0826・屍人の森 深層三層目
妾としては適当に武器を振り回しながら戦う。
それでも本当に適当というわけではなく、人間からしたら達人程度の動きはしている。
妾からしたら、その程度では完全な手抜きだがな。
それはともかくとしてレベル上げはしっかりとやっておる。
ここ<屍人の森>深層二層目が、今のところ一番経験値が多いと思われる場所。
おそらく奥に行けば、もう一段強いアンデッドが出て来るであろう。
しかし三層目の強さがどれほどか分からぬ為、迂闊に進んでよいかの判断がつかぬ。
妾としては一度行ってみても良いかと思うておるのだが、その一度で死亡というのも迷惑をかけるだけじゃからな。
判断に迷うところでもある。特攻武器も耐性付きの盾もあるのだ。
だからこそ行っても勝てる気もするのだがのう。
とはいえ、それで誰ぞが死ぬと問題じゃ。
「何か悩んでるみたいだけど、どうかしたの?」
「いや、この感じだと三層目に行っても戦えそうな気がしてな。
だったら三層目の方がレベル上げがしやすいかと思うたのだ。
とはいえ、いきなり敵の強さが跳ね上がる可能性もあるし、誰かが死ぬかもしれん。
それで悩んでおるのよ」
「ああ、確かにナミだけであれば勝てそうですよね。
その判断に迷うのは分かります。
他の者達はナミほどの腕前ではありませんからね。
と言いますか、ナミが突出しておかしいのですが……」
「でもー、この調子だと普通に戦えそうだよねー」
「まあ、私達が暇なくらいには、ここで戦えているからね。
それに耐性付きの盾なら、瘴気ブレス系でも防げている。
【常時浄化】の効果が大きいのだろうけど、それだけアンデッドの攻撃を弱体化できているよ」
「そうなのじゃよなぁ………というか、アルゼルとエウリティアは童女や現代の巫女と一緒におらんでよいのか?
何故か妾のところにおるが……」
「向こうに居ても暇だし、彼らは彼らで連携の練習をしたいみたいなんだよね。
武術大会で負けたのが未だに気になってるみたいだからさ」
「ナミがいないと勝てないんじゃー、流石に色々思うはずー」
「ナミというか、コトブキが居るのが元々の形らしいけど、確かにコトブキが居なきゃ勝てないのはねえ………色々と思うでしょうよ」
「それは当然でしょうね。
とある人物が居ないと勝てないのであれば、その人物に依存しているという事です。
それは即ち、自らの存在に疑問符を付ける事でしかありません。
素直に納得などしないでしょうし、納得したら先などありませんよ」
「本当にね。そして彼ら彼女らは納得しなかった」
「それはいいことー」
「そうじゃのう。
とはいえ、連携は一朝一夕では身につかぬし、何より個々の技量を伸ばすのが先なんじゃがの。
個人技が先にあり、そのうえでの連携じゃからな。
とはいえナツやオウカやアマロなど、元々いなかった者達とは連携した事もほぼ無いでな。
あの結果は仕方あるまい」
「むしろ連携とか碌にした事が無かったメンバーと決勝まで行ったんだから、十分すぎると言えなくもないさ。
納得は出来ないだろうけどね」
「それもあるかもしれないけど、元々あの大会はレベルが低かったー。
正直に言って下っ端と言えるような相手だしー、準優勝は色々と思って当然だねー」
「そこまでレベルが低い感じだったの?
それで優勝できなかったんじゃ、流石に思うところがあって当然でしょうね。
問題大ありっていうか、せめて優勝ぐらいしなきゃ駄目でしょ」
「だからこその練習なんじゃろうがの。
ま、奥に行くとしても明日にするか。
熱心に練習しておる若者の邪魔をするのもな、野暮というものじゃて」
「野暮と言えなくもありませんが、なんだかお年寄りみたいな発言ですね。
神様ですから長生きで当然ですけど」
「まあのう。あんなのは何百、何千、何万と見て来た。
今更と言えば今更じゃし、努力する若人というのは悪くないものよ。
いつの時代もな」
「なんだか【忍耐】みたいな事を言い出したね。
アレも性癖が出ていない時はまともで、そういう時の発言は子供を見守る良い大人なんだよ。
性癖が出なければ凄くまともなんだ。性癖が出なければ」
「あれは【忍耐】というより、耐え忍ぶ自分が好き。
虐められて苦しむ自分が好き。
努力して強くなる自分が好き、っていう完全な自己陶酔の塊じゃない。
ついでに被虐的な性癖があるだけでさ」
「そっちがメインなのかは私達も分かりませんけどね。
おそらく本人も分かっていないと思いますよ。
どちらがメインかはね」
「そこはどうでもいいー。
アレは色々な意味で濃いし、おかしいからー」
「まあね。
っと、そろそろ私達も少しは運動をしようか。
真面目に戦わないと居る意味が無くなってしまうからね」
エウリティアがそう言い出し、ラスティア、キャスティ、アルゼルも戦い始めた。
そもそも会話中も妾は適当に戦っておるし、終わったら歩いて敵を探しておった。
今はレベル上げなんで、そんな適当さじゃ。
しかし………童女達も連携の練習には、あまりなっておらぬ感じじゃの。
敵が弱い所為で、そこまで苦戦せぬからであろう。
練習といえども、ある程度の敵の強さは要るのだが、あの者達の強さでは練習になってはおらぬの。
「そなたら練習が捗ってはおらぬようじゃの。
もう一段、深い所へ行くか?
弱い相手と練習をしても、連携は深まらんぞ」
「そう、だな。この辺りで一旦やめよう。
これだとナミの言う通り練習にならない」
「そうね。
あんまり上手くいってる感じじゃないし、もう一段先に行ってみましょうか。
駄目なら逃げ帰ってくればいいし」
童女達も乗り気なので、皆で合流して先へと進む。
既にどこへ行ったらいいかは分かっておる故に、そちらへと進んで警告を越える。
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ここから先は屍人の森・深層三層目となります
種族レベルと職業レベルが低すぎる為、高確率で死亡します。
それでも進みますか?
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そんな警告が出るが、本当かどうかは戦ってみねば分からん。
しょせんはレベルとやらから算出した警告でしかないからの。
そう思いながら皆で越えて進む。
更に一段と薄暗くなってきたが、妾達は警戒しながら前へと歩く。
そしてすぐに新たなアンデッドが現れた。
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<憤死鬼> アンデッド Lv192
生前に惨い形で死した者達が寄り集まって出来たアンデッド。
生ある全ての者を怨み憎む存在。
高位のアンデッドに分類されるので気を付けよう。
ここまで来ると最早生きている者達以上に素早く動き回るので危険だ
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見た目はゾンビなのじゃが、頭が2つもあるぞ。
横に並んでついておるが、むしろ邪魔ではないか?
それに腕が4本なのはよいが、足が鳥の足じゃな。
いわゆるところの逆関節と呼ばれる足なので、奇妙に見えるの。
そう思った瞬間、一足飛びで接近し攻撃を繰り出してきた。
ガァン!!!
殴ってきただけじゃが、右腕2本で殴ってきた為、相当の威力になっておるようじゃ。
シグマが多少なりとも後ろに下がる羽目になるとは、流石レベル192と言えるか。
気合を入れて戦わねばならんの。
「おい、レベル192だぞ! こいつシャレになってねえ!!」
「そんな事を言ってないで、速攻!」
「早く倒さないと、向こうから同じのが来てる」
「【セイントエリア】! 【セイントクリア】!!」
皆が大慌てで戦い始めるが、こういう時こそ冷静でなければいかんぞ?




