0825・素材の利用法とレベル上げ
新型コ〇ナは自然の猛威じゃと童女に説明したが、むしろジト目が強くなった気がするの。
それはともかく昼食が終わり雑事を熟した妾は、珠の部屋に戻ってログインをする。
午後からはレベル上げじゃが、いつも通りに行って戦うだけじゃな。
特攻武器はあればよいが、無くても十分以上に戦えておるので問題ない。
レイドとやらを組んでおるのだからして、皆でバラけてもいいかもしれんのう。
その方が効率よくレベル上げも出来よう。
「それすると狩場の占拠だと言われかねないんだが、よくよく考えれば俺達ぐらいしか居ないから問題ないのか。
まあ、ブラックリストに入れた奴らは居るかもしれないが……」
「見えない奴らはどうでもいい。
それよりもレベルを上げる事の方が今は大事。
特に種族レベルはそろそろ次の段階に行ってもいいはず。
このゲームはレベル上限がどんどん伸びていくというわけでもない」
「そういえばサブ職業の中級はそこまでレベルの上限が高くないんでしたっけ?
なぜそうなっているのか知りませんが、代わりにレベルが上がり難いそうですが……」
「今のところは順調に上がってますけどね?
どこかから上がり難くなるのでしょうか? それとも砥いでいる得物が良いからかもしれませんね」
「火炎龍樹とクリムゾントータスだもんな。
それを研いでいる訳だし、そりゃ経験値多そうだ」
「砥石も色々と変えなきゃいけないと思うけど、もしかして錬金術師ならクリムゾントータスの甲羅を砥石に出来たりする?」
「ふむ。やってみた事が無いのでアレじゃが、ダイアモンドなんちゃらみたいに出来るかもしれんのう。
どのみち砥げればいいのじゃろうし、荒砥、中砥、仕上げ砥でよいじゃろ。
細かく作らされても困るので妾が独断で荒さを決めさせてもらうがな」
「JIS企画とか無理なんだし、そこは仕方ないだろ。
本物の研ぎ師みたいに細かい砥石を要求もしないだろしな。
しかしどうやって作ればいいんだ? 砥石なんて作れるのか?」
「そもそも人工ダイアモンドを使っている砥石など作られた物であろうが。
だったら砥石も作れるに決まっておろう。
妾であれば圧縮した石の表面に三種の砕き方をしたクムゾントータスの甲羅の粉末を【融合】する」
「その砕いた甲羅の粒の粗さで、三種の砥石を作る?」
「そうじゃ。往々にして、砥石などそんな物じゃからの。
拘りの強い者からすれば違うのであろうが、妾からすればそんな物でしかない。
大事なのは刃物に鋭利な切れ味を生み出す事よ。
それこそが一番大事なのだ」
「なるほどね。
確かに言われればそうでしょうけど、そこまで思い切った物で砥石扱いされるかしら?
やってみるしかないんでしょうけど、もしかしたら全部丸ごとクリムゾントータスの甲羅でないと認識されないかも」
「あー……それはありそう。
土台が石だと砥石扱いされないとか、そういう感じかもしれない。
ただクリムゾントータスの甲羅って、物凄く砥げそうな気がする。
こう一度滑らせるだけで相当に砥げるっていうか、砥げすぎるかもね」
「クリムゾントータスの甲羅ですからね、それが無いとは言えません。
私の場合は薬研とか乳鉢と乳棒などが甲羅製だと品質が上がったりするのでしょうか?
もしくはすり鉢がクリムゾントータスの甲羅製で、すりこぎが火炎龍樹とか」
「物凄く贅沢だと思うけど、それ使うと良い物が出来そうな気がするわね。
そういう道具も経験値に影響してそうな気もするし、もしくは道具が悪い方が経験になる気もするし………どっちなのかしら?」
「私達があえて言うなら、どっちもよ。
良い道具を使う事も重要でしょうけど、悪い道具で腕を磨く事も重要。
特にナミというかコトブキは長く適当な場所で錬金術を使ってたし、あの間の経験は大きいと思うわよ。
補助も何もなく高品質な物を作ってたし」
「ですね。
私達は既にそういう経験があるからレベルを上げていけば済みますけど、貴女達は様々な経験も踏まえて考えた方がいいです。
特に道具が悪いか無い状態での経験は軽視されがちですからね。
そこが一流と二流を分ける部分でもあります」
「そうそう。砥ぎもそうだよ。
品質の悪い砥石でひたすら砥いでいた日々が私にもあるからね。
それでも工夫して、どうやれば切れ味が良くなるかと考えたものさ。
そんな砥石しかなかった頃の経験も生きるんだよ。
決して無駄にはならない」
「鍛冶師も同じだろうなぁ。
金床とハンマーを石で作ってもらおうか。
そうすれば難しいだろうし、練習にはなるかもしれない」
「逆にそれだと悪くしすぎないー?
鉄の品質の低いのでやるべきかなー?
あまり悪くしすぎても、経験にならないしー」
「だね。大工なんかは品質の悪い木材などを使って建物を建てたりなどさ。
家畜の小屋でも何でもいいんだけど、そういうのを上手く使って立てる事で良い経験を積む事が出来るんだ」
「そうなんだ。
やっぱり追い込むっていうか、苦労をする方が経験になるんだね。
私はどうしようかな? 料理人だし、それこそ石の包丁とか土器で料理?」
「それはそれで一つの料理枠と言えなくもないわね。
土器に水を入れて煮込むんでしょ?
なんかどんぐりとか入れて煮込んでたって聞いた事があるけど」
「どんぐりクッキー? みたいな感じにして食べてたとか言われてる。
どんぐりは一週間ぐらい水に晒し続けてアク抜きをするらしい。
ここなら料理スキルでなんとかなる?」
「なるね。
実際に【渋抜き】っていうスキルがあるし、使うとジワーって渋が抜けて来るんだよ。
見てて面白いんだよね」
「でもどんぐりって、その後の煮込みにも時間が掛かったんじゃなかったか?
結構な時間煮込まなきゃいけなかった気がするが、もしかしたらそれもアク抜きの為なのかもな。
料理人のスキルを使えば早いのかもしれない」
「そもそもどんぐりクッキーを作る意味あるの? って思ったけど、これも経験か。
もしかしたら、それなりにサブ職業のレベル上げになるかもね。土器でどんぐりクッキー作り。
まあ、どんぐりがあればだけど」
「あるんじゃいない? っと、こっちにブレスが多少来たから、グレイフラワーみたいだね」
ウダウダと話し合っておる間に、とっくに深層二層目まで来ておる。
そこでアンデッドを乱獲しておるのだが、なかなかどうして上手くいっておるな。
やはり盾の存在が大きく、盾が防いでくれておるから安心できるわ。
後はここで狩りをするだけじゃが、出て来た者は即殺するぐらいの速さで倒すかの。
そうすれば次に出てくる、いわゆるPOPするまでの時間も早まろう。
ひたすらに素早く倒してしまわねば。
妾達はそれぞれで分かれ、二層目の中をウロウロとし続ける。
同じところに固まっておらねばレイドの恩恵は無いが、二層目全体はレイドの対象範囲内のようじゃ。
まあ、それぐらいの範囲でなければレイドを組む意味が無い。
なので範囲的にはそれぐらいはあるじゃろうと思っておったが、予想通りであったか。
結果として乱獲は上手くいっており、相当の経験値が得られておる。
出来得る限り素早く敵を倒し、経験値をゲットし続けねばの。
たまには時間を効率的に有効活用しても良かろう。
とはいえ、こんな事をずっと続けておる奴らの神経を疑うがの。
本気で作業にしかならぬぞ、こんなものは。
これが楽しいとか本物のマゾヒストにしか思えぬ。
唯の作業を楽しいと思えるのは異常者でしかあるまい。
レベル上げという作業をしておる者も、強くなるのが嬉しくて作業をしておるのであって、作業そのものを楽しんではおらぬ。
妾などは暇つぶしに思案しながら適当に戦わんといかんぐらいじゃ。
作業になどやる気は出ぬ。
良い事ではないのだがな、それでもだ。




