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0791・屍人の森・深層二層目




 カーススケルトンとやらが現れたので、まずは戦ってみる。

 といっても、前に出たのはセナじゃ。

 相変わらず真っ直ぐに行っておるが、気をつけねばならんぞ。

 瘴気攻撃は今までの攻撃とは違う。

 かつてエルフどもにやられた攻撃と同じだと思わねばならん。



 「セナよ。そやつはかつてのエルフどもと同じように、瘴気による攻撃をしてきよる。範囲は自分を中心にしたものじゃ。瘴気攻撃はアンデッドであるそなたらには良く効く。注意するんじゃぞ!」


 「ワカッテル! イィィィヤァァァァァァ!!!」



 最初から全力で叩きに行くのもどうなのかと思うが、カーススケルトンはセナの袈裟斬りを後ろに跳んでかわした。

 そして一気に距離を詰めると殴りかかってくる。

 それをセナは強引に身を捻ってかわしたものの、その後に灰色の爆発が起きてセナは吹き飛ぶ。


 妾はセナに【セイントクリア】を使ったが、それでもセナは苦しんでおるようじゃ。



 「ウググググググ…………」


 「真正面からブッ叩きに行くなど隙だらけに過ぎるわ。今までそれで上手くいっていたとしても、これからも上手くいくとは限っておらん。慎重に戦え、慎重に」


 「ワカッタ! コンドハ、カチワル!!」


 「本当に分かっとるのかのう……派手に吹っ飛ばされたうえ、相当の痛みを受けておるみたいじゃが」


 「仕方ないんじゃない? セナって相当の負けず嫌いだし、根性で解決するタイプだもの。そして戦いにおいては間違ってない事が多いのよね。根性って」


 「ですね。最後の勝敗を分けるのは、そういった部分である事が多いですから。むしろ根性が無い者は前に出るべきではありません。味方に迷惑が掛かりますからね」


 「根性論も決して全て間違えているわけじゃない。けど、それは自発的に理解するか、それとも必要になったら教えるべきもの。最初から根性論では話にならない。それより先に技術がある」


 「ヤァァァァァァァァァァァァァッ!!!」


 「正面から打ち破るというのは間違ってはおらん。しかし戦いにおいては、それだけではいかんのだ。そろそろ駆け引きを覚えても良い気はするのだが、あれはあれで良いところであるが故、困ったものよ」


 「普通はー、痛みを覚えると足が鈍るものー。でもセナは、そこからさらに前へと出るー。あれは得難い資質の一つー」


 「だね。痛みで委縮し、冷静になって戦う事を覚える。とはいえ、それは一つ臆病になったとも言えるわけだ。もちろん戦いにおいては臆病なくらいでちょうど良いとも言われるけれど、大事な時に突っ込めない者もまた駄目だ」


 「そういう意味では、痛みを覚えても突っ込めるセナは優秀なのよねえ。もちろん良い悪いはそれぞれあるから、見方によっては悪い事なんだけれども」


 「なかなかに難しい。物事は一面だけでは判断できないし、二面だけでも判断できない。様々な一瞬があり、それぞれにおいて正解が変わる。なので、武術において正解はあるようでいて実は無い。そう弓の師匠は言ってた」


 「そうじゃの。だからこそ昔の者はそんな事を考えなかったのだ。敵を殺せる技こそが、正しく武術なのだと言ってのう。そして、それこそが正しい認識というものよ」


 「カタ!」


 「テェェェェェェェイ!!」


 「………!!」



 ファル、セナ、シグマの連続攻撃で沈んだようじゃの。

 最初に一度セナが喰らったが、それ以降は瘴気攻撃をやってこんかったな?

 もしかしたら連発できるような攻撃ではないのかもしれん。

 そうであれば多少は安全なのだが……


 妾は味方に回復と浄化を行い、その後に出発する。

 ちなみにドロップはカーススケルトンの骨であった。

 無事に珠の師が言っておった物が手に入って何よりじゃ。

 このまま集めて行こうかのう。


 皆と共に進んで行くと、すぐに新しいモンスターが現れた。



 ―――――――――――――――


 <カースゾンビ> アンデッド Lv131


 呪いの力をも持ったゾンビ。病原菌を振りまく存在でありながら、その病原菌が呪いの力によって強化されている。最大の攻撃は瘴気を纏った手足での攻撃と噛みつき。ゾンビだと侮ると痛い目に遭うほど機敏なので気を付けよう


 ―――――――――――――――



 「こやつは瘴気を纏って攻撃してくる。特に噛みつきは危険なので注意せい!」


 「ハァァァァァァァァァァァッ!!!」



 またもや一番にセナが行ったのう。

 懲りぬと言うか、それともこれがセナの良さと言うべきかは難しいわ。

 不意の何かでやられそうな危うさを孕んでおるでな、突っ込むのは危険なのじゃが……。

 しかしそれが出来ねば上には上がれん。


 時には突っ込まねば死ぬという事があるのじゃが、それは敵に接近しておった方が有利だという事でもある。

 じゃが、命の懸かった場面でそれが出来るかと言えば難しい。

 そこで突っ込めるのは一種の才能でもある。

 もちろん、こやつらは作られた者なのじゃがな。


 それでも戦いを複数で行うのならば、突っ込む役の者も必要と言えば必要なのだ。

 そういう意味では何ら間違ってはおらぬし、言葉を掛けて委縮させてしまう方が問題でもある。

 今までに手酷い失敗をしていてもアレじゃからの。

 やはり放っておくべきか。



 「イィィィィィィヤァァァァァァァ!!!」


 「ク!!」


 「カァ!!」



 今度はセナ、フォグ、エストで終わらせたか。

 物理、魔法、魔法じゃったが、なかなか良いコンビネーションであったな。

 カースゾンビは近接攻撃にさえ気を付ければよいので、ここでは一番対処が楽だと言ってよいじゃろう。



 「そう思う。近接しかないなら、セナが杖で戦う以上は大丈夫。リーチは敵より長いから、迂闊な失敗をしない限り完勝できる。はず」


 「そこよね。セナを見ていると、最後に「はず」って付ける気持ちは分かる。なんか失敗しそうなのよ、見てると」


 「それは本当に思うね。派手な失敗をどこかでしそうだけど、既に何度かしてきてるから大丈夫かな? それにエルフの時もそうだったけど、攻撃を受ければ受けるほど相手を殺そうとするよね。セナは」


 「痛みで加速するというか、まさにそんな感じ。どっかの誰かさんに似ている気はしないでもないけど、そこはねえ……仕方がないとも思うわ」



 球が育ててきておるのだからして、珠に似るのはどうしようもないのではないかの?

 それにセナは最初からストンピングを気に入っておったりと、色々とアレなんじゃがな。

 珠が育てたというだけではあるまい。


 どう考えてもセナが元々そういう者だと言う方が正しかろうよ。

 むしろそういう者だからこそ、どこまでも突っ込むのであろうしのう。



 「手に入ったのは瘴塊? 瘴気の塊という事じゃろうが、いったい何に使えと言うんじゃ、こんなもの。まあよい、セナに【セイントクリア】」


 「キレイニナッタ。コレデススメル」


 「こらこら。皆と一緒に進むのじゃからして、勝手「キャァァァァァァァ!」に先に行くでない」



 セナが勝手に進んだ先で、急に灰色の突風のようなものが吹き付けてきた。

 もしかしたら、アレが瘴気ブレスか?

 妾はすぐに【セイントエリア】を使い、その後にセナに【セイントクリア】を使って浄化する。


 勝手に先行するからこんな事になるのじゃが、セナのようなタイプは失敗せんと覚えんからのう。

 これもいわゆる必要経費というヤツじゃな。

 仕方がないし、他の者も迂闊(うかつ)に動いてはならんと分かる。


 そういう意味では失敗役としての正しい姿とは言えるんじゃよなぁ。

 そこが何とも言えんところよ。

 っと、下らぬ事を考えておらんで、そろそろ【鑑定】するか。


別作、「時空の旅人 ~イシスとヌン~」が300話を超えました。宜しければ、御一読ください。

https://ncode.syosetu.com/n1425lv/

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