0824・迷惑者への制裁
迷惑者をブラックリストに放り込んだ妾達は再び採取を始めるものの、何故かこちらにトレントのブレスが飛んでくる事が幾度かあった。
これは、もしかして………
「こりゃ俺達の位置を調べてやがるな。
そして俺達が居そうな方向にブレスを誘導してやがる。
つまりブラックリストに入れて見えなくなっていても、何かが動いたりしていれば分かるって事だな。
足元の草が踏まれてるとかさ」
「なるほどのう。
とはいえそこまでの根性があるなら他の事に活かせと言いたいわ。
とことんまで妾を怒らせたいようじゃからな、覚悟せいよ」
妾はそう言ってブラックリストを解除すると、先程の男が目の前に居た。
そやつはビックリしているようだが、既に遅いわ。
妾は睨んでいると思わせつつ、電脳空間のアクセスポイントを経由して相手の現在位置を特定。
そこに寝ていた者にインフルエンザをお見舞いした。
十分な数を喰らわせたから間違いなくインフルエンザに罹ったはずじゃ。
コロナでもよかったのじゃが、それでも死亡確率の低い方にしてやったのだ。感謝するがよいぞ。
本人は知らぬであろうがな。
妾は男を再びブラックリストに入れると、皆にメッセージを送っておいた。
何故か急にメッセージを書き始めた妾に皆は首を傾げておったが、内容を読んで理解したようじゃ。
あまり口に出してよい事でもないからな。ここでは誰が聞いておるか分からんし。
「まあ、分かったけど、向こうのヤツはすぐに消えたりはしないんじゃないか?
いきなり症状が出るって事もないはずだし」
「いや、そんな事はないぞ?
普通は一定の数まで増えて初めて、罹った本人に自覚できる症状が出てくるわけじゃ。
しかしその数まで増やしてあるからの、そろそろ強制的に弾かれるのではないか?」
「ああ、強制ログアウトって事ね。
詳細は言えないけど、そっちになるのは確かにそうでしょ。
バイタルチェックで引っ掛かるでしょうし、病気とかだと強制的にログアウトさせられるから」
「病気の最中にVRゲームが出来ると、本人が症状の自覚もないままに病気が進行して悪化する。
だからそういった事が無いように、病気が疑われる場合は強制ログアウトにされてしまう。
ゲームをするには健康第一」
「まあな。
昨今のゲームは3徹してボロボロのままゲームするとかは無理になってる。
だから廃人プレイも出来なくなってるが、かえってそれがいいんじゃないかって言われてるぐらいだ。
実際に他のゲームでも変わらないし」
「このゲームを徹夜でやって他のゲームってなっても、別ゲーのバイタルチェックに引っ掛かってプレイ不可だしね。
そういう意味では廃人スタイルなんて今や無理だもの。
古い時代のプレイ動画に残ってるくらい?」
「そういえばトモエに教えてもらった古いプレイ動画? っていうの見に行ったけど面白かったよ。
なんか攻略しようとしてるけど失敗ばかりだし、ああいう楽しませ方ってあるんだね」
「ナツはハイソな感じの面白さしか知らないだろうなと思って、あえてそういうのを選んだのよ。
理不尽難易度の攻略とかも割と笑えるけど、あれは元ネタを知ってないと楽しめない部分もあるから外したの」
「理不尽っつーか難易度高くて面倒っていうのが大きいんじゃないか。
知らない人が見たら簡単そうに見えるヤツとかもあるし、アレ系は実際にプレイした事がないと分からない部分が大きいだろ」
「採取しながらの下らない話も、たまにはいいものじゃの。
それなりに色々と集まっておるし、意外と言ったらなんじゃが、薬の元ってここには多かったのだなと改めて思うわ」
「そうですよ。
ウェズベア森は、そういう意味では良い場所なんですよね。
それなりの薬ではありますけど、それでもコツコツ作っていると腕は上がりますから、無駄にはなっていません。
品質を上げるという部分は同じです」
「素材の品質を上げて渡した方がいいかの?
コレ系の素材の品質を上げた事がないので、イマイチ出来るかどうかも分からんのだが……」
「出来るらしいですよ。
エンリエッタさんが言うには可能だそうですけど、私は錬金術師ではないので可能だという事しか分かりません。
もしかしたら、特殊な何かが必要なのかもしれませんし」
「そういう事はあろうな。
確かに特別な何かが無ければならんなら、今の妾では出来ぬ可能性があるのう。
それこそフラスコとかビーカーとかが必要なら無理じゃしな。
しかし思ったのだが、それは薬師のやるべき事ではないか?」
「そうですよ? ですので薬にする前の品質向上は私がしています。
錬金術師でも出来るらしいんですけどね。
ナミがわざわざする必要はありませんよ」
「じゃろうな。妾は素直にアマロに全部売るだけにするわ。
武具を作る際にも色々とせねばならんのに、薬の素材の方までなどと手を伸ばしても仕方ない。
あれもこれもやろうとすれば中途半端になるだけじゃ」
「ですね。自分の領域の事をしっかり磨いた方が良いですよ。
そちらが先でしょうしね」
「うむ、その通りであろう」
そんな話をしておると昼になったので、妾達は家へと戻った。
マイルームへと飛んだ妾はラスティアとキャスティ以外を戻し、ソファーの部屋に移動してファルを呼ぶ。
昼食の準備を任せたら、再びマイルームへと戻って精錬じゃ。
それらを済ませたらソファーの部屋へと戻り、適当な雑談をした後で昼食へ。
食べたらソファーの部屋からマイルームに戻りてログアウト。現実へと戻る。
珠の家で昼食を童女と作りつつ話すのだが、童女が驚いておるのう。
「えっ? あの嫌がらせ野郎って、お金持ちの家のヤツなの?
なんでお金持ってるのに、<構ってちゃん>なんてやってるのかしら?」
「さあのう。
電脳空間へのアクセスポイントを割り出せば、あとは現実の神たる妾が日の本のどこにおるか確認するだけじゃからの。
妾にとっては容易い事よ。
大きな屋敷に住んでおる者じゃったから、たっぷりと喰らわせてやったわ。
今頃は病院にでも行っておるのではないか?」
「インフルエンザでも死ぬ事はあるんだから注意しなさいよ。
流石に嫌がらせ野郎がこっちに嫌がらせして、そして死んだってなれば怪しまれるんだからさ。
死亡事件が起きるとログ含めて警察が調べるのよ」
「心配は要らぬ。
そもそも死ぬほどの量をブチ込んではおらんからな。
精々が高熱で苦しむくらいじゃし、そこまでで十分じゃろう。
健康に戻るまでに二日か三日ほどかかるであろうよ」
「仮に伸びても、それだけ邪魔なヤツが居なくなるだけだしね。
むしろこのまま引退までいってほしいわ」
「さて、ああいう者は粘着質じゃと相場は決まっておるからのう。
難しいのではないかと思うぞ?」
「そうよねえ。っと、そろそろ出来るし、お昼にしましょうか」
「そうじゃな、さっさと皿やらを用意するか」
食器の用意を終えたら作ったおかずを盛り、そしてご飯を盛ったら準備は完了。
妾達はテレビを見ながら昼食にする。
「ところで相変わらず猛威をふるっている新型コ〇ナですが、どう思われますか?」
「不思議な事に何故か猛威が衰えていないのですよね。
それも全国規模と言いますか、色々な都道府県で発生しているのが不思議です。
秋田や青森であったかと思えば、次は大分や山口。
コ〇ナでの死亡者の分布を見ても、おかしな形になっています」
「映像にもでていますが、日本列島で順番を見てみると随分とおかしな形ですね。
発生個所がバラバラと言いますか、都道府県ごとに綺麗に分かれているのが特徴です」
「普通は一つの都道府県で発生すれば、その周囲の都道府県にも何らかの影響が出たりするものなのですがね。
ピタリとその都道府県内におさまっているのです。
これが不思議でして……」
童女がジト眼で見てくるが妾はスルー。
そういう事もあるものよ。
日の本の神には自然の者も多い。
自然がやった事なら、それは自然な事なのだ。




