0806・異なる星への移動について
他の属性は詳細に【鑑定】する事は出来ぬが、それはこれから見つかるであろう。
それよりもファルが来たので妾達は食堂に移動し、朝食を食べて後に移動を開始。
まずはユウヤとオウカと合流して魔隠穴へ。
「で、皆は瘴気属性耐性について詳細に分かるようになった、と。全部【鑑定】しなきゃ詳細に分からないっていうのが厄介だな。それと同時に売れると思うぜ? 実際に自分で取りに行くか、それとも買って自分の手で持って【鑑定】するしかないだろ?」
「確かにそうですね。自分の手で持って【鑑定】する事が大事な以上は、プレイヤーマーケットを覗き見するだけでは意味がありませんし。だとするならば、それだけたくさん売れるという事でもあります。未だそれぞれの星に移動できる場所は少ないですから」
「移動できるのも、かつてのクソエルフの領域とビスティオだもんな。そのうえある程度の期間は守備に着く必要があるんで、誰も利用しようとしないしさ。金払えならともかく、時間が必要だとなぁ………。そんな事に無駄な時間を使うヤツはいないだろ」
「あれ? 知らなかったんですか? ビスティオはお金でもいいと、確か方針を変えたはずですよ。旅人スレにそんな情報が書かれていましたし、割とこちらに来ている天使の星のプレイヤーが居るんじゃないですかね」
「ビスティオが方針転換してお金でいいとしたって事は、魔法陣の守りは出来るようになったと言っていいのかな? 元々は魔法陣を奪われかねないから、一定期間の守りをしなきゃいけなかったんだし」
「そうじゃない? それか、一定期間の拘束があまりに不評だったから、それよりはお金が手に入るだけマシだと思い始めたか。結局条件が厳しくて寄り付かないなら、条件を緩和してでも儲かる方がいいでしょうしね」
「それが正解だと思う。流石に一定期間の拘束はプレイヤーが嫌がる。レベル上げをしたりダンジョンに潜ったり、そういう事をする時間が削られるのを一番嫌がるのがプレイヤー。そんな事をするくらいなら近寄らないのは当たり前。それでも納得するのは一部の連中でしかない」
「それを配信したり、あるいは旅人スレのように経験談を書いたりする人達ぐらいでしょう。どのみちアピールしたり好奇心で突っ込む人達しか行かないですよ、時間の無駄って本当に嫌なものですからね」
「損したって思いやすいものね。あれだけの時間を別の事に使っていれば良かったって後悔したくないっていうか、そういう後悔をするのが嫌って感じ? だから一部のヤツしか行かないのよね。魔法陣を守る経験なんて、別にしたくないし」
「まあ、そうでしょうね。向こうに渡る事が出来るとはいえ、わざわざ時間を無駄にして、ビスティオに使われてまで渡る意味があるのかって言うと……」
「私が言うのもアレですが、別にそこまでする意味は無いと思いますよ? 天使の星は朝、昼、夜が明確に分かれているぐらいしか大きくは変わりませんしね。だから野菜の育て方とか種類は違うのですが、それぐらいです」
「農家の君からするとそうなんだろうけど、結構な部分が違うと思うけどね? ただ、それぞれに色々とあるから、別に拘束されてまで行く必要があるかと言えば無いかな。日の光を浴びると言ったところで、マイルームでも浴びれるわけだし」
「わざわざ日の光を浴びるだけに、天使の星に行く意味は無いねー。それに向こうの有名所に行くと言っても、別に無理していくような場所は無いしさー。昔から、あんまり交流もないよー」
「総じて、無理して行く程ではないという事か。ま、それはそうなのであろうの。行くのに特殊な魔法陣まで行かねばならぬし、それを支配している国に断りを入れたり、お金を支払うたり。そこまでして行く程の場所かと言えば……」
「労力に見合ってないってところか。確かにそれは間違いないだろうし、向こうの素材が得られるってだけだもんな。こっちでしか手に入らない素材もあるし、向こうの素材はプレイヤーマーケットで買えるし。別に無理する必要はねえなあ」
「稀人はそれがあるから余計に移動する意味がないのだろうさ。向こうの素材が手に入ると言うなら、私達以上に移動する価値は無い。精々が悪魔の星で見られない景色を見るくらいだ。言うなれば観光だね」
「本当に価値が無いねー。そんな事をする意味が無いしー、別に観光するようなものあったー?」
「流石に色々とあると思いますけど、だいたいは似たり寄ったりなのですよね。そもそも他の国から移動してまで見るものなんて少ないですし、目立つようなものは建物とか像とかぐらいですか? それも大体は、その国の名君と言われた王の像ですしね」
「それじゃあ、本当に見る価値がねーなー。正直に言って名君と言われた王に興味なんて無いし、わざわざ行ってもそれだけじゃあ……」
「だから私達のような者も、いちいち移動したりしないんだよ。どこかの誰かは開通した途端に襲いに行ったみたいだけどね。普通はそこまで執着したり粘着でもしてないと、移動したりなんてしないよ」
「執着……粘着………」
キャスティが若干じゃが黄昏ておるのう。
復活したと分かり、星間移動の魔法陣が使えるようになるやいなや、急いで飛んで渡ってきたからのう。
確かに執着や粘着と言われても仕方ない気がするぞ。
そのうえ今の関係を考えるに、本当に執着を持っておった可能性が高い。
己の心の奥底では相手を渇望しておったのだからして、それは執着と言っても間違いではあるまい。
それに気づいたのか、ラスティアは何とも言えん顔をしておる。
おそらくじゃが執着されておったこと自体を嫌がってはおらんな?
気づかなんだ事に対する微妙さであろう。
もっと早くに気づいておれば、争いを続ける必要なんて無かったのであろうしな。
とはいえプレイヤーがおらねば完全なプライベートは無かったわけで、それはそれで2人が耐えられたか分からんのう。
見張られておるともなれば、迂闊な事は出来ぬし……。
それに気づいたのであろう、ラスティアもキャスティも諦め顔に変わったの。
珠がおらねばマイルームでプライベートを確保できなかった以上、2人が恋人になりイチャイチャする事もあり得んからな。
つまり全てまとめて仕方ないという話じゃ。
妾達はバイゼル山も終えて、ウェズベア森へと移動。
そして今日もおる艶女組に指導をするのじゃが、その前に全てを【鑑定】させて確認させる。
「マジかよ………【瘴気属性耐性】なんてものが本当にあるとは思わなかったぜ」
「しかも数字で出るとか、これ冗談でもなんでも無く、特大級の爆弾案件よね? ……私達に何をさせたいの?」
「それは簡単。僕達が書くだけじゃ信憑性にケチをつけられかねない。でも艶女組も同じ情報を掲示板に書いたら?」
「ああ、そういう事な。で、報酬はオレ達が正しい鑑定結果を得られるようになる事か。それと素材が手に入る場所の情報」
「それは分かるけど、あの<屍人の森>の深層に居るアンデッドっていうのもね。それにレベルが130台というのも厳しいわ。貴方達よくそんなのに勝てるわねぇ」
「アンデッドだから、浄化属性で弱体」
「それはそうだけど、それでも、よ。そう簡単に勝てるようなレベル帯じゃないと思うんだけど……」
「そうねー。でも、そこまでのレベルだと、レベル上げが捗りそうー」
「そうそうー、アタシ達なら勝てそうじゃなーい?」
「勝てると思うけどー、まずはお金を貯めてからねー?」
相変わらず声が野太い奴らじゃのう。
こやつらの声って、普通の男よりも野太いんじゃよなぁ……。
なんでこう、カマの者は野太い声なんじゃ?
珠の記憶を探っても、そういうイメージがあるぞ?
別にそのようなヤツばかりではないと思うのだがのう……。
よう分からん。




