0801・皆で深層二層目へ
昼食を食べた後、現実での食事を終えて戻ってきた。
次は<屍人の森>へと出発するのだが、今日はユウヤとオウカを連れて行かねばならんので暫し待つ。
2人が来たら出発し、<屍人の森>の深層二層目へ向けて浄化しながら進んでゆく。
「それにしても、ここの深層が全四層構造とか……。急に面倒臭くなってね? とはいえ、そうでもなきゃエンリエッタさんが封印なんぞしてないか。……なんか中心部にスケルトンドラゴンとかドラゴンゾンビが居ると思うのは、オレだけか?」
「なんか分かる。エンリエッタさんがわざわざ封印して、しかも近くに家を建ててるぐらいだもんね。中心部にドラゴンが居ても不思議じゃない気がする。それに、ドラゴンが居るならエンリエッタさんしか抑えられないんじゃ……」
「無理でしょうね。なんとなくですが、そんな気がします。あの方、十二分なくらいに頭がおかしい強さをしているみたいですし、そんな方がわざわざ本邸を放って住んでいるぐらいです。とんでもないのが居ても不思議には思いませんよ」
「そもそもここは小さなダンジョンに等しい。奥に行けばどんどんと敵が強くなるし、その強さに際限がない気がする。瘴気が集まって噴出してくる場所なだけあって、恐ろしく危険な場所だし」
「当たり前のように慣れましたけど、よく考えればこの環境っておかしいんですよね。瘴気が常に漂っているという時点でメチャクチャですし、そんな環境はここだけです。もちろん浄化していれば済むんですけど」
「【浄化魔法】が必須っていう時点で、ある意味凄い場所だとは言えるな。そんな場所に俺達は居るわけなんだがよ! っと」
ユウヤが出て来たゾンビを殴り飛ばす。
未だ浅層なので大したアンデッドも出て来ん。
それでも浄化しながら進んで行き中層へ。
そして中層も浄化したら深層へと進む。
ここのアンデッドもレベル100を超えておらんので大した敵ではない。
そんな敵を倒しつつ浄化し、妾達は深層の二層目へとやってきた。
ユウヤとオウカは初めてじゃが、妾達は初めてではないので気楽ではある。
とはいえここで厄介なのはグレイフラワーだけ。
そしてグレイフラワーのドロップは……
「何故か一番厄介なグレイフラワーのドロップは、<瘴気の花びら>というもの。浄化すれば薬の材料になるみたいなのだけど、アマロ以外は使えない物だからね。優先つけて売るぐらいしか出来ないかな。どんな薬かは知らないけど」
「エンリエッタさんにお聞きしたところ、浄化の為の薬らしいです。呪われた物とか、瘴気に塗れた物を浄化できるらしく、こちらを使わないと作れない素材などもあるそうで……」
「なんか、対瘴気用防具とかに必要になりそう。嫌な予感が凄くしてくるよー」
「そういえば対瘴気用の防具って作れたのか?」
「それならばコレじゃな。一応持って来てあるが、そなたらも鑑定しておけ。もしかしたら駄目かもしれんが……」
そう言って、妾は昨夜作ったカイトシールドを取り出す。
すると各々で【鑑定】したんじゃろう、口々に言い出した。
「瘴気属性耐性(中)かぁ……。なかなか難しい感じ? ここの装備で中って事は、さらに奥に行かないと大は手に入らないんだね。仕方がないけど、簡単に瘴気は防げないみたい。厄介な属性だと思うよ」
「やっぱり……思った通りの結果」
「思った通りとはどういう事ですか?」
「姉さん達には小、中、大でしか見えていない。でも私は昨夜ナミが作ってるところに一緒に居た。だから瘴気属性耐性が7だというのが見えてる」
「瘴気属性耐性が7? それってつまり数字で見えてるって事か?」
「そう。瘴塊とカーススケルトンの骨を【合成】して瘴骨に。そして瘴骨を浄化して清浄骨に。さらに瘴塊を浄化して作った浄塊と清浄骨を【合成】して、やっと清浄塊となる。それを【鑑定】して初めて瘴気属性耐性が見えるようになった」
「つまり……俺達は疑似的に見えているだけで、正しく見えている訳じゃない? 正しく見るには、その清浄塊っていうのを【鑑定】しなきゃいけない訳か?」
「分からない。もしかしたら全て【鑑定】しないと駄目かも。私達は結果だけしか【鑑定】していないわけじゃないし。それに全て【鑑定】しなきゃ駄目なら、天使と悪魔が知らないのも頷ける」
「確かに私達も瘴気属性そのものを知らないのよね。今【鑑定】したら確かに瘴気属性耐性って出ててビックリするけど」
「ええ、本当に。私達でさえ初めて見ましたからね。まさか本当に瘴気属性なるものが存在しているとは……。そして私達も瘴気属性耐性(中)としか見えていませんね」
「私も同じだ。7という数字は見えていない。ここまで長く生きてきて、未だに知らない事があるというのも新鮮な気分だよ。不謹慎かもしれないけど、ちょっと面白い」
「分かるよ。ここまで長く生きても、世の中は不思議で満ちている。こういうのを発見する度に、自分がまだまだだと思う」
「アルゼルの語尾が伸びないという事は、本当に驚いているみたいだね。気持ちは分かるけど、私達は実験をした方がいいかな? その清浄塊だけを【鑑定】してみよう。そうすれば全て【鑑定】しなければ駄目かが分かる」
「そうね。とりあえず深層二層目に急ぎましょうか。ここのアンデッドなんて強くないし、さっさと倒して先ね。カイトシールドは一時的にシグマかキャスティに渡しておけばいいわ。実験もしなければいけないし」
「なら私がしましょう。瘴気属性耐性の盾ならどうなるか。昨日とは違う結果ならいいのですが……」
妾達はさっさと敵をブチのめして行き、そして深層の二層目へと辿り着いた。
そこでウロウロとしていると、早速カーススケルトンを発見。
全員でボコってすぐに倒すのだが、最初にキャスティが盾を構えて近づく。
すると右手で殴りつつ、即座に自分中心に瘴気を爆発させた。
しかしキャスティが構えた盾はビクともしなかったようじゃ。
そして後ろからフォグやエストが【浄化魔法】で攻撃し倒して終了。
妾達はキャスティから結果を聞く。
「キャスティ、どうだったの?」
「この盾、思っている以上に凄いです。まず第一に、昨日同じ攻撃を火炎龍樹とクリムゾントータスの盾で受けましたけど、強い衝撃がありました。しかしこの盾では一切の衝撃を受けていません。盾そのものが瘴気を弾いている感じですね」
「実際には弾きつつ浄化もしておる筈じゃ。清浄塊そのものが、浄化の力を定着させた物だと説明にあったからの」
「なるほど。これは浄化の力が定着し、常に浄化しているような盾なのですね。そう考えると、この白さは神聖な気がしないでもないのですが、素材が………」
「カーススケルトンの骨とか瘴気の塊が元だもんねえ? 気持ちは分からなくもないわ」
「まあ、役に立つなら何でもいいんじゃないかい? 何より浄化し続ける盾というのも、なかなかに凄いと思うけどね。今までそんな物は大天使様から下賜された物でしか見た事がないよ」
「ならそれは何で出来ているんだろうねー? もっとトンデモな物で出来てたりしてー?」
「……………嫌な想像をしてしまったじゃないか、止めてくれ」
「まあまあ。とはいえそういう素材を使っていない保証はありませんよ。それだけ穢れている物を使わねば、強い浄化の力を持たないのかもしれませんし。案外と元はスケルトンドラゴンとかドラゴンゾンビである可能性も……」
「それなら【鑑定】すれば素材は分かるだろう」
「清浄塊になったらカーススケルトンの骨とか瘴塊が元だとは出ない」
「………」
まあ、元の素材が何だろうがいいのではないかの?
己で言った事なのだからして、受け入れねばな。
299話の誤字報告、ありがとうございました




