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0789・2人と雑談




 「いきなり首を刈るとかは、そう簡単な事じゃないだろうけどな。それでも一撃で倒せる武器を持つってのは悪い事じゃねえだろう。そもそも、あんたらはなんで簡単にそんな事が出来るんだ?」


 「ある一人の人なら簡単に出来るのも分からなくはないんだけれど、その人以外はそこまで強いわけじゃないわよねえ? 名前は聞くけど、そこまで聞くわけでもないんだし」


 「俺達だってそれなりに長いのと、コトブキから色々と学んだりしてきてるからなぁ……。そういうのもあって、そこまでなんにも出来ないわけじゃないさ。ただ、コトブキがブッ飛びすぎてるだけで」


 「それと手動で【身体強化】をする事も大きいと思う。何故ならスキルの自動化で【身体強化】をするのと、自分で【身体強化】をする際の強化率などは同じじゃない。ピンポイントで強化したりと色々出来る」


 「えっ? そうなの? ……手動での強化かぁ。出来なくはないけど、それを戦闘中にっていうのは大変でしょ。貴方達は出来るんでしょうけども……とはいえ、そういう細かいところが違うのね。だからあそこまで違ってくると」


 「そうなってくるとオレ達も色々と試すしかねえな。元々このゲームは様々な事をやってみなきゃいけねえんだが、それでもオレ達は既存のに囚われてたか? どうも根本的にだが、全部自分達でやった方がいい感じだな。こりゃ」


 「そうやっていくと上達すると思うよ。私なんてコレが初めてだけど、そういうものって教えられたから頑張ってやってたもん。そしたら他の人はやってなかったりするし」


 「最初から難しい事を教えられてたってわけか。とはいえ、それで慣れてると後が楽だから、教える側としては間違ってないわけだな。っと、今度はウェルズベアーか」



 今度は普通の方が現れたが、近くに居たユウヤがメイスでカチ割って終わらせた。

 あっさりとした一撃で勝利したのを見て少し考え込むテツオ。

 こやつの場合は四の五の言わずにブン殴る武器の方が合っておる気はするのう。



 「また皮が出たな。となると、やっぱり威嚇中に一撃かまして勝利が皮の確定条件なんだろう。しっかし、斧よりも棍棒の方が楽そうだな。考えずに振り回せば済むし、敵の頭をカチ割れば済むしよ」


 「むしろそれは私の方じゃない? テツオは殴る蹴るなんだから刃物を持たなくちゃダメでしょ。格闘は打撃判定なんだし、そうなると斬撃か刺突を持たなきゃ駄目じゃない。唯でさえ私達は物理で行くんだから」


 「そりゃそうだがよ、斧の刃を相手に真っ直ぐ向けるって意外に面倒くさいんだぜ? 昔、何度か使った事があるから知ってるんだよなー。あれ、思ってるより面倒で何回もおかしな方向に向いてしまうしよ。ヘイホーのヤツはよく使ってると思うぜ」


 「そんな事を言っていても始まらないし、斧に決めちゃいなさいよ。私が代わりに鈍器を持つから」


 「仕方ねえなあ。気合入れて何とかするか。とりあえず使って慣れるしかないだろうし、それをしなきゃ始まらないってな」


 「最悪は鉈にするという手もありますね。コトブキさんの召喚モンスターも持っていますが、鉈の分類は剣と斧の両方なんですよ。ですから、どちらかのスキルを持っていればさえ使えます」


 「鉈かぁ……確かに鉈なら使い勝手は悪くないな。最悪どうしても合わないなら鉈を使う事を考えるか。それ、おっと、また来た」



 今度はウェルズベアー・エリートだったが、近くに居た妾が倒すとするか。

 威嚇で立ち上がった瞬間、一気に近づき太刀で首を一閃。

 呆気なく熊の首は落ちた。

 妾にとっては毎日の作業みたいなものじゃからな。

 こんなものよ。



 「「………」」


 「コトブキはこんなものよ。だいたいバッサリやって終了って感じね。最初は槍でやったんだったかしら? あの時も半分以上は切り裂いて、一撃で勝利してたわ。私達にとっては見慣れた光景だけど……」


 「見慣れていない方にとっては唖然とする光景なのでしょうね。私も最近見慣れましたけど、それでも改めて考えると凄いと思います」


 「さっき一撃で倒した姉さんが言う事じゃない。出来ない人からしたら、どっちもどっち」


 「言いたい事は分かるが、イルだってメインは弓の癖に刀でぶった切ってるだろうに……。やってる事は変わんねえよ」


 「いやぁ、冗談みたいな光景だなぁ。っと、やっぱり皮か。こりゃ本格的に確定だが、今まで必死に戦ってたのがバカらしくなってくるな。片や必死に熊を殺して、片や熊を殺すごとに確定で皮を手に入れる。仕方がないとはいえ、無駄な時間を過ごしてきたぜ」


 「仕方ないわよ。威嚇で立ち上がっている間に致命傷を与える、ってそんな簡単な事じゃないもの。出来る人はいちいち言わないだろうし、出来ないのは必死で戦うしかないでしょ」


 「そう考えると上手くできてやがるのかねえ……。未だ市場のウェルズベアー・エリートの皮は足りてねえ。需要と供給なら、圧倒的に需要の方が多いからな。この情報ウチの中でシェアしてもいいか?」


 「<艶女(えんじょ)組>の中だけならいいんじゃない? 他の人達に洩れると取り合いになるだろうけど、それをして損をするのも<艶女(えんじょ)組>だけど」


 「なぁに、そこは心配いらねえよ。ウチで裏切ったヤツは、裏で色々されるからな。まあ、口には出せない酷い事だが、(よろこ)ぶヤツにはやんねえ事をする」


 「たまーに居るのよね、やられて(よろこ)ぶ重度のアレが。私達はあくまでも女装カマなのであって、決して重度のアレな集まりじゃないんだけど……」


 「仕方ねえ。パンピーの癖に性癖だけがアレな奴らも居るぐらいだ。オレ達の界隈にも居たって不思議じゃねえさ。そういう意味では、オレ達の中に置いておくしかねえしな。分かってやれるというか、偏見がねえのもオレ達だけだ」


 「もしかして艶女(えんじょ)組ってそういうチームなの? 行き場のない人達の保護っていうか」


 「そういう部分もあるって事よ。全員が全員そうじゃないけど、だいたいは居場所が無くて困ってる子達ね。そもそも自分を偽るのは大変なのよ。とはいえ未だに偏見は無くならないから、そこは仕方ないの」


 「そうそう。日本だって古くは少年に女装させて云々っていうのはあったが、それはあくまでも少年の間だけだ。だがオレ達は歳をとっても変わらねえ。それを世間が受け入れるのは難しいってこった」



 言いたい事は分かるのじゃが、そもそも稚児趣味は古くから褒められた事ではないのだがな?

 現に当時の農民や町民でさえ普通に批判しておった。

 やっておるのが寺の坊主だったりするので余計じゃがな。

 煩悩に塗れすぎておるのだから当然ではあろうが。


 アレじゃ、海外が獣に行ったのと変わらん。

 日の本では男に行ったというだけよ。

 どちらも共通しておるのは、煩悩を抑圧した事による反動であろう。

 何事も<過ぎたるは猶、及ばざるが如し>じゃ。



 「おっと、そろそろ昼前だし全体ミーティングもあるんで、オレ達は失礼させてもらうよ」


 「そうね。ちょうど教えてもらった事もあるし、皆で話し合いもしなきゃいけないわ。このゲーム、クランでどうこうっていうのが意外にやりにくいのよねえ」


 「おそらくは所属させての上納を禁止させる為だろうけどな。今でもそんな事をしているアホどもが居るしよ。っと、本当に時間がマズい。じゃあ、ありがとうな」



 そう言って2人は妙なアイテムを握ると消えていった。

 何かしらの転移アイテムか。

 妾達はあの者が作った転移札を持っておるが、他にも色々とあるのであろうの。


 さて、妾達もそろそろ帰るか。


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