0802・深層二層目での戦い
妾達は<屍人の森>の深層二層目で戦っておる。
レベル100を超えている敵ばかりである為、それなりには強いのだが……。
それでも妾達の相手になるような敵ではない。
残念ながら、未だ歯応えが足りぬというところか。
「ぐぉっ!? づう……確かに結構な衝撃がくるな。これがゼロになるっていうなら、確かに瘴気属性耐性は重要だと思うわ。もちろん盾士にとってはって意味だけどな」
「盾士じゃなくても、瘴気属性が防げるのは大きいよ。何と言っても、こっちがアンデッドにされる属性だしね。流石にそんなものを受けたくないし、なるべくなら盾で防いでしまいたいもん」
「盾はやはり大きいですからね。使い熟すのが厄介なので私自身は使いませんけど、それでも一枚居るだけで戦闘の難易度が変わりますし」
「重要だけど、意外にしっかり出来るのは多くない。だいたいの盾使いは何となく使ってるだけ。本気でやると位置取り含めて、結構厄介なポジション。一番前だけど、後ろの事を考えて動かなくちゃいけないし」
「そうそう。タンクって考える事が多いんだよ。俺だって何も考えずに動いてるわけじゃないし、これでも苦労してるんだぜ? その俺より前に出るのが居るんだけどな」
「イィィィヤァァァァァァッ!!!」
ズドン!!
相変わらずではあるが、先程のはシグマが盾でしっかりと守った後のカウンターじゃ。
特に問題行動というわけではない。
ある意味で非常に素直でもあるからの、それ故に矯正するとあっさりそれを飲み込んだみたいじゃ。
よき、よき。
それにしても深層二層目じゃからか、暗いのう。
この先まだ暗くなるのだからして、この奥は灯りが必要になるかもしれん。
その用意をしておいた方が良い気もするが、ただ暗いだけではないからのう。
特殊なものが要るとなれば面倒だぞ。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?!?」
「横から急に受けたけど、それがグレイフラワーのブレスだよ。【セイントクリア】!」
「助かった! 突風みたいなブレスだけど、喰らったらすっげえ痛いぞ、これ!!」
「瘴気を吹き付けられてるんだから、痛くて当たり前なんだけどね。むしろ瘴気を浴びて平然としている方が問題だと思う。瘴気属性耐性の付いた装備なら大丈夫かもしれないけど、ここで手に入る素材で作るんだしね。今は無理だよ」
「そりゃそうなんだけどさ、まさか痛みのブレスとは思わないだろ。こんなの初めてだぞ」
「確かにそれはそうでしょうね。炎系なら熱いし、氷系なら冷たい。にも関わらず、痛いブレスだものねえ。私は受けた事ないけど、なるべく盾で防いだ方が良いのは間違いないんじゃない?」
「それは間違いないですね。ブレスのダメージや瘴気は盾で大幅に減らせます。防げばさえ脅威ではありません。直撃を受けたから痛いのですよ」
「あー、防げばさえ大丈夫なタイプか。たまーにあるけど、これ系は防げなきゃ酷い目に遭うんだよなぁ……」
「仕方ないし、そういう仕様である以上は文句を言っても始まらない。もし文句が言いたいなら運営に言うべき」
「言ったところで無視する相手に言ってもなぁ、意味ないだろ。それよりも敵の位置を把握して、盾を構えておいた方がいいな。グレイフラワーだと困るっつーか、毎回痛みを受けるのも嫌だからな」
「誰だって嫌でしょ、それは。ここでレベル上げをするなら、早めに瘴気属性耐性の付いた盾にしたいよ。浄化の力が定着してるって大きいし、安心できるもん」
「確かにそれはありますね。それに………ナミはまだ武器に使っていませんが、武器に使っても大きいかもしれません。特にここで戦う事を考えると」
「威力が違いそうだものね。もちろん今使っている武器の方が強いでしょうけど、対アンデッドと考えると……」
「意味合いが変わってきそう? アンデッドが浄化属性に弱いのは当たり前の話だしー、その武器なら威力倍増ー?」
「そこまでいくかは分からないけど、<浄化の力が定着してる>という説明だからね。何かしら、今までの浄化属性の武器とは違う可能性がある。瘴気属性耐性が付くという特別な素材だし」
「何はともあれ、まずは素材を大量に得んと話にならん。その為にも数を多く狩らねばな。それが結果的に浄化に繋がるんじゃからして、やって悪い事ではない」
「むしろ積極的にやるべき事な気がするが、それよりもまずはアンデッドを探してウロウロするしかないな。それなりに俺達が倒したからか、近くに何の反応も無い」
「時間はまだまだあるし、レベル上げに励むべきだね。昨日の戦闘もあってレベルは上がってるし。このままどんどん上げていくべきだよ」
「昨日4レベル上がってますから、簡単には上がらない気もしますけどね。それでも1レベルぐらいなら上がりそうです」
「4レベルも上がるのかよ。流石はレベル100超えの場所だとしか思えないな。こういうところがあるとレベルが上げやすくて助かる」
「最初は上がりやすくても、すぐに上がりにくくなる、どうせ大量の経験値が要る事に変わりは無いし、それは上がれば上がるほど増える。すぐにいつも通り」
「嫌なこと言うなよなー、事実だけどさー。たまにはポンポンとレベルが上がる心地よさを味わっても悪くないだろ。現実に戻すな」
「仕方ないんじゃない? そういうものだしね。ただ、上がった分のレベルは無駄にならないんだからいいじゃない。それよりもカーススケルトンが来てるわよ」
「あの骨、思ってるより速くて驚いたんだよなー、最初だけ。今は慣れたから問題なく捌けるけど、でも調子に乗ると瘴気バースト使ってきて面倒くさい」
「勝手に命名してるけど、分かりやすくていいか。なんとかバーストっていう魔法とか技って、たいてい自分中心系だもんね。聞いて分かりやすいのが一番か」
「レ〇ジング・スト〇ム」
「なんで合気のオッサンなんだよ。あれ系ってたまに思うけど、ラスボスが受け系というか投げ系だと微妙な気分になるよな」
「分かる。なんか凄い派手な必殺技を使ってるくるのかと思ったら、超絶地味だけど面倒くさいラスボスとか……」
「開発が何を考えたのか知らないけど、あのキャラは色々とギャグ風味がある。ツッコミどころが多いから」
「お主ら、下らん話をしておらんで真面目に戦え。ここは瘴気が漂っておる厄介な場所ぞ」
こやつらは慣れてくるとコレじゃな。
悪い事ではないのだが、イマイチ締まらん緩い空気にしよる。
ある程度の緊張感を持ってもらいたいもんじゃが、こやつらなら大丈夫かの?
とはいえ注意はしておくべきじゃからのう。
「ヒュォォォォォォォォ!!!」
「………」
「ヤァァァァァァァ!!!」
グレイフラワーのブレスをシグマが防ぎ、そしてセナが思いっきり突いたの、そうそう、それでいいんじゃ。
連携をしっかりと決める。
自分で受けて怒って反撃など危険じゃからの。
特にこの瘴気が多い場所ではあまりに危険じゃ。
やはり防具を作る優先度はセナが一番先となるか。
突っ込みすぎる部分も残っておるので、不意の一撃で消失してしまわぬようにしておかねばならん。
とにかくここを乗り切ったら防具を与える。
それでかなりマシになるはずじゃ。
そうなれば一安心というところじゃの。
その為にも多くの素材を得ねばならんのだが、今は深層二層目をウロウロするしかないか。
敵の数はそれなりにおるのだが、それでも動き回る必要がある。
その僅かな時間も積もれば無駄な時間じゃ。
何とかならんもんかの?
801話の誤字報告、ありがとうございました




