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0837・深層三層目の素材集め




 「ぬっ? ……なるほど、持っておればこういう事になるのか」


 妾は浄命石の直刀を持っておるが、その直刀が狂死鬼が出しておる瘴気を弾いておる。

 もちろん全てを弾いておるわけではないのだが、多少の邪魔を感じる程度で済んでおるの。

 防具に浄命石が使われておれば、おそらくもっと瘴気での邪魔は無くなるであろう。


 そういう意味でも浄命石の直刀を持っておる価値はあるのう。

 それに……


 「シャッ!!」


 右下から振り上げる形で斬ったが、清浄塊の刀よりも余程に楽であった。

 攻撃力も然る事ながら、やはり大きいのは【アンデッド特攻】であろうな。

 浄命石製であっても倒すのが楽になるのは間違いない。

 これ以上の聖浄塊とはどういう物になるのであろうな?


 そんな事を思いつつも、足を斬られてバランスを崩して倒れた狂死鬼に追撃をかける。

 と言っても倒れてから起き上がろうとする狂死鬼の首を刎ねただけじゃ。

 それであっさりと終わりであるが、【常時浄化】の効果も十分にある感じがするのう。


 何がと具体的に言えるわけではないが、何というか刃が斬っておるというか、裂いておるという感じであろうか?

 斬るのを後押ししておる感じじゃ。

 これはこれで悪くないのだが、コレに慣れるのはあまり宜しくない。

 そのような気分になってくるのう。


 それはともかくとして、童女達は大丈夫であろうかな?

 昨日と装備が変わっておらんので苦しいと思うが、頑張ってほしいところじゃ。


 あれらも苦しい戦いを超えねば上達せんし、何よりも連携は深まらん。

 妾のように一対一で何とか致せとは言わぬが、6人もおるんじゃから戦えるようにならねばな。


 妾は次なる敵を探して三層目をうろつき始めた。


 …

 ……

 ………


 なかなかどうして敵もおるし、木も伐らねばならん。

 採取する素材もあるしで暇にはならんの。


 そう思いながら、現れた憤死鬼の腕を斬り落とす。

 【アンデッド特攻】と【常時浄化】の御蔭か、昨日よりも抵抗なくスムーズに斬り飛ばせた。

 やはり瘴気の力か何かで硬くなっておるな。


 純粋に硬いだけならば、昨日と同じ硬さかほぼ変わらんはずじゃ。

 それがここまで違うんじゃから、瘴気由来の硬さであったのは間違いあるまい。


 それでも楽になった分だけ妾の敵では無いのう。

 それはそれで、という気持ちも出て来たな。

 良うない事じゃ。


 どうにも武器が良くなるほどに惰性で戦いをしてしまう。

 楽になればなるだけつまらんのだから仕方ないのだが、強かっただけに納得がいかぬ感じか。

 とはいえいつも思うように、妾の満足するレベルだと他の者にとって地獄じゃからな。

 流石にどうにもならん。


 その厳しさを要求するわけにもいかぬのだ。

 あくまでもゲームは娯楽であり、地獄を見せる物では無い故にな。

 残念ではあるが、仕方のない事よ。


 「いかん、いかん。

 昨日よりも楽なので、どうにも思考の海に入り込むのう。

 適当な思考をしておっても勝ててしまうのが良うないのだが、それでも勝てるだけになぁ……」


 そう思っておったら、近くから童女達の声が聞こえた。

 どうやら上手く連携して戦っておるようで、一番前のユウヤが盾で流したらしい。

 そういえば盾が厳しいんじゃったの。

 戻ったらタワーシールドを作ってやらねばならんか。


 仲間達のアクセサリーを作ろうかと思っておったのだが、それは聖浄塊で作った方が良いかの?

 浄命石で作ると二度手間になる可能性もあるし、すぐに取り換えるのも、なんだか勿体ない気がしてくる。

 とはいえ交換した物は売れば済むのだがな。


 そういう意味では無駄にならぬし、難しいところか。

 今の内に作っておいた方が楽になるのだが、仲間達も戦えておる感じじゃしな。

 そこまで次々に装備を変えぬでもいいかもしれぬ。

 とはいえ仲間達の意見も聞いてみねばならぬか。


 「ぬんっ!!」


 即殺鬼の鎌を斬り飛ばし、返す刀で足を斬る。

 倒れてハイハイに移行しようとしたが、一度見ておれば対処は容易い。

 即殺鬼がハイハイに移行した瞬間、首を刎ねて始末し戦闘は終わりとなった。


 「うむ。この直刀であれば十分に戦闘が楽になっておる。

 それだけ素材は手に入っておるのだが、帰ったら狂死塊の品質を10にしてアマロに売るか。

 その前に妾が買い取って、皆の狂死塊の品質を10にしてしまわねばな」


 即殺鬼を倒した妾はうろうろしつつ、そんな独り言を口に出す。

 やるべき事を口に出すのは悪い事ではない。


 とはいえ覚えておらずに忘れる事などようあること。

 重要ではないだけに覚えておるかは分からんのだ。

 大事な事とまでは言えんのでな。


 …

 ……

 ………


 帰る時間になったので童女達に声を掛けるも、既に疲れ切っておるようであった。

 どうやら緊張感のある戦闘を続けた所為であるようだが、この程度で疲労しておっては戦には出られんぞ。


 「そもそも現代で戦は……って思ったけど、紛争含めて無いわけじゃないのが何とも言えないな。

 実際に起きている以上は、日本が戦争に巻き込まれる可能性もゼロじゃない」


 「巻き込まれるというか、大陸が攻めて来る可能性がゼロじゃない。

 あそこは日本に対して言ってくるけど、歴史を振り返れば向こうからも攻めてきている。

 決して日本からだけじゃない」


 「あの国は自分達に都合の悪い事は、常に聞こえないフリをし続けますからね。

 ですから、何を言っても無駄です。

 古き時より日本を見下し続けてきた国ですもの。

 言うなれば3000年を超えるレイシスト国家ですからね。

 正しくはレイシスト大陸ですけど」


 「王朝が変わっても、差別心はこれっぽっちも変わらないからだね。

 あの大陸の仁・義・礼・智・信っていうのが、とても怪しいものだって事が良く分かるよ。

 最高徳目の仁はともかくとして、義も礼も智も信も無いでしょうに」


 「自分達にはあるんでしょうね。

 そういう時には屁理屈をこねても在ると主張するのが、あの大陸の国である民族です。

 あの国には少数民族も多いですけど、全てまとめて大陸族でいいと思うんですけどね?

 だってレイシストである事に変わりはないですし」


 「あそこはそういう思想だからな、どうにもならないだろ。

 とにかく四方八方を見下して悦に入る、そういう存在が10億以上いる国だ。

 あそこに深入りしている企業もあるけど、バカなだけでしかない。

 蛮族相手に先進国ルールが通用するはずがないんだしな」


 「散々な言われようだが、そなたらの言っておる事も間違っておらんでなぁ。

 あそこはいつでも蛮族が生まれる土地であるが故に、止めようが無いんじゃよ。

 そういう思想で文化な国しか生まれんのだ」


 悲しき事なれど、あの土地に住まう者どもが悪いのだ。

 頂点にある者の好き勝手を認めてしまっておるからの。

 そういう歴史であった以上、その後の者どもが同じ事をやっても咎め辛いのじゃよ。

 どうしてもな。


 「始皇帝から始まる歴史によって、頂点にある者が好き勝手してきた土地。それがあの大陸じゃ。

 それ故に、あの大陸に生きる大半の者は、上の理不尽を恨みながら従う家畜に成り下がっておる。

 そういう歴史の国なだけに、どうしようもないのが正しきところよ」


 「国民が家畜に成り下がる国っていうのも凄いわね?

 稀人の居る所って、どうなっているのかしら?」


 「そなたらには分からぬであろうが、大きな事を成した国があれば、その後に出来た国もその影響を受けるのじゃよ。

 どうしてもな」


 「その後に出来ているのにですか?」


 「その後に別の国になっても、国民は変わっておらん。

 つまり前の王朝から国民を引き継ぐという事じゃの。

 それらが連綿と続いていってしまうのだ。

 それが悲しき事の正体となる」


 「あの時の国は素晴らしかった。

 昔の国は………って言われ続けるんでしょうね。

 で、そこから目を逸らさせる為に、周囲の国を見下し悪し様に(ののし)らせる事で国民の留飲を下げる。

 いわゆるところのガス抜きってとこ」


 「<民にはパンとサーカスを与えよ>じゃないけど、<国民には見下す対象を与えよ>って感じだね。

 それで上手くいく事なんて無いんだけどさ」


 「仕方あるまい。

 大陸の国の国民は、ある意味でエリートじゃ。

 飼い慣らされた、家畜のエリート」


 「「「「「「………」」」」」」


 それが事実だからこそ、あの国は救い様が無いのだ。

 次に出来る王朝国家も同じ末路じゃよ。

 それは決まっておるのだ。


 何より家畜のエリートがそう決めておる。

 なぜなら次なる王も家畜のエリートから生まれるのだからのう。


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