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0828・即殺鬼との戦い




 「そなたらの方はどうであった?

 連携の練習になったか?」


 「それどころじゃなかったな。

 正直に言って攻撃の威力が高くて、相当に厳しかった。

 そもそもレベル190台なんて、ここが初めてなんだから当然なんだが………」


 「そうね。正直に言って、連携を気にしている余裕は無かったって感じかしら。

 あと憤死鬼ってビックリするぐらい硬くなかった?

 異様に攻撃が効きづらいっていうか、ダメージが当たってない感じがしたんだけど」


 「それは間違いありません。私の矛も刺せないし切れませんでした。

 どちらかというと殴ってダメージを与えている感じでしょうか?

 とにかく防御が硬い敵でしたね」


 「私の薙刀も同様でした。

 ナミほどの腕があるならスパッと切れるのかもしれませんが、正直に申して殴るような使い方しか出来ませんでしたね。

 習った者として恥ずかしい限りですが……」


 「それは仕方ないと思うぞ?

 特攻武器で戦った妾でさえ硬いと思うたぐらいだからの。

 おそらくは憤死鬼がそういうアンデッドなんじゃろう。

 もしかしたらレベルが高いから、という可能性もあるがな。

 とはいえ今までにそういった事は無かったはずじゃ」


 「となると憤死鬼が特別に硬いか……。

 ま、次に出て来たアンデッドで大凡(おおよそ)分かるだろう。

 本当にレベルだけなのかどうかが」


 妾達はユウヤの一言で会話を止め、敵を探して移動を開始。

 そしてすぐに新たな敵を発見した。


 ―――――――――――――――


 <即殺鬼> アンデッド Lv199


 怨みと憎しみが凝縮して生まれたアンデッド。

 生ある者を見つけると即座に殺しに来る事から、その名が付いた。

 危険なのは上腕なので注意しよう。極めて鋭利な刃だ


 ―――――――――――――――


 「上腕が危険と言われてものう………アレどう見てもカマキリではないか?

 下の二腕は人間と同じ癖に、けったいなヤツじゃのう」


 「そんな事言ってる場合か?

 あの鎌、間違いなくこっちをスッパリ切る為の物だぜ?」


 「ユウヤも含めた盾は前。そうじゃないと鎌腕を防げない。

 どこまでの切れ味かは知らないけど、相手がレベル199なのは忘れちゃ駄目」


 「ほぼレベル200って、真面目に戦わないと殺されるわね。

 【浄化魔法】持ちは【浄化魔法】で援護して。

 っていうか、後ろからまた1体来てるんだけど!?」


 「そっちは妾が行く。そなたらは連携しながら倒せ。

 せっかく強いアンデッドが出てきておるのだ。

 少しぐらい練習に使わんと上達せんぞ」


 「その余裕があったらな!」


 どうやらユウヤも余裕無しのようじゃのう、嘆かわしい。

 危機の時ほど冷静に、それが戦いの基本の一つじゃぞ。

 危機の時に焦ったり混乱したりするから負けるのだ。

 戦いには苦しき時もあるものよ。しかし決して焦ってはならぬ。


 地に足を付け、落ち着いて対処せねば、勝てる戦いにも負けてしまうわ。

 あやつら色々なゲームをしてきてるはずじゃからして、分かっておらねばおかしいのじゃがな。

 惰性でやってきたか?


 っと、そんな事を考えておる場合ではなかったな。

 妾こそ真面目に戦うか。


 今回の相手はカマキリの腕を二本持っておる人型だ。

 あのカマキリの腕だけが不自然じゃが、それ以外はようおるゾンビ型でしかないの。

 カマキリの鎌はなかなかに速いのが特徴。

 とはいえ戦い様など幾らでもある。


 妾は清浄塊の刀を正眼に構えてにじり寄っていく。

 おそらく憤死鬼とさほどの違いはあるまいが、問題はカマキリの鎌腕を切り飛ばせるかどうかじゃ。

 人間の腕よりも遥かに硬そうじゃからの。

 おまけに大きさが人間サイズときておる。


 (いささ)か大きいと言わざるを得んが、それでも大きすぎるというほどでもない。

 にじり寄りつつ色々と考えておると、相手はいきなり前に飛びつつ鎌を振ってきた。

 これは捕まえるという形ではなく、薙ぎ払う感じじゃの。


 妾は素早く左に飛んで、相手の鎌の外側へと離脱する。

 それにしても鎌を広げて薙いできたので、思っておる以上に長く感じるわ。

 刀ではなく薙刀をイメージした方がよいの。

 思っておる以上にリーチが長いわ。


 妾はバックステップで距離をとり、再びにじり寄りながら考える。

 あの鎌で攻撃してくるのは確実。

 むしろアレこそが敵のメイン武器じゃ。


 となると、アレを残しておいた方が良さ気な感じじゃのう。

 その方が行動を誘導しやすそうじゃ。

 となると狙うは……


 再び一足飛びで前に飛んだ即殺鬼は、鎌を振り上げて薙いできた。

 カマキリの鎌なだけに、使い方が限られてしまうのが玉に(きず)じゃのう。


 妾は再び左にかわし、そして今回は攻撃を繰り出す。

 といっても飛ぶ前に正眼から脇構えに移行しておったので、やった事は相手の足を斬る事じゃ。

 それは上手く入りて切り裂いた。


 とはいえ鎌の事があったので踏み込みが浅かったようじゃ。

 我ながら情けない。


 一旦バックステップで距離をとるものの、脇構えのまま再びにじり寄る。

 鎌が薙刀の長さじゃが、近づけば普通の腕で攻撃してきよる。

 二種類のリーチを同時に持っておるでな、思っている以上に踏み込めなんだ。

 それこそが情けない理由じゃがの。


 いつだって戦いというのは死地に踏み込まねばならんのだ。

 勇なき者は死するのみ。それもまた戦いの基本の一つよ。

 リーチの長い武器を持っていて有利でも、死地に相手が踏み込んでくれば逆に殺される事もあるのだ。

 故に踏み込まねばならんのだが、普通の腕を警戒するあまりに踏み込めなんだ。


 それが情けないのであり、勇なき者のようであったわ。

 無様な己に溜息が出そうじゃ。


 それはともかくとして、今度は確実に斬り飛ばさねばな。

 先程斬った足も、最早くっついたようじゃし、やはり高位アンデッドだけあって修復が早いわ。


 妾は再び即殺鬼ににじり寄ると、相手は三度目も前に飛びながら鎌を振るってきた。

 こやつコレしか知らんのか?

 厄介な攻撃ではあるが、妾に二度もかわされておるのだがな。


 妾は再び左にかわし、相手の鎌の外側に出ると踏み込む。

 今度は十分に踏み込んだ上で相手の膝上を斬る。


 「シャッ!!!」


 斬撃を放つとすぐにバックステップで離れる。

 すると相手の右足を綺麗に斬れたのか、即殺鬼のバランスが崩れて地面に倒れた。

 どうやら上手くいったようじゃな。

 後は首を刎ねて終いよ。


 そう思ったのだが、二本の普通の腕を使って赤ん坊のようにハイハイしながら鎌で攻めて来た。

 流石にこれは予想外であったので後ろに跳んだのだが、即殺鬼はハイハイのまま追いかけて来る。

 もしかしたら今の方が厄介かもしれんぞ。


 妾は後ろに跳びながら突っ込んでくる即殺鬼の鎌を見極め、そして振られた鎌と鎌腕の間の関節部分を斬る。


 「カッ!!」


 一瞬の気合を込めて繰り出した斬撃は関節を斬り飛ばし、ようやく右の鎌を使用不能にしてやった。

 流石にハイハイで突撃してくるとはいえ、攻撃の瞬間には止まるでな。

 そこを狙えば斬り飛ばせるというものよ。


 そして離れた妾は再び敵の突撃を待つ。

 それしか出来ないかのようにハイハイで突っ込んでくる即殺鬼じゃが、妾は残る一本の鎌の外側へと回避。

 そして無防備に晒されておる首に刀を振り下ろして刎ねた。


 その一撃で首が飛んだ即殺鬼は死亡扱いになったのか消えていく。

 が、思っておったよりも手こずったの。

 やはりカマキリの鎌は厄介であったわ。


 「お疲れー。

 こっちはそこまで苦労しなかったけど、ナミは一人だから手こずってたわね」


 「仕方ない。

 ハイハイ突撃は流石に予想出来てなかったはず」


 「だよね? あんなの反則だよ。

 ハイハイしてくるのは横に置いても、その状態でカマキリの腕を振ってくるんだもん。

 あんなのどうにもならないよ。普通は」


 まるで妾が普通ではないと言いたげじゃのう。

 神の中では普通なのじゃがの?


 聞かれれば抗議の一つもしてきそうな奴らはおるが……


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