0836・浄化力強化の武器種とは?
昼食後は雑事と後片付けを終えたら部屋へと戻る。
そしてゲームにログイン。
今度は午後からのレベル上げじゃな。
ソファーの部屋へと移動した妾は家の外へと出ると、今日はドースの代わりにフィーゴを召喚する。
もちろん進化させる為にじゃが、どうするかのう?
誰に憑依させるかは悩みどころじゃ。
仲間達ならセナが一番良い。
突っ込んだところでフィーゴが【浄化魔法】を使うという形じゃから、敵に与えられるダメージも大きくなる。
もちろん妾でも同じじゃ。
敵を斬りやすうなるのも事実じゃからの。
とはいえ妾に憑依は邪道という思いもない訳ではない。
この場合は妾が邪道な事をするというのではなく、それで敵を斬っても己の実力で斬ったわけではない。
という意味での邪道じゃ。
己の力で斬らねば意味は無いでのう。
やはり邪道という思いは消えぬから、セナに憑依させるか。
妾はそう決めセナに憑依させると、そのタイミングで丁度ユウヤとオウカがやってきた。
なので妾達は深層三層目へと出発する。
あそこの素材は良い悪いの別なく、多めに入手しておく必要がある。
「その直刀の性能を考えると、狂死塊の方じゃなくても必要な可能性が高いしなぁ。
性能的に劣っている方でも十分って可能性はあるし、それに木も優秀だった以上伐りに行かなきゃなんねーし。
結局は色んな意味で行くしかないんだよなぁ」
「敵のレベルが高過ぎて逆に効率が悪い。
でも装備は極めて良いのが出来る。
全部まとめると、レベル190台の敵と戦うしかない。
レベルというより素材の為」
「その直刀の性能を見ると、狂死塊の方はそれ以上なんでしょうし………
値段がアレだけど、それでも買って装備するしかないのよね。
そういえばユウヤの盾って大丈夫なの?
あそこまでの敵だと削られてない?」
「すっげー耐久削られてる。
もちろん今すぐってほど削られてるわけじゃないけど、明らかに今までとは比較にならないほど削られてるのは間違いない。
正直に言って、盾は早めに三層目の素材のに交換したいぐらいだ」
ユウヤの場合は盾さえ良ければ、攻撃は味方に任せて良いからの。
耐えたり流す為の盾が大きく削られると厳しいであろうが、逆を言えば盾が削られぬならば耐えられるのが盾士なのじゃろうの。
キャスティの盾も早めに変える必要があるか。
「そうですね。
それなりには削られるので、早めに替えてもらえると助かります。
昨日とは違い、今日は長く三層目に居られるでしょうから、そこそこの数が集まるのではないですかね?
それでも一戦一戦に時間が掛かるので、そこそこの数にしかならないでしょうが」
「そうねえ。
私の方もそれなりには戦えるけど、三層目だともう特攻武器が無いと大変よ。
セナの特攻武器が羨ましいぐらい」
「「「「「えっ?」」」」」
どうやら錫杖に気づいておらなんだようじゃの。
あれだけ「シャラシャラ」鳴っておるというのに、全く気付かぬというのも面白い話よ。
人というのは聞いているようで聞いておらぬという証であろうな。
だからこそテツオはよう気づいたとも言えるのだが……。
「錫杖? しかも【浄化力強化】なんてのが付いてる。
となると浄化とか綺麗なイメージのある物は、もしかしたら【浄化力強化】なんてのが付くのかも。
錫杖の他に無いの?」
「あるぞ、杵もそうじゃの。
あれも祓うという意味を持つ物であるが故に、おそらく【浄化力強化】が付くのではないか?
ただし両手でないと扱えんじゃろうがな。
それに重量バランスが宜しくないからのう。扱いにくいぞ?」
「杵かぁ………あれは片手でまともに扱えるような物じゃないから俺は無理だな。
他にそれっぽい物って、なかったっけ?」
「あったような無かったような……。
巨大な十字架でも作ったら【浄化力強化】が付くんじゃない?
巨大って言っても、手で持って振り回せる位のヤツだけど」
「それも確かに付きそうだね、使えるかどうかは知らないけど。
他には巨大な数珠とかかな?
あとはお坊さんが持ってる、こんな形のヤツじゃない?」
ナツが身振り手振りで伝えようとしておるが、どう見てもヴァジュラにしか見えんのう。
割と知られた物なのかの?
ゲームをしとった童女達なら分からなくもないが、ナツまで知っておるとはな。
「それはヴァジュラじゃな。
独鈷杵や金剛杵などが主に知られておる物であり妾も思いついたのだが、アレ元々インドラの持ち物なのじゃよ。
妾が作るとインドラが文句を言ってくるかもしれぬでな、何とも言えん」
「神様はともかく、金剛杵って本物は武器に使えないだろ。
あれって確か三鈷剣でもなければ、刃としてさえ使えないものばっかじゃん。
しかも短すぎて殴らなけりゃいけないレベルだし。
それなら俺も錫杖を持った方がマシだわ」
「まあ、気持ちは分かるのう。
ヴァジュラの形状ではとても武器には使えぬからなぁ。
何故かインドラはあれを使ってヴリトラを粉砕したらしいが………」
「粉砕って………メッチャ殴ってるじゃん。
ヴリトラって蛇の姿の悪神かなんかだろ?
しかも幾らでも甦るとかいう神様じゃなかったか?
粉砕って、完全に殴られてるじゃんか」
「ちなみに神話におけるヴァジュラは、聖人であるダディーチャの骨で作られておる。
つまり神が人間というか、聖仙の骨で作られた武器を持って使ったという事じゃの」
「せいせん?」
「聖なる仙人なので聖仙じゃ。
ブラフマー、日の本では梵天と言われておるが、コヤツが相談に来たインドラにダディーチャの骨でヴァジュラを作れと言うのじゃよ。
そしてダディーチャは身を犠牲にし、その骨をトヴァシュトリがヴァジュラにするのだ。
ちなみにインドラとは、日の本で帝釈天と呼ばれておるの」
「帝釈天って、葛飾柴又のアレか」
「実際には古くから帝釈天を祀る寺はあるのじゃが………」
「何かあるの?」
「いわゆるところのバラモン教では最高神なのじゃよ、インドラは。
ところが仏教に取り入れられ、仏教では天部に属する帝釈天となっておる。
しかしバラモン教の時と違って地位が低いのだ。
ヒンドゥー教に至っては、最高位の三神はヴィシュヌ、シヴァ、ブラフマーじゃからの」
「帝釈天の扱いが悪いって事か………なんかあったのかね?」
「さあのう。向こうのには妾もあまり詳しくないでな。
世代交代か何かではないか? そもそもインドラは雷神じゃからの。
ほれ、西洋の神話にも雷神を頂点に崇めとるのがあるじゃろ。
ギリシアとかいうところのヤツじゃ」
「ゼウスか………。
古い時代じゃ雷神をトップにするのはよくある事なのかもな。
超常現象みたいに見えたのかもしれないし、それを崇めたって仕方ないとは思えるな。
っと、ようやく三層目か」
「そろそろ雑談も止めて気合入れないとね。
二層目まで気を抜けるようになってるのは笑うけど」
言いたい事は分かるが、二層目だとまだ事故が起きる可能性はあるのだがの。
もう少し緊張感を持てと言いたくなるわ。
妾が言わずとも分かっておるであろうがな。
それはともかく、早速分かれてアンデッドを狩るか。
ついでに木も伐らねばならんからのう。
妾は皆にそう言って一人で離れていく。
既に昨日とは違い直刀も持っておる故に、昨日よりは楽に勝てるであろう。
剣は扱えぬからアレじゃが、三鈷剣を作って片方の中央の刃だけ剣のように伸ばしても良いな。
そんな下らぬ事を考えていた妾の前に、早速とばかりに狂死鬼が現れた。
とはいえコヤツはこちらの行動を阻害してくるだけ。
それ以外に大した強さなど持っておらぬ。
ここで厄介なのはむしろ憤死鬼よ。
あやつだけが硬いからの。
さぁて、この直刀がどれほどの切れ味をしておるか楽しみな部分もあるでな。
斬らせてもらうとするかのう。
試し斬りの相手としては少し不足しておるがの。




