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0799・艶女組への指導




 童女が<瞬足>と<瞬撃>の話をした為、今は妾達がそれぞれの者達に指導をしておる。

 とはいえ時間をそこまで掛ける訳にはいかぬので簡易的な形じゃがな。

 それでも<瞬足>と<瞬撃>に関しては、そこまで難しい技術ではない。



 「いや、そもそも手動で【身体強化】をしないオレ達にとっちゃ、十二分に難しいんだがな? 一瞬でというか、正しくはきちんと力が乗る間は使わなきゃいけない訳でよ。それの見極めが難しくねえか、コレ?」


 「慣れれば簡単に出来るようになるよ。どんな事でもそうだけど、難しいのは慣れるまでさ。慣れればさえ難しい事じゃなくなる。そこまでになったら、この技術は普通に使い熟せるよ。練習あるのみ」


 「いや、まあ、言ってる事は確かに事実なんだがよ。この技術って慣れれば楽になるのかは微妙なような……。でもそっちは普通に使えてるみてえだし、だったら楽なのか?」


 「リーダー、ズルくない? 私達も指導をお願いしたんだけどー?」


 「そうそう。私達の指導もおねがーい♪」


 「まあ、いいけどね。それよりもズレてるからちゃんと使おうか。一瞬の【身体強化】が肝心な部分だからね。無駄なく使用する事で魔力や闘気の消費を抑える。つまり使えるようになれば継戦能力が結構上がるんだ。なので真面目にお願いするよ」


 「「「「「はーい♪」」」」」



 その「はーい」の声が全員野太いのはどうなんじゃ? 完全無欠にギャグの存在じゃろ、こいつら。

 というか、絶対に意図的にやっておる。

 それはそれで相手の許容する範囲の把握の為にやっておるのか、それとも元々そういうキャラを演じておるのか知らぬがな。


 妾は特に反応をする事もなく、淡々と連中に指導をしていく。

 【身体強化】に関しては、元々からして手動で使わぬと消費が激しかった。

 なので珠も要所でしか使用しておらなんだので、似たような事はそもそもやっておったのだ。

 それ故に使うのは難しくなかったのであろうの。


 童女達も多少の練習で使えたという事は、そもそも似たような技術は別のゲームにもあるという事じゃ。

 実際に珠の記憶を見れば、似たような技術が使えるゲームは確かにある。

 このゲームの方が細かく使えるっぽいがの。


 なので、そもそも他のゲームで使っていれば、そこまで難しい技術でもない。

 自動の【身体強化】はオンとオフしか出来ぬうえに、必ず全身に均等に掛かる。

 しかもすぐにオフに出来ぬという厄介な仕様になっておるのだ。

 正確には5秒じゃったかの、それが最低使用時間じゃ。


 5秒と聞くと大した事はないと思うかもしれぬが、塵も積もれば何とやらという言葉の通りに消費する。

 なので、暗闇ダンジョンの60階から70階へ進む際などの長期戦には耐えられんのだ。

 <瞬足>や<瞬撃>の使える妾達でも枯渇するまで追い込まれたのだからのう。


 だからこそ、この技術は割と大きく生きるのだし、魔法系でない者は余計に魔力が少ない。

 その少ない魔力を活かす為にも必要な技術となる。

 よって使える事に損は無いわけじゃ。



 「なるほどなぁ……。継戦能力が上がるってのは助かるが、暗闇ダンジョンの60階から70階ってなんだよ? という大きな疑問は出てくるが、言いたい事は理解した」


 「暗闇ダンジョンの60階から70階は、暗闇の造魔がひたすらに出てくる区間なんだ。1階進むごとに敵の数が増えていってね、しかもランダムでダンジョン内が変化するだろう? だから最短距離は調べて地図を描くしかない。しかし敵が大量すぎて何度も行きたくない。そういう場所だよ」


 「1階層ごとに出てくるモンスターの量が増えていく。最後は角を曲がるごとに十数体と戦う羽目になる。それぐらいの密度でモンスターが出てくる非常に厄介な場所。心の芯まで削られる、それぐらい疲れる場所だから気を付けた方がいい」


 「いや、それ突破できる方がおかしいレベルじゃねえか? 絶対に今現在で突破する事を想定してねえだろ。むしろメチャクチャな事をやったとしか思えねえんだがな」


 「私達がクリアしたのも一昨日だから、つい最近の話。それでも突破できたから良かったってところ。2度とやりたくない」


 「お前さん達が2度とやりたくないレベルなら、絶対に今の攻略は想定してねえはずだ。むしろ突破されて困惑してる気がするぜ? なんで出来るんだってな」


 「出来るから出来ると言うしかないし、何とかという形でも突破は突破。でも、相当の規模でレイドを組めば攻略は出来るはず。とにかく敵が大量だから、こっちも大量の数で対抗するしかない。私達はネクロ2の魔隷師1だから突破できた」


 「なるほど、そういう事か。………って、いやいや、それだけじゃねえだろ。そもそもネクロ2の魔隷師1って言っても、そのネクロの召喚モンスターがアレだろうよ?」


 「イィィィィィヤァァァァァッ!!」


 ズドンッ!!


 「グブォェ!?!」


 ドスーン!!


 「ウェルズベアー・エリートをさっきから一撃で殺しまくってるじゃねえか。既にその時点で十二分におかしいぜ? あれ本当にネクロの呼び出すゾンビか? 絶対に変だぞ。他にもネクロは居るし見た事あるけど、あんな召喚モンスターじゃなかったはず」


 「コトブキの仲間は特筆しておかしいけど、似たような個性はそれぞれ持ってる。そもそも訓練場で訓練をさせれば強くなるし、セナはよく訓練をしてる。それに【暴食】の悪魔であるアルゼルとも訓練をしてるから余計」


 「ああ、練習環境が既に違い過ぎるのか。かたや町の子供がスポーツしてる所、かたやアスリートの養成所みたいなもんだな。元々の練習環境が違い過ぎれば、そりゃ出来上がるのも違うだろうさ。やっぱ箱が違うと筋肉の仕上がりも違うからなぁ」


 「それは知らないけど、そこ間違えてるよ。ちょっと解除するのが早い。それじゃ力が半分ぐらいしか乗らないから、威力がしっかり伝わらないよ。その辺りは感覚で覚えるしかないから、繰り返し練習して体に叩き込むしかないけど」


 「ああ、それはオレも総合格闘技とかやってるから分かるけどよ。まさか、体の動かし方から指導を喰らうとは思わなかったぜ。結構やってきてるんで自信があったんだがなぁ」


 「歩き方や立ち方まで気にするのが、元々の武術というものだからね。本当に強くなりたいなら、そこから矯正するしかないんだ。最高効率で最大威力を、それが武術の基本だと考えて間違いないよ。後はそれぞれにおいて変わる部分というだけ」


 「総合格闘技って、その辺りは割と適当な気がするなぁ。そもそもグラウンドありだから、基本的に床での攻防が多いし、そっちに持っていく選手も多いからさ。オレもそういうところがあるから、やってるんだしな」


 「や~~。リーダーってば、下ネターー♪」


 「「「「や~~」」」」


 「やーも何も、てめえらににはやんねえっつーの! ノンケと色々する為に決まってるだろうが!」



 ああ、なるほどの。

 何となくそういう目的があるんじゃないかと思っておったが、まことにその通りであったとはな。

 それはそれで欲望のままなのじゃろうが、おかしな所さえ見せねば大丈夫なのかの?


 女装ゴリラが興奮して襲ってくるという事でもなければ、問題なく練習も出来るであろうよ。

 本人が心の奥底で何を思っていようともな。

 実際にそういう者が多そうじゃし、中には実は………という者もおるとか聞く。


 ほぼ裸でぶつかる競技とかは、確実に怪しいのがおるじゃろう。

 とはいえ、その欲で強くなれるのであれば、それはそれでアリなのではないかと思うがな。


 妾は御免被るが、それが気にならん者とやっておればよい。

 意外と言ったらなんじゃが、中にはそれなりにおるであろうからの。

 古き時より避けられん事でもあるし、男同士など当たり前の時代も長かったからのう。


 もちろん世の中全体で当たり前、ではなかったがな。


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