に浄命石を鱗状に貼り付けた鎧。
クリムゾントータスの皮のランクが低い為、浄命石の効果が十全に発揮されていない。
もっとランクの高い良い皮で作ろう
防御力48(闘気強化時53) 魔法防御力48(闘気強化時53) 瘴気属性耐性12 瘴気攻撃耐性12 常時浄化9 生命浸透
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ぬぅ………やはりクリムゾントータスの皮では駄目か。
聖浄塊に関してはスケイルアーマーの素材としては使えん。
あれは単一の素材で作らねばならんからな。
出来たとしても西洋のブレストプレートとバックプレートなどの単一素材で作れる鎧しかない。
それをわざわざ聖浄塊で作るのかと考えると………無いの。
日の本の鎧も可能じゃが、胴丸を始め小札鎧は作るのが面倒で仕方ない。
なので作る気にはならん。
それなら西洋の鎧の方がまだ簡単じゃ。
もちろん素材の無駄遣いなので作らんがな。
しかし、これでは駄目じゃな。
防具は見送るしかあるまい。
盾だけはよいが、他は皮を使うのでどうにもならん。




