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0795・瘴気属性耐性と鑑定




 「瘴気属性耐性が出たのは良いけど、それ以外が無い。火属性耐性も消えてるし、やっぱりそれぞれ専用の装備として作るしかない? そうなってくると大変」


 「そうじゃのう。とはいえ、色々と試してみねばならんし、今はなんとも言えんというところか。もしかしたら品質が悪いから付かぬのかもしれぬしの。先に瘴塊を全て浄塊に変えたのが失敗であったわ。そちらの品質は10なのだがのう……」


 「結構な加工をしないと作れない時点で、元の素材の必要数は増える。無駄にはなっていないから、後は品質を上げながら作っていくしかない。召喚モンスター達はこっちの装備?」


 「そうした方が良いと思うておる。仲間達は瘴気でやられなければさえ復活が可能じゃ。ロストする唯一の理由が瘴気じゃからのう。そっちは絶対に防がねばならん。そういう意味では瘴気属性耐性の方が重要よ。プレイヤーはどうにでもなるしの」


 「確かにそれはそう。プレイヤーはどういう死亡理由でも復活できる。だからこそ無理に考える必要は無い。でも召喚モンスター達は、考えないと永久ロストが待っている。テイマーや魔隷師もそうだけど、ロストする職業は厳しい」


 「その分だけ数を集められるし、数は力だからのう。そういう意味では有利な部分が大きい故に仕方あるまい。それだけの強さもしておる。かわりに本人がマイナス補正を受けておるのは確実らしいがの」


 「本人がマイナス補正を受けていても、異常なまでに強いのがコトブキでありナミ。だからマイナス補正を言っても意味がない。常人からしたら、マイナスは存在しないのと一緒。ただし普通の人達はマイナスを受けてる」


 「妾も受けておるというのに、何を言っておるのかの、現代の巫女は。そもそもマイナス補正とやらも何をどうマイナスにしておるか分からんでな。技術でカバー出来るマイナスであれば、妾やコトブキにとっては無いも同然の代物であろう」


 「それは確かに。針の穴を通せるなら、補助は必要ないとも言える。逆に言えば、私達は補正を受けて、数の暴力が使える職業は補正無しなのかも」


 「それならば何の問題もないのう。そもそもからして補正なぞ無くとも問題ないのだ。妾やコトブキにとっては有って無しが如き補正じゃの。いや、むしろあったら邪魔か?」


 「邪魔だと思う。そもそも余計な事をされたくないだろうし、無い方が結果として強いのかもしれない。変な補正が入ると思っているのとズレるだろうし、それは無い方が良いに決まってる」


 「うむ。それは……っと、もうこんな時間か。そろそろ色々とせねばならんので妾は寝る。現代の巫女も早う寝るがいい」


 「うん、分かった。それじゃ、おやすみ」



 そう言って現代の巫女はキスしてきてから離れた。

 だから妾は珠ではないと言うておるに、なぜ現代の巫女はああなのか。

 それはともかく、さっさとログアウトして邪悪な思想の者どもを殺さねばの。


 それにしても彼奴(きゃつ)らは思っておる以上に多いぞ。

 特に色々なところに根を張っておるのが困りものじゃ。

 あの大戦の前から蠢いておる者どもだからして、それだけ清算には時間が掛かるのは仕方ないのであろうがな。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2001年 2月7日 水曜日 AM8:27



 今日も変わらず<屍人の森>の深層二層目でレベル上げじゃの。

 昨日はユウヤとオウカの2人を連れて行かなかったが、それで怒る奴らでもあるまい。

 それに疲れておったのだからして、連れて行かなんだのは気を使ったわけじゃしの。


 そう言い訳すれば大丈夫であろう。

 ま、怒ったりなどせんとは思うがな。

 おっと、そんな事を考えておらんで、さっさとログインせねばのう。

 既に雑事も終わらせたのだから、考え事をしていても仕方ない。



 ―――――――――――――――


 使い魔:ラスティアのサブ職業:踊り子・中級のレベルが上がりました


 使い魔:キャスティのサブ職業:農家・中級のレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 ログインした妾は倉庫の中の物を売りに出し、売り上げを回収しては倉庫に詰める。

 そしてファルと2人に話をし、ソファーの部屋へ行くと召喚。

 ファルに朝食を頼んだらソファーに座るのだが、相も変わらず自然に来るのう。



 「さっきイルに聞いたんだけど、瘴塊とカーススケルトンの骨が結構要るみたいね? 瘴気属性耐性を持たせるには」


 「そもそも素材の品質を上げるには、どうしても数が要る。そのうえで瘴塊を浄塊にする必要があり、さらに瘴塊とカーススケルトンの骨を【合成】して瘴骨に変えねばならんのだ。浄化も何度もせねばならんし、思っている以上に魔力も使うぞ?」


 「それでも瘴気属性耐性っていうのが見えるようになったのは大きいよね。今までは全く分からなかったんだし、それに比べれば分かるようになっただけ遥かにマシだよ。何故か数字で出るみたいだけど、そっちの方が分かりやすいしね」


 「それはね。小、中、大の区分も困るし、数字で見える方が分かりやすいわよ。問題は他の属性耐性も何かしらの物を作らなきゃいけないって事なのよねー。火炎龍樹とクリムゾントータスで火属性は出来そうだけど……」


 「今回は瘴気の塊である瘴塊があります。似たような物がそれぞれの属性に対して用意されている可能性はありますよ? そうなると、それを探さなければ駄目でしょう。どうも特殊なアイテムっぽいですし」


 「それに関してなんだけど、私達も知らないわ。昨日、ナミが寝る前に私達に見せに来たけど、確かに【鑑定】したら瘴気属性耐性が見えたしね」


 「あれは驚きましたね。<破滅>殿が言う以上、嘘ではないと思っていましたが、まさか本当に瘴気属性なるものがあるとは思いませんでした。やはり己の目で見えると違います」


 「なるほど。本当に瘴気属性なるものがあったんだね。驚きだけど、長く生きてきてまだ初めて知るような事があるとは思わなかったよ。むしろ、そっちの事に驚くかな? 私は」


 「長く生きてもバカはバカー?」


 「まあ、言いたい事は分かるけれど………いや、それが真理かしらね。バカは長生きしてもバカだと言うべきか、生き方がバカの生き方だからそうなると言うべきか……」


 「人間、死ぬまで勉強。という言葉もあるからね。歳をとると若い子についていけない、なんて言葉も聞くけど、そんな感じなのかな? 私には分からないけど」


 「ここにいる全員が分からないでしょ。それにナミは色々と違い過ぎてアレだし」


 「そもそも妾は降臨するごとに、その時代の事を学んでおるでな。別に学ばずにおるわけではないのじゃが……」


 「神様よりも学ばない奴らが居るってこと。時代に合わせた感性は、時代に合わせて学ばないと得られない。でも、それが必ずしも良い事とは限ってないけど」


 「昔ながらの感性でないと駄目な物とかあるものね。お酒造りに刀鍛冶に江戸切子とか漆細工とか。あと螺鈿(らでん)細工もそうだけど、伝統技法に価値があるものは、現代技術にしたら価値が無くなるものねえ」


 「古き技法で作りし刀には価値があるが、現代工業力で作れば唯の製品じゃからの。一気に陳腐化するのは当たり前じゃ。伝統と格式というのは、それだけで価値があるものよ。それは日の本であろうが、他国であろうが変わらぬ。ただし歴史の無い国では、その価値は理解されぬであろうがな」


 「赤い国は文化を大革命したから、その価値を理解しなくなった。あそこは定期的に文化をリセットして蛮族化する。それも歴史と伝統」



 現代の巫女が強烈な皮肉を言うたが、確かに大陸はそうなんじゃよなぁ。

 あやつら歴史を誇る癖に、その歴史は途切れ続けておる。

 常に戦争や革命で、培った歴史と伝統と文化を破壊。

 そして蛮族化するんじゃよ。


 今や神を信ずる事も無くなったが、あそこの道教の神も嘆いておったの。

 何故この地はこうなるのかと。


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