0807・艶女組への指導と武具作製
妾達は艶女組に<瞬足>と<瞬撃>を教えておる。
昨日も教えておるからか、一から説明する必要はないのだが、やはり下手な者は下手じゃのう。
仕方がないとはいえ、これは骨が折れるわ。
人に教えるというのも悪くはないのじゃがな。
それでも野太い声の者達に教えておると、徐々にだが一撃で倒す者が増えて来た。
何度も言って説明しておるが、<瞬足>と<瞬撃>はそこまで難しい技術ではない。
何より【身体強化】を自分で使えばいいだけであり、それぐらいは自力でせよという事じゃ。
【身体強化】が自力で出来るならば、今までよりも格段に継戦能力は上がる。
本来ならば最初からしておかねばならぬ事なのじゃが、こやつらのようなプロゲーマー集団ですらやっておらぬ。
不思議で仕方がないが、なんでじゃ?
「簡単そうに言うが、これ結構難しいからな? マニュアル操作の【身体強化】って簡単じゃないぜ? もちろん出来ない訳じゃないが、オレ達でも簡単じゃないって知っておいてほしいところだ」
「そうね。私達もプロゲーマーだから、それなりには様々なゲームをしてきてるわ。それでも、これ系のマニュアル操作は一部の物好きがやる事だと思ってる。まあ、説明されれば上級者のテクニックだと分かるけどね」
「確かに、お姉さんの言う通りなのよ。貴方達は簡単にやってのけるけれど、おそらくこれを当たり前にやっているプレイヤーは多くないわ。それぐらいの事をやっているという自覚は無いようだけど……」
「無いなぁ。そもそもコトブキがそれ以上にシャレにならない事をするんで、この程度だと特にどうこうとか思ったりはしない。っていうか出来ないって言った方が正しい。俺達はメチャクチャっていうか、理不尽なのも見たからさ」
「あの真っ二つ破壊は凄かったけど、あれ以上の理不尽も確かにないと思う。相手はアーククラスの吸血鬼で、【血式魔法】を使ってくる相手だった。それも体に血を薄く纏う事で、非常に強い鎧を身に纏ってる相手」
「それを袈裟懸けに両断した、アレね。一撃で両断どころか、それを超えて会場の地面まで割ったヤツ。あまりに強力すぎて一撃で武器まで壊れてしまうし、放った本人は瀕死になるっていう自爆技」
「そんなのがあんのかよ? っていうか強すぎて自爆って……。漫画やアニメじゃねーんだからさ、そんなのまでこのゲームに実装されてんのかよ」
「コトブキしか無理だし、魔闘仙だから使える。ただし自爆技なので、使えても難しい。説明し辛いけど、一撃を超強化するけど死亡する自爆技と、どんなメチャクチャでもギリギリでHPが残る技を併用する。その結果、アーククラスを一撃で殺す技になった」
「つまりはロマン砲かよ。それでもロマン砲が使えるだけマシかもしれねえが、自爆技はなぁ……。使い熟せりゃ強いんだろうが、自分から自爆じゃ、次に喰らったら死亡だろ? 相当限定された状況じゃないと使えねえだろ、それ」
「まあね。自分の攻撃の威力で瀕死だから、どうしようもないし避けられない。代わりに超強化されるんだけど、そこまでの力が必要な相手は居ないしね。そのうえ生き残られたら確実に詰む」
「だろうな。超強化っつったら聞こえはいいが、それでも敵を一撃で倒せるっていうシチュエーションが限定されすぎだ。そんな状況は早々ないって言うか、最後の止めに使うぐらいだろ。なるべく早く倒したいボスとかでさ」
「それぐらいしかないでしょ。そもそも自爆技って連打できないし、止めの一撃に使うにしても、そんな状況なら既に使えない可能性もあるしね。どう考えても使える状況が限定されすぎよ。魔闘仙だけの、って思っても使えないんじゃね?」
「だなぁ。一人だけの種族だと嫉妬するバカが出てきたりするが、ここの運営はやっぱりそう簡単に最強の種族とか作ったりはしねえよなあ。吸血鬼の【血式魔法】だって、今は大した事はねえし。その鎧のように纏うのは強いと思うが、それにも多分デメリットはあると思う」
「多分そうだと思います。相手は服のままでしたし、もしかしたら鎧などを身につけていたら使えないのかもしれません。そう考えると……」
「あれか? 疑似NINJAか? 使えばACが下がる的な?」
「あー、それはそうかも。たしかにその可能性は否定できないし、戦車並みじゃないけど、火炎龍樹とクリムゾントータスの太刀を弾いていたからなぁ。それを考えると疑似NINJAは頷けるかも。結局、一撃で殺されたけど」
「そこはMURASAMAを喰らったみたいなもんじゃねえの?」
こいつら何の話をしとるんじゃ? それより他の者達のようにしっかり練習せい。
下手だったヤツもそれなりには使えるようになっとるぞ。
コツを掴むまではアレじゃったが、コツを掴んでからは使えるようになっとるのがおるでな。
お主らも真面目にやらんか。
妾は軌道修正させて練習させ、昼が近くなってきたので戻った。
とにもかくにも艶女組には教え終わったので、妾も肩の荷が下りた感じじゃな。
あのような者どもだが、教えられている時は割と素直に言う事を聞いておったのう。
まあ、無駄な反発とかはしそうにない連中であったが、本当にせんかったのには少々面食らうわ。
それも相手が男女どちらでも関係なく、素直に聞いておったからな。
そういう連中だと言ったらそれまでじゃが、やはり見た目の連中であった。
中身は普通というか常識的な者達である以上、表面だけであったのう。
その表面が気に入らん者もおるのであろうが、妾は特に気にもならん。
あのような者など昔からよくおるでな。
今に始まった事ではないというか、現代に始まった事ではない。
古くからあるし、ある意味では伝統のようなものでもある。
今更と言ったらなんじゃが、古くからある以上は文句を言ってものう……と、いったところであろう。
家に戻った妾は2人以外をマイルームに戻し、ファルを呼んで昼食の準備を任せる。
そして皆に話しておいたが、今の内に必要な武具を聞いておく。
もちろん清浄塊を使用した武具が必要かどうかじゃ。
その結果、童女は盾が2つ、現代の巫女は盾と打刀、ナツは盾と両手剣で、アマロは盾が2つと指環と足環であった。
やはり武器よりは防具が使いたいという事か。
とはいえ瘴気攻撃の事を考えたら、盾が必須であろうしな。
妾はギリギリまで物作りを行い、昼食を食べた後はマイルームに戻ってログアウト。
現実での昼食を終えたら、雑事を熟してログイン。
そしてギリギリまで物作り。
それでも童女の盾2つと、現代の巫女の打刀と盾しか作れなんだ。
最初にユウヤの分のタワーシールドは作っておるので、そっちは問題ないんじゃがな。
神たる妾が急いでもこれであったわ。
極限まで急ぐと、どこまで早う出来るかと頑張ったんじゃがなぁ……。
「いや、十二分に早いだろ。あの僅かな隙間時間でここまで出来たら十分すぎる気がするぞ。もちろん錬金術師だって事はあるんだろうけど、それにしても早いわ。しかもキッチリ仕上げてきてるし」
「そこは当然であろう、粗製乱造のような事などせぬわ。とはいえ丁寧に作りすぎる事もしておらぬがな。あまり丁寧にし過ぎても、結果が変わらんのは知っておるし」
「神様が丁寧に作るって、なんだか怖いですね? どこまでのレベルなんでしょうか?」
「神が作った以上は神造された物なんだし、そうなると三種の神器と同レベル?」
「「「「「………」」」」」
「アレと比べると、大した事がないように感じるのう。しょせんは人の世にあるものでしかない故に」
しかも一度失われておる物もあるでな。
更に言えば渡したのは偽物だとか言い放った者もおったし。
そんなアレと比べたらのう……。
なんだか妾が作った物の価値が下がるわ。
806話の誤字報告、ありがとうございました
文芸・歴史カテゴリの「式神と霊兵」が180話を超えました。宜しければご一読下さい。
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